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個室料(差額ベッド代)の減免について考える②

減免状況を可視化する
あすの監査法人 公認会計士 山岡 輝之
前回に引き続き、個室料(差額ベッド代)の減免について考えてみたいと思います。前回は、減免申請書の記載内容や承認フローの問題、また、減免することで厚生局への届出金額と異なることによるリスクについて取り上げました。今回は、減免状況の管理について考えます。
皆様の病院では、個室料の減免額の発生状況を把握管理されていますか。個室料は病院が提供している重要なサービスであり、年間で何千万円にもなる重要な収益源です。より良い療養環境を患者に提供しているわけであり、当然の対価として本来はしっかり患者に請求し、その対価を受け取らなくてはなりません。しかし、現場ではなんとなく患者に十分な説明もできず、結果として個室料を請求しきれていない状況がないでしょうか。
このような問題に対し、病院としてどのように減免を管理していくべきか、考えていきたいと思います。

【減免状況を可視化する】

監査等で訪問している医療機関の報告資料を見ますと、病床区分や病棟別の病床稼働率を把握し、報告されているところまでは問題なくできていると思います。しかし、個室の稼働状況も管理報告している医療機関はほとんど見たことがありません。
個室の稼働状況や減免状況について報告する場合、どのような様式で報告するのが望ましいか、監査先の医療機関と打ち合わせをする中で進めていった報告例を今回は紹介したいと思います。
下表はある医療機関での個室の稼働率を金額ベースで算定した報告資料の例になります。


 
この表の右端にある年間での数値で説明しますと、 「②室料差額(実稼働)」 より、稼働状況を考慮すれば最大で1億30百万円の差額ベッド代を得ることができたにもかかわらず、 「④減免額」 が78百万円あるため、最終的な 「③収入実績(室料差額収入)」 は52百万円にしかなっていません。 「⑨減免率(実稼働)」 では59.71%と金額ベースで50%以上の差額ベッド代を減免していることを示し、病院収入に大きな影響を与える結果となっています。
この医療機関では、この表を用いて毎月の経営会議で減免状況を報告し、個室料(差額ベッド代)の請求を徹底することで、減免率を下げ、室料差額収入の確保に繋がっています。


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【2024. 10. 1 Vol.601 医業情報ダイジェスト】