診療報酬

【続き】情報開示が進む不妊治療と出産

データから考える医療経営
株式会社メディチュア  代表取締役 渡辺 優
さらに2024年度診療報酬改定では、一般不妊治療管理料においても、この施設基準が加わった=資料2=。
前述のこども家庭庁のウェブサイトでは、2024年6月時点で365施設の情報を見ることができるが、おそらく、今後、大幅な情報の充実が図られることになると思われる。

資料2 2024年度診療報酬改定 一般不妊治療管理料の施設基準改定内容

厚生労働省保険局医療課 令和6年度診療報酬改定の概要(医科全体版)(2024年3月5日版)より引用

■5月30日に開設された「出産なび」

また、厚生労働省は、分娩を取り扱う病院・診療所、助産所の情報を調べることができるウェブサイト「出産なび」を5月30日に開設した=資料3=。

資料3 厚生労働省 出産施設を探せるサイト「出産なび」でのある医療機関の記載例


開設時点において、全国の2,043施設(年間分娩取扱件数が21件以上で出産育児一時金の直接支払制度を利用する施設の約96%)が掲載されている(出所:厚生労働省 2024年5月30日報道発表資料)。

年々出生数が減少していく中で、周産期医療における医療機関の経営環境は非常に厳しい。患者確保の過度な競争により医療機関のウェブサイトなどでの情報発信が過激化すれば、医療法の広告規制があるとは言え、その情報の信頼性は疑わしくなりかねない。
そのため、厚生労働省・こども家庭庁が発信することの意義は、情報の信頼性・透明性の高さの担保にある。また、それぞれのウェブサイトにおいて、実績件数などで並べ替えができないのは、信頼性・透明性を重視している結果だと理解している。不妊治療の保険適用によりその情報の充実を図ろうとしている点は、今後、出産の保険適用の議論はもちろん、他の領域でも参考になるだろう。


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【2024. 7. 15 Vol.596 医業情報ダイジェスト】