保険薬局
医療的ケア児と地域をつなぐ ~小児在宅と薬剤師の関わり~
在宅医療の羅針盤
在宅療養支援診療所薬剤師連絡会 理事 在支診薬剤師 坂 けい子
医療的ケア児の増加
近年の医療の高度化などを背景に、医療的ケア児が増加しています。そのような中で、本人およびその家族が個々の心身の状況などに応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要な課題となっています。
きっかけは、2007年頃から各地で起きた妊婦たらい回し事件です。これを機にNICU(新生児集中治療室)の満床問題が浮き彫りとなり、地域における周産期医療体制の見直しが進みました。2021年6月には 「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」 が制定されました。
この法律では、NICUを退院した医療的ケア児が療養・療育できるよう、地域の医療・保健・福祉・教育・労働などの体制を整備するとともに、家族に対しても相談や助言を推進し、社会全体で支えられるようにしていく方向性が示されています。生命の安全を支える医療を提供する医師とともに、薬剤師も支援者の一員として重要な役割を果たす必要があります。
きっかけは、2007年頃から各地で起きた妊婦たらい回し事件です。これを機にNICU(新生児集中治療室)の満床問題が浮き彫りとなり、地域における周産期医療体制の見直しが進みました。2021年6月には 「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」 が制定されました。
この法律では、NICUを退院した医療的ケア児が療養・療育できるよう、地域の医療・保健・福祉・教育・労働などの体制を整備するとともに、家族に対しても相談や助言を推進し、社会全体で支えられるようにしていく方向性が示されています。生命の安全を支える医療を提供する医師とともに、薬剤師も支援者の一員として重要な役割を果たす必要があります。
小児在宅と薬剤師
小児在宅医療において、子ども本人や家族が抱える不安や負担は大きいものです。例えば、成人と異なり、主な疾患の治療方針は病院の医師が主導して決定することが多く、定期的な病院受診を続けるケースが少なくありません。その際には、医療デバイスを伴う移動や家族のスケジュール調整など、通院にかかる負担が想像以上に大きくなります。病院受診の帰りに処方された薬剤が薬局薬剤師によって自宅に届けられるだけでも、家族の負担はかなり軽減されます。
薬剤師は単に薬学管理にとどまらず、さまざまな調剤の工夫を行い、投与量に細心の注意を払いながら、質の高い小児在宅医療を提供することができます。
薬剤師は単に薬学管理にとどまらず、さまざまな調剤の工夫を行い、投与量に細心の注意を払いながら、質の高い小児在宅医療を提供することができます。
在支診薬剤師からみた小児在宅
全国各地で、小児在宅医療に取り組む診療所が増えています。当院も2014年から小児在宅医療を担い、この10年間で延べ80名の小児患者宅への訪問診療を実施してきました。
小児在宅での主な医療行為は、①本人と兄弟姉妹を含めた予防接種や健診を含むプライマリ・ケア、②胃ろう交換やカニューレ交換など管理料への対応と内服薬の継続、③体調悪化時の緊急対応、④急性期病院との連絡調整(急性期入院やレスパイト入院など)です。
特に小児在宅では、医療・福祉・行政との連携が不可欠であり、地域包括ケアシステムの中で医療的ケア児とその家族を支援していく必要があります。
さらに、診療所に勤務する在支診薬剤師にとって、多職種との連携は欠かせません。その内容は主に薬剤とデバイスに関するものです。薬剤については、服薬や介助の負担を軽減するため、できるだけ簡便になるよう配慮し、医師と処方内容について常に協議しています。デバイスや医療物品は一部の薬局に供給を依頼し、処方薬剤とともに提供する仕組みを構築しています。
成人在宅での経験から医療デバイスに精通している強みを生かし、過度な物品提供にならないよう薬局薬剤師と連携しながら調整を行っています。
小児在宅での主な医療行為は、①本人と兄弟姉妹を含めた予防接種や健診を含むプライマリ・ケア、②胃ろう交換やカニューレ交換など管理料への対応と内服薬の継続、③体調悪化時の緊急対応、④急性期病院との連絡調整(急性期入院やレスパイト入院など)です。
特に小児在宅では、医療・福祉・行政との連携が不可欠であり、地域包括ケアシステムの中で医療的ケア児とその家族を支援していく必要があります。
さらに、診療所に勤務する在支診薬剤師にとって、多職種との連携は欠かせません。その内容は主に薬剤とデバイスに関するものです。薬剤については、服薬や介助の負担を軽減するため、できるだけ簡便になるよう配慮し、医師と処方内容について常に協議しています。デバイスや医療物品は一部の薬局に供給を依頼し、処方薬剤とともに提供する仕組みを構築しています。
成人在宅での経験から医療デバイスに精通している強みを生かし、過度な物品提供にならないよう薬局薬剤師と連携しながら調整を行っています。
小児在宅の特徴と視点
医療的ケア児の疾患は重症かつ希少であり、薬物療法にはハイリスク薬が多く含まれています。一方で、小児用製剤は少ないため、適応外使用や用量調節を目的に成人用製剤を加工せざるを得ない状況が常に生じています。
特に神経筋疾患では、呼吸障害が生命予後に直結するため、人工呼吸管理を必要とする例が多く、抗てんかん薬や筋弛緩薬を多剤併用する、リスクの高い薬物療法が行われます。こうした複雑な薬学管理に対応し、服薬介助の負担を軽減するため、投与方法を工夫して簡便化を図るなど、患者と家族を丸ごと支える視点が欠かせません。
また、一概に医療的ケア児といっても状況はさまざまです。寝たきりで知的障害を伴う場合は、頻回の吸引や注入で介護者が疲弊しやすくなります。歩行や会話ができる子どもはケアが比較的単純な場合もありますが、多動や不注意のある場合は医療デバイスを抜去するリスクがあり、見守りが大きな負担となります。知的機能が保たれていても肢体不自由がある場合は社会的に排除されやすいなど、背景ごとに課題は異なります。
特に神経筋疾患では、呼吸障害が生命予後に直結するため、人工呼吸管理を必要とする例が多く、抗てんかん薬や筋弛緩薬を多剤併用する、リスクの高い薬物療法が行われます。こうした複雑な薬学管理に対応し、服薬介助の負担を軽減するため、投与方法を工夫して簡便化を図るなど、患者と家族を丸ごと支える視点が欠かせません。
また、一概に医療的ケア児といっても状況はさまざまです。寝たきりで知的障害を伴う場合は、頻回の吸引や注入で介護者が疲弊しやすくなります。歩行や会話ができる子どもはケアが比較的単純な場合もありますが、多動や不注意のある場合は医療デバイスを抜去するリスクがあり、見守りが大きな負担となります。知的機能が保たれていても肢体不自由がある場合は社会的に排除されやすいなど、背景ごとに課題は異なります。
課題と展望
小児在宅の課題には、①薬剤、②生活、③地域の三つの側面があります。小児用製剤が少ないため成人用製剤の加工が必要となること、在宅移行後は成長や家族のライフスタイルに応じて支援を見直す必要があること、地域格差のため住み慣れた地域で医療が完結しにくいことが挙げられます。
一方で展望としては、診療所薬剤師がパイプ役となって気軽に相談できる地域チームを構築し、薬物療法をシームレスに支援できること、診療所からの発信で薬局・訪問看護・通所施設などの地域資源を活用できること、さらに法律の整備によって小児在宅医療に取り組む在宅医や薬局が増えてきていることが挙げられます。
一方で展望としては、診療所薬剤師がパイプ役となって気軽に相談できる地域チームを構築し、薬物療法をシームレスに支援できること、診療所からの発信で薬局・訪問看護・通所施設などの地域資源を活用できること、さらに法律の整備によって小児在宅医療に取り組む在宅医や薬局が増えてきていることが挙げられます。
まとめ
小児・成人を含め、在宅医療における薬剤師の役割は、薬を通して患者と家族を丸ごと支える地域医療を提供することです。その中で、診療所薬剤師は成人在宅の経験を生かし、病院や薬局の事情、地域の実情を踏まえた情報伝達や多職種連携を行うことができます。今後も、子ども本人や家族が個々の状況に応じた適切な支援を受けられるよう、薬局薬剤師とともに成長していきたいと考えています。
【2025年12月号 Vol.8 Pharmacy-Management 】
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