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「外来迅速検体検査加算」 の運用の留意点

コンピュータチェックの実施条件
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
支払基金、国保連合会は、コンピュータチェックによる審査の透明性や、適正なレセプトの提出、効率化を目的に、コンピュータチェックの基準や事例の公開を順次進めています。
本稿ではコンピュータチェックの対象であり、査定の傾向にある 「外来迅速検体検査加算」 の運用の留意点についてお伝えいたします。

検体検査実施料
通則3 外来迅速検体検査加算 +10点
  • 各項目の所定点数にそれぞれ加算する
  • 1日5項目を限度
  • 対象患者:外来患者、引き続き入院となった患者
  • 対象検査: 厚生労働大臣が定める検体検査(別表第九の二を参照)

Q1:初診時も算定はできますか。
A1: 算定できます。初診時に算定できない規定はありません。ただし、同一日に時間外緊急院内検体加算とは併せて算定できないので留意下さい。

Q2: 外注検査がある場合は、どのように算定しますか。
A2: 院内検査、外注検査も含めてすべて実施日当日に結果が判明し、当日中に文書で説明ができる場合に、対象検査5項目まで算定できます。対象検査の中に外注検査があり、当日中に結果を文書説明できないものがある場合は、すべての対象項目で外来迅速検体検査加算を算定できません。



●Point:対象検査は、すべて当日結果説明が必要
*1 「当日結果」 とは、①対象検査のすべてに検査結果がある、②その結果を文書で患者に渡した上で説明する、③検査結果に基づき診療を行うことを指す。
*2 加算対象の検査と対象外の検査が混在していてもよい。なお、その場合は加算対象の検査のすべてで当日結果が出ていれば5項目を限度に算定できる。

●Point:検査のみ来院は、算定不可
検査のみ来院の場合は、診察で検査結果による説明をしていないため、算定できません。
午前に検査を実施して一旦帰宅し、午後に結果説明及び治療を行った場合は、要件を満たせば算定できます。その際の再診料または外来診療料は一連の行為と見なされる場合には、別に算定できません。

【コンピュータチェック実施条件】
レセプトの診療内容に関するコンピュータチェックの実施条件として以下の項目が提示されています。
① 検査のみ来院時に外来迅速検体検査加算が算定された場合
② 同日に外来迅速検体検査加算が6項目以上算定された場合
③ 同日に外来迅速検体検査加算が1項目で、外来迅速検体検査加算の対象検査が2項目以上算定された場合(同じく外来迅速検体検査加算が2,3,4項目の算定で、対象検査が3,4,5項目以上算定された場合も同様)
④ 小児科外来診療料による算定と出来高による算定が混在した場合(小児かかりつけ診療料の算定患者、在宅療養指導管理料の算定患者及びパリビズマブを投与している患者を除く。)
⑤当該診療行為が同日に20回以上算定された場合
⑥ 前日に入院料等の算定があり外来迅速検体検査加算が算定された場合

Q3:通知には、算定の際に診療録に記載するという要件がありませんが、算定に際してカルテ記載は必要でしょうか。
A3:システムによる検査値の記録や患者への説明、情報提供を行った旨のカルテ記載が必要です。

●Point:カルテ等への記載に関する留意点
【カルテへの記載】
説明、情報提供を行った旨は、カルテに記載していないと確認ができません。したがって、カルテへの記載は必要と言えます。厚生労働省「保険診療確認事項リスト(医科)令和5年度改訂版」に、請求の誤りが起きやすく、個別指導の指摘の機会が比較的多い事項として、次のことが提示されています。
□ 外来迅速検体検査加算について、[当日中に説明・文書による情報提供]を行っていない。

【レセプトへの記載】
以下に該当する場合は、レセプトの「摘要」欄への記載が必要です。
① 外来診療料を算定した場合で、包括される検査のみに対して当該加算を算定した場合は、検体検査の項目名を記載する(レセプトコード830100111:検体検査名(外来迅速検体検査加算))
② 引き続き入院した場合は、引き続き入院であることを記載する(レセプトコード820100129:引き続き入院)


【2024. 11. 15 Vol.604 医業情報ダイジェスト】