診療報酬

【続き】個室料(差額ベッド代)の減免について考える①

減免申請伺の記載に問題はないか
あすの監査法人 公認会計士 山岡 輝之
(疑問2)病棟クラークや事務職員による患者への後日説明、同意確認の実施
ある医療機関では、承認された減免申請書の記入日からどのような形で承認までフローが流れているか確認したところ、減免申請書が患者入院後に遡って申請されているケースがありました。
なぜこのようなことが起こっているのか、その医療機関に確認したところ、入院時ではなく入院後に改めて病棟クラークあるいは事務職員が入院患者に対して個室利用料の説明や減免申請書を作成し、減免の申請を行うフローになっていることが確認されました。運用上やむを得ないのかもしれませんが、このような事後的に減免の手続を実施することで、現場からは 「患者が入院してしまってからでは減免期間終了時期の説明がしにくい」 、 「減免内容が当初看護師から受けた説明と異なる」 など、すでに減免を前提に患者を入院させてしまった後に減免内容について改めて確認する行為が難しいとの声が出ています。なぜこのようなフローになっているのかといえば、看護師が減免申請書の作成を拒んでいるためということでした。減免申請は、可能な限り入院手続時に患者と確認し、同意を取った上で遅滞なく申請するべきではないかと思います。

(疑問3)減免申請書の申請者について
減免申請書の申請者をみると主治医の名前がないパターン、主治医の名前はあるが主治医が確認した形跡がないパターン、事務職員名の記載のみのパターンなどさまざまな様式が見受けられます。ここで問題となるのが、特に療養上の理由で減免を申請しているにもかかわらず、その判断をした医師の記載がない(主治医が同意している形跡が確認できない)場合です。
減免申請書は少なくとも以下の点は明確にする必要があると考えます。
  1. 療養上の理由に室料減免を申請するのであれば、主治医の同意があることを減免申請書上で明確にする
  2. 現場判断による個室料の減免・免除については、その判断をした看護師その他職員の氏名を明記する
仮に主治医が多忙につき、減免申請の記入が困難な場合には、少なくとも代筆者を明記した上で主治医の同意が確認できるサインは追加で入手するなど、誰の判断に基づく減免申請であるのかは明確にする必要があると考えます。


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【2024. 9. 1 Vol.599 医業情報ダイジェスト】