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職群管理の目的と最近聞かれる課題と対策
若い人材の確保は最優先課題
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功先日出席した病院の人事制度委員会で、専門職の評価要素(役割基準)の見直しについて提案がありました。この病院では、管理職群と専門職群、専任職群、一般職群といった職群に区分し人事管理を行っていますが、管理職の基準が年々引き上げられているなか、専門職と公平さを欠くようになったため、専門職の基準を上げるべきだとの提案でした。ちなみに、この病院では、管理職群と専門職群は同じ位置付け(等級)となっています。
働く人の意思や適性、能力、ライフイベント等に対応するために、さまざまな職群を設け、人事制度を運用している病院もあると思いますが、基準と処遇等のバランスを崩すと、基準の低い職群に人が流れ人材マネジメントが難しくなります。例えば、少子化のなか、子育て支援をするような職群を設けると、子育てをしない職員の負担が大きくなるといった課題も聞かれます。
そこで今回は、職群管理の目的と導入の課題と対策について考えます。
働く人の意思や適性、能力、ライフイベント等に対応するために、さまざまな職群を設け、人事制度を運用している病院もあると思いますが、基準と処遇等のバランスを崩すと、基準の低い職群に人が流れ人材マネジメントが難しくなります。例えば、少子化のなか、子育て支援をするような職群を設けると、子育てをしない職員の負担が大きくなるといった課題も聞かれます。
そこで今回は、職群管理の目的と導入の課題と対策について考えます。
職群管理の目的と導入の難しさ
若年労働力が減少している今、組織の将来を考えれば、若い人材の確保は最優先課題と言えます。そして、若者の価値観が多様化していくなか、それに対応するプログラムを用意しておかざるを得ません。それが、いわゆる職群管理です。能力主義が主流であった我が国の人事制度において、職群管理の目的は、賃金に格差を設けるというよりは、人材の評価や育成を、個人個人の意思や適正、能力等に応じて行うことであったと言えます。しかし、賃金の格差などが不十分であれば、楽な職群を選ぶ人が増えることは考えておかなければなりません。
以前、筆者は病院からの要望で、病院の事務職を総合職と一般職という形で職群管理を行いました。複数の病院を擁する法人で、異動も定期的に行われ、単身赴任をしている事務職員も多いということでした。そこで、一般職については、異動を免除する代わりに、上位の役職に就くことはできず、賃金は若干下がる形にしたのです。しかし、この制度を導入した途端、数名の課長が一般職への転換を希望してしまいました。個人の意思や価値観を尊重した人事制度を導入することは理想ではありますが、実際の人事管理の面では、このように支障を来すことも起こり得ます。したがって、新しい職群を設けることで、職員がどのような行動を起こすかを想定して検討を進める必要があります。この病院においても、検討メンバーの意見を聴くだけではなく、事務職の意識調査を行った上で導入すべきだったと反省しています。
以前、筆者は病院からの要望で、病院の事務職を総合職と一般職という形で職群管理を行いました。複数の病院を擁する法人で、異動も定期的に行われ、単身赴任をしている事務職員も多いということでした。そこで、一般職については、異動を免除する代わりに、上位の役職に就くことはできず、賃金は若干下がる形にしたのです。しかし、この制度を導入した途端、数名の課長が一般職への転換を希望してしまいました。個人の意思や価値観を尊重した人事制度を導入することは理想ではありますが、実際の人事管理の面では、このように支障を来すことも起こり得ます。したがって、新しい職群を設けることで、職員がどのような行動を起こすかを想定して検討を進める必要があります。この病院においても、検討メンバーの意見を聴くだけではなく、事務職の意識調査を行った上で導入すべきだったと反省しています。
最近、職群管理の問題で聞かれることと、それを回避する方策
職群管理の問題として最近聞かれる一つは、30代くらいの看護師の採用を目指し、夜勤を免除することや、少なくする職群を設けたところ、そこに人が集中してしまったということです。就学前の子育て中はやむを得ないですが、1つの職群として認めてしまうと、子育てが終わっても総合職に戻ってもらえないという問題が発生します。しかも、以前支援した病院では、子どもの扶養手当が非常に高額であったこともあり、子育てをしている看護師ばかりが集まり、夜勤免除の職群にいるわけですから、子どものいない夜勤をしている看護師の負担と不満は大きくなるばかりでした。
職員のライフイベントに合わせた職群を作ることは大切ですが、子どもが何歳になったら総合職群に戻るなど、職群転換の基準を明確にしておかなければ、楽な職群に人が集まることになります。そのようにならないためにも、仕事の内容に合わせて、適切な賃金格差も作っておかなければならないと考えます。すなわち、子育て中の職群の賃金を下げ、その職員の分も頑張ってくれている職員の処遇を見直すなどして、この問題を回避しつつ、子育て中の職員が働きやすくなる職群を作る必要があるのではないでしょうか。
職群の賃金を下げる方法は、子育て中の職群の等級を下げて賃金が下がるようにすることや、該当職群の賃金体系を低く設定することが考えられます。公平さだけでなく病院経営のことも考え、このような対処も必要ですが、子育てを応援し少子化対策に貢献しようと思えば、企業が行っている育休取得者の同僚への支援策などが参考になります。例えば、三井住友海上は、社員が育児休業を取得した場合、育休職場応援手当を職場の同僚全員に支給するという報道がされていました。あるいは、育休取得者の仕事をサポートした職員の人事評価に加点をする仕組みを入れた企業もあります。このように、子育て中の職群の職員が多い部署の同僚職員に手当を支給する、人事評価で加点をする、夜勤しない人の分まで夜勤した人の手当を上げるといった、子育て中の職群の職員が多くいる部署の同僚職員の処遇をよくする方策が必要だと考えます。
【2024. 11. 15 Vol.604 医業情報ダイジェスト】
職員のライフイベントに合わせた職群を作ることは大切ですが、子どもが何歳になったら総合職群に戻るなど、職群転換の基準を明確にしておかなければ、楽な職群に人が集まることになります。そのようにならないためにも、仕事の内容に合わせて、適切な賃金格差も作っておかなければならないと考えます。すなわち、子育て中の職群の賃金を下げ、その職員の分も頑張ってくれている職員の処遇を見直すなどして、この問題を回避しつつ、子育て中の職員が働きやすくなる職群を作る必要があるのではないでしょうか。
職群の賃金を下げる方法は、子育て中の職群の等級を下げて賃金が下がるようにすることや、該当職群の賃金体系を低く設定することが考えられます。公平さだけでなく病院経営のことも考え、このような対処も必要ですが、子育てを応援し少子化対策に貢献しようと思えば、企業が行っている育休取得者の同僚への支援策などが参考になります。例えば、三井住友海上は、社員が育児休業を取得した場合、育休職場応援手当を職場の同僚全員に支給するという報道がされていました。あるいは、育休取得者の仕事をサポートした職員の人事評価に加点をする仕組みを入れた企業もあります。このように、子育て中の職群の職員が多い部署の同僚職員に手当を支給する、人事評価で加点をする、夜勤しない人の分まで夜勤した人の手当を上げるといった、子育て中の職群の職員が多くいる部署の同僚職員の処遇をよくする方策が必要だと考えます。
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