組織・人材育成
言いにくいことと、聞きにくいこと
「注意し合えない」 ことに向き合うための研修
株式会社メディフローラ 代表取締役 上村 久子
新たな地域医療構想等に関する検討会では今後更に加速する高齢化と現役世代の急減に備えた議論が進んでいますが、それぞれの医療機関が考える 「こうありたい」 という思いの強さを考えると、地域ごとの議論の行方は気になるところです。今回は、そんな職場における話し合いの中で起こる心の動きに焦点を当てて書き記していきたいと思います。
ケース:
中国地方にあるクリニックのお話です。このクリニックのある法人は、全体的にとても職員間の仲が良く、若い世代が多く活気に溢れています。このクリニックも同様にスタッフ同士は非常に仲が良く、人間関係を理由とする退職はこの数年間1度も出ていません。そんなこのクリニックでは悩みがありました。それは 「注意し合えない」 こと。ある日、筆者を講師として、この課題に向き合うための研修が行われました。
筆者:どんなに仲が良いもの同士でも言いにくいことはあると思います。皆さまにとってどんなことが言いにくいですか?
スタッフ:相手を傷つけてしまうのではないかと思うようなことは言えません。
筆者: 「歯に青のりが付いていますよ!」 と言えますか?誰なら言えますか?なぜ言えないのですか?
スタッフ:え、だって青のりが付いているなんて恥ずかしいじゃないですか。言いにくいです。怒る人もいるだろうし、絶対に言えません。
筆者:逆のことを考えてみましょう。あなたが歯に青のりが付いていたとして(笑)!誰かから 「青のりが付いていますよ」 と言われたくないですか?それはなぜですか?
スタッフ:それは……言ってほしいです。自分が気付かないうちに恥をかいているなんて恥ずかしいじゃないですか。あれ?言いたくないのに言われたいなんて変ですね。
筆者:青のりから離れましょう(笑)。お仕事の中で、自分は気が付かなくても非効率なことをやっていたり、誰かの迷惑になったりしてしまうことはあると思います。この場合はどうでしょうか?言いにくさ、聞きにくさはいかがですか?
スタッフA:青のりと同じく、言いにくいけど言われたい、聞きたいと思います。多分、聞いた瞬間はショックを受けると思いますが、言われないと気が付かない点は誰にでもあると思いますし、自分の成長にも繋がるからです。
スタッフB:とってもタイムリーな話で……つい先日、先輩であるAさんから器材の扱いについて 「うるさいよ!もっと丁寧に扱って」 と指摘されたのですが、ショックを受けてしまいあまり良い受け答えをしなかったことを思い出しました。Aさんは全く悪くないのに 「うるさい」 という言葉にショックをうけてしまって……なんでそんな言い方をするんだろうと思ってしまいました。でも、実際私は忙しくなると行動が雑になってしまうので冷静になると 「うるさかったな」 と。正直ぎくしゃくしてしまっていたのですが、この場を借りて私の態度についてAさんにお詫びしたいと思います。
筆者:言葉に振り回されてしまっていた良い事例ですね。もしかしたら 「聞きたくない!」 と感じる言葉の中に、自分の成長に繋がるヒントがあるのかも知れませんよ。
このケース、どのような感想を持ちましたか?このように一見とても仲が良さそうな組織であっても 「このことを伝えるとショックを受けてしまうかもしれない」 「関係性が悪くなるかもしれない」 と、相手との関係性の悪化を恐れて伝えられなくなることはあると思います。このご時世 「パワハラと言われてしまうのではないか」 と懸念するリーダーの声もよく聞きます。時代の流れもあり、強い発言を身に受ける機会は少なくなってきたため、指摘された際にショックを受けてしまう方も少なくないのだろうと想像します。ただ、冷静に考えると、自分に対する指摘は成長のための気付きに繋がることもありますし、反対に相手が発言する理由は自分に対する成長への期待と取ることもできます。相手のことを考えずにいたずらに指摘をする人もゼロでは無いのかもしれませんが、自分の感情が揺らぐ指摘は成長のきっかけになるのではないでしょうか。
このような 「耳の痛いこと」 を言ってくれる人は皆さまの周りにどれほどいらっしゃいますか?私自身はビジネスコーチに定期的に指導をお願いすることで、自分の成長に繋がる言葉を受け取る訓練をしています。ご自身にとって言いにくいことと聞きにくいことについて考えてみてはいかがでしょうか?
【2024. 12. 15 Vol.606 医業情報ダイジェスト】
筆者:どんなに仲が良いもの同士でも言いにくいことはあると思います。皆さまにとってどんなことが言いにくいですか?
スタッフ:相手を傷つけてしまうのではないかと思うようなことは言えません。
筆者: 「歯に青のりが付いていますよ!」 と言えますか?誰なら言えますか?なぜ言えないのですか?
スタッフ:え、だって青のりが付いているなんて恥ずかしいじゃないですか。言いにくいです。怒る人もいるだろうし、絶対に言えません。
筆者:逆のことを考えてみましょう。あなたが歯に青のりが付いていたとして(笑)!誰かから 「青のりが付いていますよ」 と言われたくないですか?それはなぜですか?
スタッフ:それは……言ってほしいです。自分が気付かないうちに恥をかいているなんて恥ずかしいじゃないですか。あれ?言いたくないのに言われたいなんて変ですね。
筆者:青のりから離れましょう(笑)。お仕事の中で、自分は気が付かなくても非効率なことをやっていたり、誰かの迷惑になったりしてしまうことはあると思います。この場合はどうでしょうか?言いにくさ、聞きにくさはいかがですか?
スタッフA:青のりと同じく、言いにくいけど言われたい、聞きたいと思います。多分、聞いた瞬間はショックを受けると思いますが、言われないと気が付かない点は誰にでもあると思いますし、自分の成長にも繋がるからです。
スタッフB:とってもタイムリーな話で……つい先日、先輩であるAさんから器材の扱いについて 「うるさいよ!もっと丁寧に扱って」 と指摘されたのですが、ショックを受けてしまいあまり良い受け答えをしなかったことを思い出しました。Aさんは全く悪くないのに 「うるさい」 という言葉にショックをうけてしまって……なんでそんな言い方をするんだろうと思ってしまいました。でも、実際私は忙しくなると行動が雑になってしまうので冷静になると 「うるさかったな」 と。正直ぎくしゃくしてしまっていたのですが、この場を借りて私の態度についてAさんにお詫びしたいと思います。
筆者:言葉に振り回されてしまっていた良い事例ですね。もしかしたら 「聞きたくない!」 と感じる言葉の中に、自分の成長に繋がるヒントがあるのかも知れませんよ。
このケース、どのような感想を持ちましたか?このように一見とても仲が良さそうな組織であっても 「このことを伝えるとショックを受けてしまうかもしれない」 「関係性が悪くなるかもしれない」 と、相手との関係性の悪化を恐れて伝えられなくなることはあると思います。このご時世 「パワハラと言われてしまうのではないか」 と懸念するリーダーの声もよく聞きます。時代の流れもあり、強い発言を身に受ける機会は少なくなってきたため、指摘された際にショックを受けてしまう方も少なくないのだろうと想像します。ただ、冷静に考えると、自分に対する指摘は成長のための気付きに繋がることもありますし、反対に相手が発言する理由は自分に対する成長への期待と取ることもできます。相手のことを考えずにいたずらに指摘をする人もゼロでは無いのかもしれませんが、自分の感情が揺らぐ指摘は成長のきっかけになるのではないでしょうか。
このような 「耳の痛いこと」 を言ってくれる人は皆さまの周りにどれほどいらっしゃいますか?私自身はビジネスコーチに定期的に指導をお願いすることで、自分の成長に繋がる言葉を受け取る訓練をしています。ご自身にとって言いにくいことと聞きにくいことについて考えてみてはいかがでしょうか?
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