診療所
クレーム対応時に役立つ禁句トーク集・クッション言葉
クリニック相談コーナー
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦【相談内容】
近畿地方にある開業5年目の内科クリニック院長から「最近、言いがかり的な患者のクレームが頻繁にあります。インターネットへの低評価の口コミ投稿もあり『もし書き込まれたら』と思うとどのように対応すべきか迷ってしまいます。クレームへの適切な対応方法をご教授ください」という相談を頂きました。
【回 答】
患者さんの激しいクレームやモンスターペイシェントへの対応に関する相談が弊社に多く寄せられています。適切に対応できなければ、インターネット上に低評価の口コミを書き込まれたり、スタッフに身体的・精神的なダメージを与えて士気の低下や退職につながったりと、クリニックの運営面にも大きな影響を与えかねません。
また、うまく事態を収めようと焦るあまり、かえって火に油を注ぐ言葉を発してしまうことも多いと思います。例えば、患者さんに説明してもなかなか納得してもらえないときに「何度も説明させていただいているのですが」と言ってしまうのはよくある事例です。「きちんと説明しているのにどうしてわからないのか?」「聞いていないのか?」というニュアンスが患者さんに伝わると、最初は良かれと思ってちょっと指摘するだけのつもりでも、大きな怒りへと変わってしまうケースがあります。クリニック側に非はないという思い込みから、このような言葉が出たと推察されます。しかし、患者さんの立場からすると、まるで自分の理解度が足りないと言われたような感覚になるので「イラッ」とするのも無理もありません。「こちらの説明が悪かったと思いますが」「言葉不足で失礼しました」など、患者さんの責任にしない言葉を選ぶべきです。
こうした相手をイラッとさせるNGワードは、焦った瞬間、とっさに出てきやすいものです。慌てず落ち着いて対応できるように、下記のクレーム対応場面でのNGワード集とクッション言葉を院内で共有して、患者さんに対応して頂くことをお勧めします。
また、患者さんからクレームがあった場合、すぐに用件に入るよりも、クッション言葉を使ってから用件に入るほうが配慮している気持ちが相手に伝わります。自分自身の会話も自然と丁寧になる効果もあります。クッション言葉とは、会話のなかでクッションの役割を果たす言葉です。
クッション言葉が入ると、同じ内容でも相手にやわらかく伝えることができるため、クレーム対応においてはよく使われています。
<クレーム対応場面でのNGワード集>
◇否定的な言葉
・ 知りません。わかりません。できません。聞いてません。
・無理です。
・ それは違います。そんなことありません。
・ 私に聞かれても困ります。私は担当ではありませんから。
◇断定的な言葉
・ そんなことはないです。
・そんなことは言う(する)はずがありません。
・ さっき言ったでしょ。先ほど説明したはずです。~しましたよね。
◇立場を押しつける言葉
・ 以前からそういう仕組み(システム)になっていますから…
・そうこうことは私に聞かないでください。
・ 私達だって好きでやっているんじゃありません。
◇曖昧な言葉
・よくわからないのですが…
・そんなことはないと思いますが…
・たぶん(おそらく)そうだと思います。
◇肩すかし言葉
・へえー
・ふーん それで、、、
・それがどうしたの
・たいしたことないですよ
◇尋問的言葉
・ちゃんと説明を聞かれましたか?
・説明(指示)どおりに行いましたか?
・誰が?何のこと?何処で?
◇その他
・「はいはい」と連呼する
・だって、でも
・ですが…、しかしながら…
・ ~してもらわないとこちらとしても困るのです。
・うちでは無理なので~できません
・ うちの窓口にこんなことを言われても困ります。
<クッション言葉>
●お願いするとき
・恐れ入りますが…
・ 大変恐縮でございますが…
・ お手数をおかけいたしますが…
・ ご迷惑をおかけしますが…
・ご面倒でなければ…
・お時間がありましたら…
・ご都合がよろしければ…
●尋ねるとき
・お差し支えなければ…
・ お尋ねしたいことがあるのですが…
・ うかがいたいことがあるのですが…
●反対意見を述べるとき
・ お言葉を返すようですが…
・ 確かにその通りでございますが…
・ おっしゃることはわかりますが…
●詫びる・断るとき
・申し訳ございませんが…
・ 大変残念でございますが…
・ あいにくでございますが…
・ せっかくでございますが…
・失礼とは存じますが…
・ 身に余るお言葉ですが…
・ お忙しいところ申し訳ありませんが…
・ お手数をおかけし申し訳ございませんが…
・ お役に立てずに申し訳ございませんが…
クッション言葉は、最初は慣れないかもしれませんが、意識して使っていくことで自然にマスターできるようになります。今回はクレーム対応時に役立つ禁句トーク集・クッション言葉をまとめました。TPOに応じて応対トークをご検討頂き、スタッフ一人一人のクレーム応対をレベルアップするヒントにして頂ければ幸いです。
【2023. 4. 15 Vol.566 医業情報ダイジェスト】
また、うまく事態を収めようと焦るあまり、かえって火に油を注ぐ言葉を発してしまうことも多いと思います。例えば、患者さんに説明してもなかなか納得してもらえないときに「何度も説明させていただいているのですが」と言ってしまうのはよくある事例です。「きちんと説明しているのにどうしてわからないのか?」「聞いていないのか?」というニュアンスが患者さんに伝わると、最初は良かれと思ってちょっと指摘するだけのつもりでも、大きな怒りへと変わってしまうケースがあります。クリニック側に非はないという思い込みから、このような言葉が出たと推察されます。しかし、患者さんの立場からすると、まるで自分の理解度が足りないと言われたような感覚になるので「イラッ」とするのも無理もありません。「こちらの説明が悪かったと思いますが」「言葉不足で失礼しました」など、患者さんの責任にしない言葉を選ぶべきです。
こうした相手をイラッとさせるNGワードは、焦った瞬間、とっさに出てきやすいものです。慌てず落ち着いて対応できるように、下記のクレーム対応場面でのNGワード集とクッション言葉を院内で共有して、患者さんに対応して頂くことをお勧めします。
また、患者さんからクレームがあった場合、すぐに用件に入るよりも、クッション言葉を使ってから用件に入るほうが配慮している気持ちが相手に伝わります。自分自身の会話も自然と丁寧になる効果もあります。クッション言葉とは、会話のなかでクッションの役割を果たす言葉です。
クッション言葉が入ると、同じ内容でも相手にやわらかく伝えることができるため、クレーム対応においてはよく使われています。
<クレーム対応場面でのNGワード集>
◇否定的な言葉
・ 知りません。わかりません。できません。聞いてません。
・無理です。
・ それは違います。そんなことありません。
・ 私に聞かれても困ります。私は担当ではありませんから。
◇断定的な言葉
・ そんなことはないです。
・そんなことは言う(する)はずがありません。
・ さっき言ったでしょ。先ほど説明したはずです。~しましたよね。
◇立場を押しつける言葉
・ 以前からそういう仕組み(システム)になっていますから…
・そうこうことは私に聞かないでください。
・ 私達だって好きでやっているんじゃありません。
◇曖昧な言葉
・よくわからないのですが…
・そんなことはないと思いますが…
・たぶん(おそらく)そうだと思います。
◇肩すかし言葉
・へえー
・ふーん それで、、、
・それがどうしたの
・たいしたことないですよ
◇尋問的言葉
・ちゃんと説明を聞かれましたか?
・説明(指示)どおりに行いましたか?
・誰が?何のこと?何処で?
◇その他
・「はいはい」と連呼する
・だって、でも
・ですが…、しかしながら…
・ ~してもらわないとこちらとしても困るのです。
・うちでは無理なので~できません
・ うちの窓口にこんなことを言われても困ります。
<クッション言葉>
●お願いするとき
・恐れ入りますが…
・ 大変恐縮でございますが…
・ お手数をおかけいたしますが…
・ ご迷惑をおかけしますが…
・ご面倒でなければ…
・お時間がありましたら…
・ご都合がよろしければ…
●尋ねるとき
・お差し支えなければ…
・ お尋ねしたいことがあるのですが…
・ うかがいたいことがあるのですが…
●反対意見を述べるとき
・ お言葉を返すようですが…
・ 確かにその通りでございますが…
・ おっしゃることはわかりますが…
●詫びる・断るとき
・申し訳ございませんが…
・ 大変残念でございますが…
・ あいにくでございますが…
・ せっかくでございますが…
・失礼とは存じますが…
・ 身に余るお言葉ですが…
・ お忙しいところ申し訳ありませんが…
・ お手数をおかけし申し訳ございませんが…
・ お役に立てずに申し訳ございませんが…
クッション言葉は、最初は慣れないかもしれませんが、意識して使っていくことで自然にマスターできるようになります。今回はクレーム対応時に役立つ禁句トーク集・クッション言葉をまとめました。TPOに応じて応対トークをご検討頂き、スタッフ一人一人のクレーム応対をレベルアップするヒントにして頂ければ幸いです。
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