病院・診療所

外来管理加算の見直しが問いかけるもの ―市場収縮期の医療経営は?―

データから読み解く!
株式会社メデュアクト 代表取締役 流石 学
昨年は厳しい経営環境のなかで、大変な1年を過ごした医療機関が多かったと思います。今年は2026年度改定による見直しも含め、皆様にとって明るい1年になることを心より祈念いたします。

■ 「かかりつけ医機能」 にかかる議論

さて、間もなく迫った2026年度改定は、決してすべての医療機関の追い風になるわけではなく、メリハリのある改定になることが当初より伝えられている。病院は追い風になることが見込まれる一方、診療所、薬局には厳しい改定となりそうである。
診療所にとっては、外来管理加算の見直しがどうなるかが、今後の経営を考えるうえでポイントの1つになる。外来管理加算は 「計画的な医学管理」 への評価として、再診料に52点を上乗せできる。再診料への加算になるため、200床以上の病院は算定でき ないが、診療所や200床未満の医療機関にとっては経営面への影響の大きな算定項目だ。
2026年度改定では、「かかりつけ医機能」を担う医療機関には、全人的なケアの実現に向けた対応が求められる。改定の議論にあたり、財務省は廃止もしくは地域包括診療料などに包括化することを主張してきた。「かかりつけ医機能」 を果たす医療機関を重点的に評価する一方で、1号機能を持たない診療所には厳しく対応することを求めている。1号機能とは 「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」 のこと。17の診療領域・40疾患のいずれかの 「一次診療」 を行えることなどが要件となっている。

■外来管理加算の算定状況は?

第10回NDBオープンデータによると、外来管理加算の算定回数は、2023年度は全国で5億3,322万回であった。金額に置き換えると2,773億円になる。
再診料に占める外来管理加算の算定割合を確認したところ、再診料を算定した患者の半数で算定されていた。都道府県別にみても医学管理料の算定項目と異なり、地域差は少ない。前回の改定で生活習慣病管理料Ⅱが新設された影響で、外来管理加算の算定回数は減っているとはいえ、仮に廃止になった場合は言うまでもなく、地域包括診療料や地域包括診療加算に包括されたとしても現状は算定が一部に限られているため、医療機関にとっては多額の減収が見込まれる。薬剤料などの費用がかからない真水の収益なので、そのまま利益を減らすことになる。



■市場収縮期で生き残るための方法

少子高齢化の進展のなか、日本の医療業界は変革期を迎えている。変革期には、経営も外部環境の変化に合わせて対応していかなければならない。
医療技術の高度化や高齢化によって医療費は膨らみ続けているが、同時に人口減少と地方から都会への人口流出により、国内の半分以上の地域では外来需要はピークアウトしたと言われている。経済学的視点で述べれば、市場は生物のように一定のライフサイクルをたどる。導入期→成長期→成熟期→衰退期というサイクルである。そしてその背景には 「顧客数(患者数)の変化」 「競争構造の変化」 「技術革新」 「社会構造の変化」 がある。医療市場に関して言えば、少なくとも外来は衰退期に突入している。
市場衰退期の経営のかじ取りは決して楽ではないが、市場衰退期において生き残るための方法は、下記3つの戦略である。
  1. 効率化
  2. 差別化
  3. ポジショニングの確立
効率化は、少人数で高い生産性を発揮できる “スリムな診療所” をつくること。業務の標準化やシステム化による業務効率の改善、人件費や間接作業、在庫ロスの最小化などが求められる。ただし、闇雲にコスト削減をすると、サービス品質の低下に繋がる恐れがあるため注意したい。
差別化は、患者、地域から選ばれる理由をつくること。そのためには、何で差別化するかを明確にする必要がある。具体的には専門領域の特化、丁寧な説明や待たせない診療などの体験価値、オンライン診療や曜日・時間帯の利便性、治療成績や症例数による可視化などがある。
ポジショニングの確立は、地域医療の中でどの役割を担うのかを明確にすること。診療所であれば、病院との連携や在宅医療、専門外来などがある。どの機能で地域に貢献するのかを決める必要がある。まずは自院の外来管理加算の算定状況と収益規模を把握し、改定後の影響を見据えた経営の再設計を進めることを検討したい。


【2026年1月1日号 Vol.17 メディカル・マネジメント】