病院
コンピューターを活用した審査事務における傾向や留意点
2024年4月までに基金・国保のコンピューターチェックを全国統一
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由現在審査支払機関改革により、コンピューターを活用した審査事務が推進されています。その中で掲げられていることとして、2023年度中に、レセプト全体の9割程度をコンピューターチェックで完結すること、2024年4月までに基金・国保のコンピューターチェックを全国統一することがあります。
本稿では検査における査定事例を挙げ、傾向や留意点についてお伝えいたします。
Q1:TR ACP-5bについて
事由JC:縦覧点検、医学的判断により保険診療上不適当。解釈と対応を教えて下さい。
【R5.4月レセプト 査定部分抜粋】
D008「27」TR ACP-5bを令和5年4月25日実施。前回は骨粗鬆症を疑い、令和4年9月23日実施し確定。投与薬剤の変更はなし。
傷 病 名(1)(主)乳癌、(2)骨粗鬆症
診療開始年月日(1)R3.7.12、(2)R4.9.23
60 * TRACP-5b 156×1*補助診断実施年月日 令和4年9月23日
A1: TR ACP-5bの算定とレセプト記載の解釈は次の解説のとおりです。
●Point: TRACP-5bの算定とレセプト記載
①診断補助として実施した場合に1回算定。
② その後6月以内の治療経過観察時(確定診断後)の補助的指標として実施した場合に1回算定。その際、診断補助実施年月日をレセプトに記載する。 診療行為コード850100159
③治療方針を変更した際には変更後6月以内に1回算定。その際、治療方針変更年月日をレセプトに記載する。 診療行為コード850100160
よって、骨粗鬆症の①診断補助としてR4.9.23に算定をし、その後治療を行い②は治療後6月以内の治療経過又は③の薬剤を含め治療方針の変更後6月以内になります。本症例は薬剤の変更がないため、②の治療経過観察時と判断されました。確定診断後6月以内に実施した場合算定できる要件のため、R5.4.25実施の検査は、補助診断実施から6月経過しているため「C」の医学的に診療報酬上適当ではないという査定になります。
●Point: 骨転移の診断目的の場合
本症例は乳癌が確定している患者です。骨転移の診断目的の場合は、検査料の算定ではなく、B001「3」ロの悪性腫瘍特異物質治療管理料の算定になります。
Q2: D007「17」CKアイソザイム、D007「29」TnT定性・定量検査について事由B:過剰。解釈を
教えて下さい。
【R5.3月レセプト 査定部分抜粋】
傷 病 名(1)(主)尿路結石症、(2)心筋梗塞の疑い
診療開始年月日(1)R5.1.18、(2)R5.3.15
60 *末梢血液一般 21×1、* CRP 16×1、* CKアイソザイム 55×1、* TnT定性・定量 112×1
A2: 「急性心筋梗塞」診断に必要な心電図検査等段階的検査の実施がなく、CKアイソザイムとTnT定性・定量検査の実施が過剰としてB査定になりました。
●Point: 日本循環器学会「急性冠症候群診療ガイドライン」
急性心筋梗塞診断のフローチャートにおいても、心電図検査を実施し心筋梗塞を示唆した場合に、心筋マーカーを行うことが示されています。
①基本的検査
心電図、血液(CBC)、生化学(AST,A LT,LD,CPK,CRP)、動脈血ガス、胸部 X 線
② 心筋梗塞を示唆した場合確定診断のための検査
生化学的心筋マーカー(CK - MB、心筋トロポニンT、心臓型脂肪酸結合蛋白)、心エコー
https://www.jslm.org/books/guideline/05_06/135.pdf
https://w w w.jstage.jst.go.jp/ar ticle/naika/110/1/110_78/_pdf/-char/ja
●Point: 令和4年度「保険診療の理解のために」抜粋
【検査の実施方針】
・ 検査は、診療上の必要性を十分考慮した上で、段階を踏んで必要最小限に行う。
【不適切な検査の具体例】
・ 検査の必要性が低い項目を含む不適切なセット検査→ セット検査(入院時セット、術前(後)セット、〇〇病セットなど)を、患者ごとに必要な項目を吟味せず画一的に実施
→ スクリーニング的に多項目(出血凝固線溶系検査、免疫系検査、甲状腺機能検査等)を画一的に実施
・検査の重複 → 甲状腺機能を調べるために、FT3とT3(FT4とT4)を画一的併施
【2023. 6. 15 Vol.570 医業情報ダイジェスト】
本稿では検査における査定事例を挙げ、傾向や留意点についてお伝えいたします。
Q1:TR ACP-5bについて
事由JC:縦覧点検、医学的判断により保険診療上不適当。解釈と対応を教えて下さい。
【R5.4月レセプト 査定部分抜粋】
D008「27」TR ACP-5bを令和5年4月25日実施。前回は骨粗鬆症を疑い、令和4年9月23日実施し確定。投与薬剤の変更はなし。
傷 病 名(1)(主)乳癌、(2)骨粗鬆症
診療開始年月日(1)R3.7.12、(2)R4.9.23
60 * TRACP-5b 156×1*補助診断実施年月日 令和4年9月23日
A1: TR ACP-5bの算定とレセプト記載の解釈は次の解説のとおりです。
●Point: TRACP-5bの算定とレセプト記載
①診断補助として実施した場合に1回算定。
② その後6月以内の治療経過観察時(確定診断後)の補助的指標として実施した場合に1回算定。その際、診断補助実施年月日をレセプトに記載する。 診療行為コード850100159
③治療方針を変更した際には変更後6月以内に1回算定。その際、治療方針変更年月日をレセプトに記載する。 診療行為コード850100160
よって、骨粗鬆症の①診断補助としてR4.9.23に算定をし、その後治療を行い②は治療後6月以内の治療経過又は③の薬剤を含め治療方針の変更後6月以内になります。本症例は薬剤の変更がないため、②の治療経過観察時と判断されました。確定診断後6月以内に実施した場合算定できる要件のため、R5.4.25実施の検査は、補助診断実施から6月経過しているため「C」の医学的に診療報酬上適当ではないという査定になります。
●Point: 骨転移の診断目的の場合
本症例は乳癌が確定している患者です。骨転移の診断目的の場合は、検査料の算定ではなく、B001「3」ロの悪性腫瘍特異物質治療管理料の算定になります。
Q2: D007「17」CKアイソザイム、D007「29」TnT定性・定量検査について事由B:過剰。解釈を
教えて下さい。
【R5.3月レセプト 査定部分抜粋】
傷 病 名(1)(主)尿路結石症、(2)心筋梗塞の疑い
診療開始年月日(1)R5.1.18、(2)R5.3.15
60 *末梢血液一般 21×1、* CRP 16×1、* CKアイソザイム 55×1、* TnT定性・定量 112×1
A2: 「急性心筋梗塞」診断に必要な心電図検査等段階的検査の実施がなく、CKアイソザイムとTnT定性・定量検査の実施が過剰としてB査定になりました。
●Point: 日本循環器学会「急性冠症候群診療ガイドライン」
急性心筋梗塞診断のフローチャートにおいても、心電図検査を実施し心筋梗塞を示唆した場合に、心筋マーカーを行うことが示されています。
①基本的検査
心電図、血液(CBC)、生化学(AST,A LT,LD,CPK,CRP)、動脈血ガス、胸部 X 線
② 心筋梗塞を示唆した場合確定診断のための検査
生化学的心筋マーカー(CK - MB、心筋トロポニンT、心臓型脂肪酸結合蛋白)、心エコー
https://www.jslm.org/books/guideline/05_06/135.pdf
https://w w w.jstage.jst.go.jp/ar ticle/naika/110/1/110_78/_pdf/-char/ja
●Point: 令和4年度「保険診療の理解のために」抜粋
【検査の実施方針】
・ 検査は、診療上の必要性を十分考慮した上で、段階を踏んで必要最小限に行う。
【不適切な検査の具体例】
・ 検査の必要性が低い項目を含む不適切なセット検査→ セット検査(入院時セット、術前(後)セット、〇〇病セットなど)を、患者ごとに必要な項目を吟味せず画一的に実施
→ スクリーニング的に多項目(出血凝固線溶系検査、免疫系検査、甲状腺機能検査等)を画一的に実施
・検査の重複 → 甲状腺機能を調べるために、FT3とT3(FT4とT4)を画一的併施
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