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チーム医療の重要性
チーム医療で医療の質を高めていく
株式会社MMオフィス 代表取締役 工藤 高■組織の 「タコツボ化」 打破がチーム医療になる
2024年度の診療報酬・介護報酬同時改定の重要なテーマは 「リハビリ、口腔管理、栄養管理の一体的な提供」 であり、そこでは多職種によるチーム医療が欠かせない。新設の 「地域包括医療病棟入院料」 や 「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」 も医師、看護職員、管理栄養士、リハビリセラピスト等によるチーム医療がないと成り立たない。
事務職員と看護補助者、調理補助者以外は、ほとんどが国家資格を持った専門家集団である病院職員は、どうしても 「これは◯◯の仕事」 といったセクショナリズムに陥りがちであった。これはタコがタコツボを好んで身を潜めるように、病院組織もそれぞれの資格ごとに居心地の良いグループをつくり、組織全体のことを考えなくなる 「タコツボ化」 である。病院事務職員、コンサルタントとして42年に渡り病院を見てきた筆者は、これまでさまざまな強固なタコツボを見てきた。
そのタコツボに横串を指すのが多職種協働によるチーム医療である。厚労省はチーム医療を 「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」 と定義している。 「 “これは◯◯の仕事” ではなく、医療の質を向上して患者さんのためになる仕事を提供する」 というわけだ。現在、医療機関では下記のようなチームが活動しており、直接的または間接的に診療報酬で評価されている。
事務職員と看護補助者、調理補助者以外は、ほとんどが国家資格を持った専門家集団である病院職員は、どうしても 「これは◯◯の仕事」 といったセクショナリズムに陥りがちであった。これはタコがタコツボを好んで身を潜めるように、病院組織もそれぞれの資格ごとに居心地の良いグループをつくり、組織全体のことを考えなくなる 「タコツボ化」 である。病院事務職員、コンサルタントとして42年に渡り病院を見てきた筆者は、これまでさまざまな強固なタコツボを見てきた。
そのタコツボに横串を指すのが多職種協働によるチーム医療である。厚労省はチーム医療を 「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」 と定義している。 「 “これは◯◯の仕事” ではなく、医療の質を向上して患者さんのためになる仕事を提供する」 というわけだ。現在、医療機関では下記のようなチームが活動しており、直接的または間接的に診療報酬で評価されている。
【診療報酬における主なチーム医療の評価】
栄養サポートチーム(NST:Nutrition SupportTeam)、呼吸ケアチーム(RCT:RespiratoryCare Team)、精神科リエゾンチーム、認知症ケアチーム、緩和ケアチーム、糖尿病チーム、救急医療チーム(RRS:Rapid Response System)、褥瘡管理チーム、摂食・嚥下サポートチーム、感染症対策チーム(ICT:Infection ControlTeam)、医療機器安全管理チーム、医療安全管理チーム、リハビリテーションチーム
チーム医療の点数評価で早い時期から導入されたのは 「栄養サポートチーム」 (NST)や 「褥瘡対策チーム」 であり、2020年からの新型コロナパンデミックの3年間は 「感染症対策チーム」 (ICT)が大活躍したのは記憶に新しい。
チーム医療の点数評価で早い時期から導入されたのは 「栄養サポートチーム」 (NST)や 「褥瘡対策チーム」 であり、2020年からの新型コロナパンデミックの3年間は 「感染症対策チーム」 (ICT)が大活躍したのは記憶に新しい。
■誤嚥性肺炎患者にチーム医療の関わりが少ない
チーム医療が上手くいくためには各メディカルスタッフの資質向上に加え、充分な教育体制の構築が必要になる。失敗する主な要因としては 「技量が均一化していない」 「教育不足」 「コミュニケーション不足」がある。
2024年度改定に向けての入院・外来医療等の調査・評価分科会において 「急性期におけるリハビリテーションと栄養の取組」 として、誤嚥性肺炎患者に対して 「病棟における多職種連携の取組の実施割合について、栄養、離床・リハビリテーション、口腔に関する計画作成において、各職種の関わりは少ない」 との指摘があった。さらに 「これについて、栄養状態の評価や提供栄養量に応じてリハビリテーションが実施されることで生活機能の改善や維持が図られるものであり、リハビリテーションと栄養の取組は組み合わせて推進されるよう検討すべき」 と指摘されていた。これが改定で 「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」 (120点×14日間)の新設につながったわけだ。
2024年度改定に向けての入院・外来医療等の調査・評価分科会において 「急性期におけるリハビリテーションと栄養の取組」 として、誤嚥性肺炎患者に対して 「病棟における多職種連携の取組の実施割合について、栄養、離床・リハビリテーション、口腔に関する計画作成において、各職種の関わりは少ない」 との指摘があった。さらに 「これについて、栄養状態の評価や提供栄養量に応じてリハビリテーションが実施されることで生活機能の改善や維持が図られるものであり、リハビリテーションと栄養の取組は組み合わせて推進されるよう検討すべき」 と指摘されていた。これが改定で 「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」 (120点×14日間)の新設につながったわけだ。
■チーム医療で医療の質を高めていく
ややこしいのだが、類似点数に、新設された地域包括医療病棟入院料だけに加算できる 「リハビリテーション・栄養・口腔連携加算」 (80点×14日間)がある。施設基準は一部を除いて、ほぼ同じだが、こちらは 「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」 の下線部にある 「体制」 がつかない。改定後に発出されている事務連絡(Q&A)も、この違いを認識しておかないと誤解釈がうまれる。医薬品だったら名称類似でヒヤリハット事例が発生する。2024年度改定では他にも名前が類似した項目が増加しており、 「地域包括医療病棟」 と 「地域包括ケア病棟」 もそうであり、筆者もたまに混乱する。
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は届出した病棟の患者全員に対して、入院48時間以内にADL、栄養状態、口腔状態に関する評価を行って、多職種によるADL低下防止体制を確保した場合に算定できる。病棟ごとに専従(1人は専任でも可)のリハビリ職員2名と専任の管理栄養士1名の配置が必要というチーム医療の評価だ。
国家資格集団の専門職は、目先の診療報酬のためではなく、患者さんのためになりたいという想いで職業選択したはずである。チーム医療によって医療の質が高まって患者さんの予後が良くなれば、地域住民や他医療機関、行政等から評価され、それが患者増につながって、結果として診療報酬増加にもつながっていく。本年4月から医師の働き方改革も施行されたが、医師業務のタスクシフティングにもチーム医療は必要不可欠である。
【2024. 12. 1 Vol.605 医業情報ダイジェスト】
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は届出した病棟の患者全員に対して、入院48時間以内にADL、栄養状態、口腔状態に関する評価を行って、多職種によるADL低下防止体制を確保した場合に算定できる。病棟ごとに専従(1人は専任でも可)のリハビリ職員2名と専任の管理栄養士1名の配置が必要というチーム医療の評価だ。
国家資格集団の専門職は、目先の診療報酬のためではなく、患者さんのためになりたいという想いで職業選択したはずである。チーム医療によって医療の質が高まって患者さんの予後が良くなれば、地域住民や他医療機関、行政等から評価され、それが患者増につながって、結果として診療報酬増加にもつながっていく。本年4月から医師の働き方改革も施行されたが、医師業務のタスクシフティングにもチーム医療は必要不可欠である。
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