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乳房トモシンセシス加算と読影料の留意点

他医療機関より持参した情報を診断した場合に算定できる項目があります
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
乳癌診療ガイドラインでは、マンモグラフィと比較してトモシンセシスの方が乳癌診断における感度と特異度が高く、偽陽性率が少ないことが示されています。その結果、2024年改定では、新たに乳房トモシンセシス加算が設けられました。
本稿では最近ご質問のある乳房トモシンセシス加算や読影料について運用の留意点をお伝えいたします。

【乳房撮影】
E001 4 写真診断(一連につき) 306点
E002 4 撮影料(一連につき) ロ.デジタル 202点
注6 乳房トモシンセシス加算 +100点
通則4 電子画像管理加算 54点又はフィルム料

【対象患者】
乳癌を疑う症状を有する患者、触診・マンモグラィ・超音波などの検査で乳癌が疑われる患者、乳癌の他に線維腺腫などの良性乳腺腫瘍や乳腺症などの全般的な乳腺疾患の患者

Q1: マンモグラフィは2方向撮影しないと算定できませんが、乳房トモシンセシス加算は、片方全摘した患者に片側のみ撮影した場合、算定できないのでしょうか。
A1: 通知に記載されているものは原則であり、摘出後等で片側のみ撮影する患者についてもマンモグラフィの算定は可能です。よって、乳房トモシンセシス加算は算定可能です。(2024年10月30日 関東信越厚生局東京事務所 指導課指導第一係 確認)

【参考】通知 E002 乳房撮影
原則として両側の乳房に対し、それぞれ2方向以上の撮影を行うものをいい、両側について一連として算定する。

Q2: 他医療機関で乳房撮影したエックス線を診断た場合、読影料は算定できますか。
A2: 他医撮影の読影料として、306点を算定できます。

Q3: 乳房撮影のエックス線の読影料は、初診時と再時、共に算定できますか。
A3: エックス線の読影料は、初再診時、共に算定できす。CT・MRIの読影料は、初診時のみとなりますでご留意下さい 他にも、他医療機関より持参した情報を診断し場合に算定できる項目があります。表をご参照下い。

●Point:読影料の算定
1つの撮影方法に対し、撮影回数や枚数に関わらず1回の算定をする。

●Point:読影料のカルテ記載
自院の医師が読影し、診療に反映させていることを記録する必要があります。下記項目を記載してください。
  • 自院の医師の読影結果
  • 結果を診療に活用した場合は、その内容

また、請求の誤りが起きやすく、個別指導の指摘機会が比較的多い事項として、厚生労働省「保険診療確認事項リスト(医科)令和5年度改訂版 ver.3」に次のことが記載されています。

□(1)結果が診療に反映されていない[ 検査 ・ 画像診断 ・ 病理診断 ]の例が認められたので改めること。
□ ウ 画像診断(単純X線・CT・MRI・シンチグラム・PET等)
 ・ 一連で撮影することが出来るCT撮影について治療上の合理的理由が無いにも関わらず分割して実施している。
□他医療機関撮影のCTについて初診以外の日に診断料を算定している。
□ [ 特殊撮影 ・ 乳房撮影 ・ 心臓及び冠動脈の造影剤使用撮影 ] について、一連の撮影にも関わらず、2回目の診断料、撮影料を算定している。

表. 他医療機関より持参した情報を診断した場合に算定できる項目

※ DPC算定患者についても、他医から持参した内視鏡検査写真による診断料は算定可能です


【2024. 12. 15 Vol.606 医業情報ダイジェスト】