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目標設定をする意味を理解する
目的を達成するための目標の立て方について
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子BSC(バランススコアカード)の手法をベースとして、SOWT分析やクロスSWOT分析を行い自組織の現状を知り、KPI(業績評価指標)を決定して運用していく……など、組織をより良くマネジメントするための取り組みを行っている医療機関は多いと思います。
秋はその目標設定の進捗状況を確認する、いわば中間評価として位置付けているところも多いのではないでしょうか。今回はそんな 「目標管理」 について、取り組み姿勢で結果が変化することに気が付いたクリニックのリーダーのお話を紹介いたします。
秋はその目標設定の進捗状況を確認する、いわば中間評価として位置付けているところも多いのではないでしょうか。今回はそんな 「目標管理」 について、取り組み姿勢で結果が変化することに気が付いたクリニックのリーダーのお話を紹介いたします。
ケース:
「目標設定を行っているのですが、私が願っているような結果が出なくて困っているのです」 と語るのは、日本の真ん中にある県庁所在地に位置するクリニックの院長先生です。この院長先生は一昨年このクリニックを開院しました。開院に当たり、たくさんの経営手法を学んで挑んだと言います。
院長先生 「仕事を行う上で目標を設定することは、私にとっては常識です。組織を健全に運営していくために必要な、経営者とスタッフとの約束事だと思っています。今年の目標は 『医療と経営の質の向上』 で、今医師と看護師、管理栄養士とで行っている生活指導をより良くすることを目的に掲げました。スタッフは 『本を月に1冊読む』 『外部研修に参加する』 とか個々の目標を設定していますが、表面上達成しているように見えても、実際に現場で何か変化があるかというとそうでもなく……自分が設定したのに無責任に思えて仕方がありません」
そこで、このクリニックで 「組織と自分のための目標設定」 に関する全体研修を行うことになりました。現在このクリニックで運用されている目標についてスタッフに質問すると、以下の率直な答えが返ってきました。
院長先生 「仕事を行う上で目標を設定することは、私にとっては常識です。組織を健全に運営していくために必要な、経営者とスタッフとの約束事だと思っています。今年の目標は 『医療と経営の質の向上』 で、今医師と看護師、管理栄養士とで行っている生活指導をより良くすることを目的に掲げました。スタッフは 『本を月に1冊読む』 『外部研修に参加する』 とか個々の目標を設定していますが、表面上達成しているように見えても、実際に現場で何か変化があるかというとそうでもなく……自分が設定したのに無責任に思えて仕方がありません」
そこで、このクリニックで 「組織と自分のための目標設定」 に関する全体研修を行うことになりました。現在このクリニックで運用されている目標についてスタッフに質問すると、以下の率直な答えが返ってきました。
- 目標設定は組織としてやらなければならない義務(命令)なので設定した
- 目標が自分にとってどんな意味があるかは考えたことがない
- 設定したから実行できるように努力しているが、 「やらされ感」 がある
- プライベートの目標は 「ダイエット」 や 「趣味に関するもの」 を掲げているが、仕事で設定しているものに比べると 「やりたい」 と思える
そしてスタッフから院長先生へこんな質問が飛び出しました。
スタッフ 「何となく目標が必要であることは分かるのですが、キチンと説明できません。なぜ目標が必要なのですか?」
院長先生は言葉に詰まってしまったのでした。
そこで、研修では順を追ってお話いただきました。
スタッフ 「何となく目標が必要であることは分かるのですが、キチンと説明できません。なぜ目標が必要なのですか?」
院長先生は言葉に詰まってしまったのでした。
そこで、研修では順を追ってお話いただきました。
- あなたにとってor自分たちにとって目標は本当に必要? ⇒ 必要だと思う
- なぜ目標は必要? ⇒ 目標がなかったら仕事や生活に張りがない、つまらない。なんのために行っているのか分からないものに自分の大切な時間を使いたくない
- どんな目標だったら前向きに取り組める? 仕事や生活の張りになる? ⇒ 自分が行いたいこと、遣り甲斐を感じられるもの、ワクワクするもの
- もっと具体的に!どんな目標だとワクワクする? ⇒ 達成できる実感が分かるようなもの、達成できる可能性の高いもの、評価が分かりやすいもの(評価が人により差が出にくいもの)
その後、何となく 「必要だから目標を立てる」 ことをしていた組織は、 「自分たちが行いたいから目標を立てて計画的に実行し、結果を認め合う」 組織に変化しています。
院長先生 「当たり前を当たり前にしないことは、こんなに重要なのですね。私にとっては常識でも、無意識に押し付けていたことに改めて気づきました。今後もスタッフと協力し、当たり前だと自分が思ったとしてもスタッフの理解について話し合って取り組んでいきたいと思います」
このケース、どのような感想を持ちましたか? 誰もが自分の認識が正しいと思って発言し、行動しているものですが、相手が同じ思いなのかどうかは相手にしか分からないものです。確かに、目標管理を行う組織は増えており、不要だと思う方はほとんどおられないと思いますが、 「不要と思わない」 ことと 「必要だから実行する」 ことは同じ意味ではありません。
組織とは本来 「目的を共にした集団」 のはずです。皆様の組織では同じ目的のために行動する組織となっていますか? ただ 「同じ職場で働くための集団」 という具合に、目的ではなく手段を共にした組織になっていませんか?このケースが皆さまにとって、目的を共にした集団としての組織であることを改めて自覚いただくと共に、目的を達成するための目標の立て方について今一度考える機会になれば幸いです。
【2024. 11. 1 Vol.603 医業情報ダイジェスト】
院長先生 「当たり前を当たり前にしないことは、こんなに重要なのですね。私にとっては常識でも、無意識に押し付けていたことに改めて気づきました。今後もスタッフと協力し、当たり前だと自分が思ったとしてもスタッフの理解について話し合って取り組んでいきたいと思います」
このケース、どのような感想を持ちましたか? 誰もが自分の認識が正しいと思って発言し、行動しているものですが、相手が同じ思いなのかどうかは相手にしか分からないものです。確かに、目標管理を行う組織は増えており、不要だと思う方はほとんどおられないと思いますが、 「不要と思わない」 ことと 「必要だから実行する」 ことは同じ意味ではありません。
組織とは本来 「目的を共にした集団」 のはずです。皆様の組織では同じ目的のために行動する組織となっていますか? ただ 「同じ職場で働くための集団」 という具合に、目的ではなく手段を共にした組織になっていませんか?このケースが皆さまにとって、目的を共にした集団としての組織であることを改めて自覚いただくと共に、目的を達成するための目標の立て方について今一度考える機会になれば幸いです。
【2024. 11. 1 Vol.603 医業情報ダイジェスト】
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