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リハビリテーションについての変更点や運用の留意点

実施計画書の要件が見直された
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
令和4年改定において、質の高いリハビリテーションを推進しつつ事務手続の簡素化を図るため、実施計画書の要件が見直されました。

本稿では「リハビリテーション」についての変更点や運用の留意点をお伝えいたします。

●Point1: リハビリテーション運用の手順
①医師の指示
※ 具体的な指示事項が必要。例)リハビリテーションの必要量及び内容、リハビリテーションを実施するに当たっての禁忌事項等。( R2/3/31 疑義解釈その1 問124)
②リハビリ開始
③機能検査等を基に効果判定
④実施計画書の作成(7日以内遅くとも14日以内)
※ 1回目以降3ヶ月(暦月)に1回、作成及び説明が必要。
⑤ 患者または家族等に医師により説明の上交付し、計画書にサインを頂く
※ 自筆の署名(電子的な署名を含む)がある場合には印は不要。( R2/3/31 疑義解釈その1 問117)
※ 計画書作成前に署名を得ることを要件とはしていない。( R 2/3/5 R 2年診療報酬改定説明会Q& A 厚労省)
⑥計画書の写しをカルテに添付

Q1: 令和4年改定におけるリハビリテーション実施計画書の変更点を教えて下さい。
A1: 上記Point1の⑤の署名において変更点があります。計画書が2回目以降であり、計画書に患者さん自ら署名が困難で、家族が遠方居住などで署名が困難な場合は、家族等に情報通信機器等で計画書の内容を説明し、内容及びリハビリの継続の同意を得た旨をカルテに記載すれば、署名がなくても差し支えないことになりました。添付だけでは不可です。

●Point2: 前述A1の留意点
  •  このような場合も、患者さんまたは家族等に計画書の交付は必要です。
  •  交付する計画書の署名欄は、計画書を作成した医師が、署名欄に同意を取得した旨と同意を取得した家族等の氏名及びその日時を記載します。(R4/3/31 疑義解釈その1 問201)

Q2: 身寄りがなく患者さん自ら実施計画書の署名が困難な場合はどう対応したらよいでしょうか。
A2: 患者さん自ら署名が困難な場合は、署名は空欄とし、理由をカルテに記載することが必要です。

●Point3: 実施計画書の留意点
  •  多職種協働で作成したリハビリ実施計画書の説明は、リハスタッフではなく医師による説明が必要。(R2/3/31 疑義解釈その1 問121)
  •  リハビリテーション総合実施計画書を作成した場合は、リハビリテーション実施計画書として取り扱うこととして差し支えない。(R2/3/31 疑義解釈その1 問120)
  •  患者の状況に大きな変更がない場合に限り、リハビリ実施計画書に該当する1枚目の新規作成は省略しても差し支えない。なお、その場合も3ヶ月に1回以上リハビリ実施計画書の作成及び説明等が必要。(R2/3/31 疑義解釈その1 問125)
  •  作成は原則7日以内だが、入院期間が5日の場合は入院期間中に作成。(R2/3/31 疑義解釈その1 問118)
  •  術前にリハビリを実施し、術後、手術日を起算日として新たにリハビリテーション料を算定する場合は、新たに実施計画書を作成。(R2/3/31 疑義解釈その1 問119)
  •  記載事項の指標はADL項目としてBIまたはFIMのいずれかを用いる。

●Point4: カルテ記載と添付
<記載>
全患者 ⇒ 機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始と終了)をカルテ等に記載
疾患別リハの標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハを行う患者 ⇒ 継続日をカルテに記載
<添付>
リハビリ実施計画書の写し


【2023. 2. 15 Vol.562 医業情報ダイジェスト】