保険薬局
調剤報酬改定 ~医療DXと残薬対策~
ファーマ・トピックス・マンスリー
たんぽぽ薬局株式会社 薬剤師 緒方 孝行
2025年12月19日に開催された中央社会保険医療協議会(以下、中医協)総会では、「個別事項(医療DX、残薬対策)」 が議題となり、医療DXの推進における評価体制の在り方や残薬対策への具体的な施策や評価の在り方について議論された。
■医療DXの推進と評価体制の在り方
議論の中心の一つとなったのが 「医療DX推進体制整備加算」 の在り方である。医療DXの強力な推進のため2024年度診療報酬改定で新設され、2024年6月から算定開始となったが、今回の中医協においては 「役割を終えた」 とされ、その評価の見直し・廃止が支払い側から求められた。一方で、日本医師会や日本薬剤師会の現場側は、「現場での負担感は継続しており、医療DXが普及している最中である」 と主張している。医療DXを推進していくためには、より丁寧な患者対応やサイバーセキュリティ対策をはじめ様々なランニングコストなど現場での負担があり、「一定程度、普及したので加算を外す」 ということは、到底受け入れられないだろう。医療DXの推進により、質の高い医療提供への効果が示され、国民の健康増進に寄与しているのであれば、一定の評価を継続することを求めていくべきだろう。
■電子処方箋対応への評価見直し
電子処方箋の活用による評価については、一定の理解が示された。電子カルテ情報の共有により、質の高い医療を受けることができるなどの患者側のメリットを考慮すれば、そういった業務への評価を新設することは可能だという認識である。ここから、医療DXに関する加算については、“普及を推進するフェーズ” から “情報を活用していくフェーズ” に移りつつあることが分かる。これからの薬局薬剤師は、情報を得て、いかにそれを活用し患者貢献に繋げるか、が常に問われることになる。そうした貢献の積み重ねが、新たなる評価を創出することに繋がっていくのだ。
■残薬対策と現状の整理
過去の調査や推計を見ると、日本においては概ね数百億円~千億円の残薬があると示されることが多い。その残薬について、薬剤師が介入することで大きく削減されることが期待されている。令和7年度薬局および医療機関における薬剤師の業務実態調査においても、自宅に残薬があり、残薬整理を希望する患者のうち約8割がその相談しやすい相手として薬剤師を挙げている。実際に薬局で業務をしている時でも、「医師は忙しそうで伝えられなかった」 「飲み忘れていたことを叱責されると思い、言えなかった」 などと言われることが多い。ときには、「飲み忘れた分は間違えて飲まないように捨てている」 と言われることもある。もちろん、飲み忘れないような工夫を伝えたり、処方変更を依頼したりすることは薬剤師の責務だと思うが、一方で貴重な医療資源である医薬品をみすみす廃棄してしまいかねない現状は是正されるべきだと考える。
そうした現状を加味して、厚労省は処方箋を通じて、残薬調整を薬局に 「事前指示」 することを提案している。限りある医療資源を最大限活用するためには、多角的な介入が必要不可欠であり、その工程は安全性が担保されているのであれば、シンプルであればあるほどよい。だが、日本医師会は、処方権という言葉で反対の意向を示している。既にこうした取り組みを行っている事例が紹介されたが、処方箋様式を変更してまで行うものではないという意見である。しかし、現状の制度で問題が生じているのであれば是正されるべきであり、処方箋における事前指示のもと、患者とコミュニケーションを図り、適切な処方量を患者に交付することは薬剤師の役務そのものだと言える。疑義照会による待ち時間や現場負担を考えると事前指示は効果的な施策であるように感じる。もちろん、医療安全性が確保されているという大前提においてだが、薬剤師の職能を発揮 できる対人業務となり得るだろう。
医療DXや残薬対策についても、薬剤師に求められることは同じであり、安全性・質の高い医療提供をいかに効率的に患者に届けることができるかだろう。医療DXが広く普及すれば、重複チェックの精度も上がり、より質の高い薬物治療の提供が可能となる。薬剤師が一定の裁量のもとで、権限の一部を拡大することでかなり幅の広い支援が可能となる。もちろん、患者の安全性が確保されていることが前提条件となるが、これからの医療ニーズと医療的リソースのバランスを考慮すれば、今からそういった土壌を整理していかなければ、現在の医療提供体制の維持は困難になるのではないだろうか。

中医協 総会第637回 個別事項について(その19)残薬 対策より一部抜粋
【2026年2月号 Vol.10 Pharmacy-Management 】
そうした現状を加味して、厚労省は処方箋を通じて、残薬調整を薬局に 「事前指示」 することを提案している。限りある医療資源を最大限活用するためには、多角的な介入が必要不可欠であり、その工程は安全性が担保されているのであれば、シンプルであればあるほどよい。だが、日本医師会は、処方権という言葉で反対の意向を示している。既にこうした取り組みを行っている事例が紹介されたが、処方箋様式を変更してまで行うものではないという意見である。しかし、現状の制度で問題が生じているのであれば是正されるべきであり、処方箋における事前指示のもと、患者とコミュニケーションを図り、適切な処方量を患者に交付することは薬剤師の役務そのものだと言える。疑義照会による待ち時間や現場負担を考えると事前指示は効果的な施策であるように感じる。もちろん、医療安全性が確保されているという大前提においてだが、薬剤師の職能を発揮 できる対人業務となり得るだろう。
医療DXや残薬対策についても、薬剤師に求められることは同じであり、安全性・質の高い医療提供をいかに効率的に患者に届けることができるかだろう。医療DXが広く普及すれば、重複チェックの精度も上がり、より質の高い薬物治療の提供が可能となる。薬剤師が一定の裁量のもとで、権限の一部を拡大することでかなり幅の広い支援が可能となる。もちろん、患者の安全性が確保されていることが前提条件となるが、これからの医療ニーズと医療的リソースのバランスを考慮すれば、今からそういった土壌を整理していかなければ、現在の医療提供体制の維持は困難になるのではないだろうか。

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