保険薬局
組織の成長を支える“日常の仕組みづくり”
薬局経営に求められる組織開発
株式会社 pharmake 代表取締役社長 田口 恵実
これまでの土台づくりを踏まえて
組織づくりを考えると、「理念」 「価値観」 「評価」 「学び」 といった言葉は抽象的に聞こえがちです。しかし、薬局で本当に重要なのは、これらを日々の行動に落とし込み、仕組みとして根づかせることでした。これまでのコラムでは、そのための “土台づくり” をテーマに、心理的安全性、対話の文化、価値観のすり合わせ、経験学習サイクル、具体的なフィードバック、そして学びを続けたくなる 「はまる仕掛け」 について整理してきました。
共通していたのは、「組織が問いを持ち、学び続け、進化する仕組み」 をどうつくるかという視点です。心理的安全性があってこそ疑問を共有でき、価値観が揃うことで行動の方向性が一致し、日常でのフィードバックが成長を支えます。
今月は、これらの要素をどのように “日常の運営” へ落とし込み、組織の成長につなげていくかを整理してみたいと思います。
共通していたのは、「組織が問いを持ち、学び続け、進化する仕組み」 をどうつくるかという視点です。心理的安全性があってこそ疑問を共有でき、価値観が揃うことで行動の方向性が一致し、日常でのフィードバックが成長を支えます。
今月は、これらの要素をどのように “日常の運営” へ落とし込み、組織の成長につなげていくかを整理してみたいと思います。
“文化” は意図的につくられるもの
前回までのコラムで扱ったように、組織文化は自然にできあがるものではありません。価値観に沿った言動が繰り返され、共有され、小さな行動の積み重ねがやがて組織の空気をつくっていきます。ここで重要なのは、文化を 「育つもの」 と捉えるだけではなく、「設計された仕組みを通じて定着するもの」 と捉える視点です。
どういうことかというと、価値観を言語化するだけでは十分ではなく、それが日常で目に触れ、行動に反映されるような仕組みを整える必要があるということです。朝礼での行動事例の共有、患者さんからの声の可視化、週に一度の振り返りシートなど、環境に組み込まれた工夫が文化の形成を支えていきます。
どういうことかというと、価値観を言語化するだけでは十分ではなく、それが日常で目に触れ、行動に反映されるような仕組みを整える必要があるということです。朝礼での行動事例の共有、患者さんからの声の可視化、週に一度の振り返りシートなど、環境に組み込まれた工夫が文化の形成を支えていきます。
“フィードバック” を運用に組み込む
11月号で扱ったように、日常のフィードバックは組織の雰囲気を左右します。ただし、現場は忙しく、声かけを 「やろう」 と思っても継続が難しいことがあります。そこで必要なのは、フィードバックを個々の努力に依存させるのではなく、仕組みとして組み込むことです。
例えば 「1日1回、良い行動を見つけて声をかける」 をチーム全体のルールとして共有する、「良かったことメモ」 を休憩室に置く、週次ミーティングの冒頭で “ありがとうの共有” を設けるなど、あらかじめ枠をつくることでフィードバックが自然と交わされるようになります。
例えば 「1日1回、良い行動を見つけて声をかける」 をチーム全体のルールとして共有する、「良かったことメモ」 を休憩室に置く、週次ミーティングの冒頭で “ありがとうの共有” を設けるなど、あらかじめ枠をつくることでフィードバックが自然と交わされるようになります。
“学びを定着させる” をルーティンにする
12月号では、人が “はまる” 6つの仕掛けを学びに応用する視点を紹介しました。これらの仕掛けは、研修そのものだけでなく、日常のオペレーションにも活かすことができます。
例えば、毎朝の申し送りで 「昨日うまくいった工夫」 を1つ共有すれば、それが進捗の可視化になります。新人には段階的に難易度を調整したタスクを割り当てれば、挑戦意欲を損なわずに成長を促せます。次回の会議で扱うテーマを予告しておけば、クリフハンガーの効果で意識の継続につながります。このように小さな仕掛けを日常に埋め込むことで、学びが “自然と続くもの” へと変わります。
例えば、毎朝の申し送りで 「昨日うまくいった工夫」 を1つ共有すれば、それが進捗の可視化になります。新人には段階的に難易度を調整したタスクを割り当てれば、挑戦意欲を損なわずに成長を促せます。次回の会議で扱うテーマを予告しておけば、クリフハンガーの効果で意識の継続につながります。このように小さな仕掛けを日常に埋め込むことで、学びが “自然と続くもの” へと変わります。
“仕組み化” の前に必要なこと
仕組み化を進める際に大切なのは、「現実の負荷と合っているか」 を丁寧に確認することです。忙しい現場で複雑なルールを導入すると、かえって形骸化してしまいます。まずは最も効果の高い1~2つの仕組みに絞り、スタッフが無理なく続けられる形から始めることが重要です。
また、導入した仕組みが実際に機能しているかを定期的に振り返ることも欠かせません。「続けられているか」 「負荷が大きすぎないか」 「誰にとって効果があるか」 を確認し、必要に応じて調整していく。こうした微調整の積み重ねが、組織にフィットした “その薬局らしい仕組み” をつくっていきます。
また、導入した仕組みが実際に機能しているかを定期的に振り返ることも欠かせません。「続けられているか」 「負荷が大きすぎないか」 「誰にとって効果があるか」 を確認し、必要に応じて調整していく。こうした微調整の積み重ねが、組織にフィットした “その薬局らしい仕組み” をつくっていきます。
日常を通じて、組織は強くなる
組織づくりは特別なイベントや大規模改革によって成し遂げられるものではありません。日常の小さな行動、短い声かけ、学びの共有、価値観を確認する時間。それらの積み重ねが、スタッフが安心して働ける環境と、患者さんにとっての信頼につながっていきます。
これまでのコラムで扱ってきたテーマは、一つひとつが独立したものではなく、互いに補い合いながら組織の成長を支える基盤になっています。価値観を揃え、文化を育て、日常のフィードバックを浸透させ、学びを続けられる仕組みをつくる。この流れを丁寧に回し続けることが、薬局としての成長を支える力になります。
これまでのコラムで扱ってきたテーマは、一つひとつが独立したものではなく、互いに補い合いながら組織の成長を支える基盤になっています。価値観を揃え、文化を育て、日常のフィードバックを浸透させ、学びを続けられる仕組みをつくる。この流れを丁寧に回し続けることが、薬局としての成長を支える力になります。
おわりに
組織の成長は、特別な人や特別な機会によってつくられるわけではありません。日常に仕組みを埋め込み、スタッフが自然と前向きな行動を取りやすい環境を整えることで、少しずつ形を変えながら前進していきます。
次回は、こうした日常の仕組みづくりを踏まえ、薬局が持続的に成長するための組織マネジメントとは何か、その全体像を整理していきたいと思います。
【2026年1月号 Vol.9 Pharmacy-Management 】
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