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公益法人制度改正について考える
令和7年4月より 施行が予定されている公益法人制度について
あすの監査法人 公認会計士 山岡 輝之今回は、令和7年(2025年)4月より新しい制度での施行が予定されている公益法人制度について考えてみたいと思います。公益法人として設立されている医療機関は、一部の病院、診療所や医師会等に限られ、決して数は多くはありませんが、医療関連団体として公益法人制度を活用している機関も少なからずあると思いますので、ご興味のある方はご一読いただければと思います。
そもそもですが、一般法人(一般社団法人・一般財団法人)は、 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」 (平成18年法律第48号)に基づいて設立された法人となります。一方、公益法人(公益社団法人・公益財団法人)は、 「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」 (以下、認定法)に基づいて設置された法人です。公益法人は2階建ての制度といわれており、1階が一般法人、2階が公益法人を指します。一般法人を前提としているため、公益法人をいきなり設立することはできません。公益法人となるためには、一般法人の設立後に公益認定の申請を行い、行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)の認定を受ける必要があります。
公益法人になるメリットは、公益性の高い法人として税制上の優遇措置を受けられる点にあります。しかし、将来にわたって公益認定の基準を満たす必要があり、公益認定の基準を満たせなくなると認定を取り消されます。税務上のメリットも解消される点は注意が必要です。
令和6年3月5日に 「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案」 および 「公益信託に関する法律案」 が閣議決定され、令和6年4月5日に参議院本会議で賛成多数で可決されました。この法案は、 「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」 (以下、有識者会議)で検討されていたものであり、令和7年(2025年)4月から新しい制度として施行予定となっています。
改正の法律案は、以下の3つの柱で構成されています。
そもそもですが、一般法人(一般社団法人・一般財団法人)は、 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」 (平成18年法律第48号)に基づいて設立された法人となります。一方、公益法人(公益社団法人・公益財団法人)は、 「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」 (以下、認定法)に基づいて設置された法人です。公益法人は2階建ての制度といわれており、1階が一般法人、2階が公益法人を指します。一般法人を前提としているため、公益法人をいきなり設立することはできません。公益法人となるためには、一般法人の設立後に公益認定の申請を行い、行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)の認定を受ける必要があります。
公益法人になるメリットは、公益性の高い法人として税制上の優遇措置を受けられる点にあります。しかし、将来にわたって公益認定の基準を満たす必要があり、公益認定の基準を満たせなくなると認定を取り消されます。税務上のメリットも解消される点は注意が必要です。
令和6年3月5日に 「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案」 および 「公益信託に関する法律案」 が閣議決定され、令和6年4月5日に参議院本会議で賛成多数で可決されました。この法案は、 「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」 (以下、有識者会議)で検討されていたものであり、令和7年(2025年)4月から新しい制度として施行予定となっています。
改正の法律案は、以下の3つの柱で構成されています。
- 財務規律の柔軟化・明確化
- 行政手続の簡素化・合理化
- 自律的なガバナンスの充実、透明性の向上
1. 財務規律の柔軟化・明確化について
① 収支相償から中期的収支均衡を明確化
公益法人の公益認定基準には、「財務」に関する基準があります。財務三基準と呼ばれ、「収支相償・公益目的事業比率・遊休財産額保有制度」 の3つです。そのうち、収支相償について考え方が見直されました。
これまで、公益事業では、費用を超える収入を得てはならないという考え(収支相償原則)を基本とし、収支差が出た場合には短期間での費消が求められていました。これに対し、より長い視点での資金活用の余地を認めてほしいという意見を踏まえ、今回の改正では中期的期間(5年間)での収支均衡を図ることが求められる旨が明確化されました。
その他、有識者会議の資料によれば、各公益目的事業の収支差は財務諸表で透明性を確保し、公益目的事業全体で収支均等を判定するとともに、過去の赤字も含めた全体の収支差で判定が行われることが予定されています。
②遊休財産規制の見直し
まず、これまで使用されてきた遊休財産の名称を 「使途不特定財産」 と改め、保有制限から除外できる資金の範囲が拡大されることになりました。
具体的には、公益目的事業継続予備財産(災害等の予見し難い事由に対応し、公益目的事業を継続するために必要となる公益目的事業財産)がその保有制限の算定対象から除外されます。同時に、当財産の保有についての理由を公表することが義務化されました。
公益法人の公益認定基準には、「財務」に関する基準があります。財務三基準と呼ばれ、「収支相償・公益目的事業比率・遊休財産額保有制度」 の3つです。そのうち、収支相償について考え方が見直されました。
これまで、公益事業では、費用を超える収入を得てはならないという考え(収支相償原則)を基本とし、収支差が出た場合には短期間での費消が求められていました。これに対し、より長い視点での資金活用の余地を認めてほしいという意見を踏まえ、今回の改正では中期的期間(5年間)での収支均衡を図ることが求められる旨が明確化されました。
その他、有識者会議の資料によれば、各公益目的事業の収支差は財務諸表で透明性を確保し、公益目的事業全体で収支均等を判定するとともに、過去の赤字も含めた全体の収支差で判定が行われることが予定されています。
②遊休財産規制の見直し
まず、これまで使用されてきた遊休財産の名称を 「使途不特定財産」 と改め、保有制限から除外できる資金の範囲が拡大されることになりました。
具体的には、公益目的事業継続予備財産(災害等の予見し難い事由に対応し、公益目的事業を継続するために必要となる公益目的事業財産)がその保有制限の算定対象から除外されます。同時に、当財産の保有についての理由を公表することが義務化されました。
2. 行政手続きの簡素化・合理化
収益事業等の内容の変更を行う場合、現状の認定事項が届出事項に見直されることになりました。
3.自律的なガバナンスの充実、透明性の向上
公益法人のガバナンスのさらなる充実、財務状況等の透明性の向上等を図るため、以下の点について見直されることになりました。
- より理解が容易となる財務情報開⽰のため、公益法⼈に3区分経理(公益⽬的事業、収益事業等、法⼈運営)を原則義務化する。
- 公益認定の基準に、新たに①理事・監事間の特別利害関係の排除、②外部理事・監事の導⼊を追加で設ける。また、公益法⼈は、事業報告書に、適正な運営の確保のため必要な事項(ガバナンス充実に向けた⾃主的な取組等)を記載する。
- 公益法⼈の責務として、ガバナンスの充実や透明性の向上を図るよう努めるべき旨を規定。併せて、国の責務として、情報収集・提供等の公益法⼈の取組の⽀援を⾏う旨を規定する。
この中で、影響が大きいと考えられるのが外部理事の導入ではないでしょうか。場合によっては新たな理事を採用する必要があるため、早めの準備が必要となります。なお、外部理事が適用除外となる小規模法人基準※1が設けられていますので、ご留意ください。
※1: 収益が3,0 0 0万円未満かつ費用・損失が3,000万円未満の法人は対象外
また、病院を経営する公益法人では会計監査人の設置範囲拡大(認定法5条13号)が予定されています。新しい基準では、以下の3つの基準のうち、1つでも満たす法人は会計監査人による会計監査を受ける必要がありますのでご注意ください。
①収益:100億円以上(従前は1,000億円以上)
②費用・損失:100億円以上(従前は1,000億円以上)
③負債:50億円以上
【2024. 11. 1 Vol.603 医業情報ダイジェスト】
※1: 収益が3,0 0 0万円未満かつ費用・損失が3,000万円未満の法人は対象外
また、病院を経営する公益法人では会計監査人の設置範囲拡大(認定法5条13号)が予定されています。新しい基準では、以下の3つの基準のうち、1つでも満たす法人は会計監査人による会計監査を受ける必要がありますのでご注意ください。
①収益:100億円以上(従前は1,000億円以上)
②費用・損失:100億円以上(従前は1,000億円以上)
③負債:50億円以上
【2024. 11. 1 Vol.603 医業情報ダイジェスト】
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