病院

【続き】好景気でノンライセンス職採用がますます困難に

介護福祉士の急性期病棟評価には日本看護協会が反対
株式会社MMオフィス 代表取締役 工藤 高

■ 介護福祉士の急性期病棟評価には日本看護協会が反対

病院において最も採用困難な職種は「看護補助者」である。2024年改定は急性期一般入院料1(7対1)削減のために重症度、医療・必要度の見直しが行われた。そのターゲットは高齢者救急の誤嚥性肺炎、市中肺炎、尿路感染症等であり、理由は、それらの疾患に対する介護には必ずしも看護職員ではなく、看護補助者で代替性があり、タスクシフティングが可能なことだ。そうは言っても、募集しても集まらない現実がある。

都会では他に賃金が高い仕事があり、地方ではそもそも働き手が少ないために応募がない。日本看護協会によれば2019年度の看護補助者の年度内離職率は正規雇用25.6%、非正規雇用32.9%、正規・非正規合算で29.9%と非常に高い。退職理由も「思っていた業務内容と異なる」が最も多く、3K(きつい、汚い、危険)職種になっている。もう一つは低賃金である。厚労省によれば、看護補助者の平均年収は約303万円(平均年齢46.8歳、賞与込み)であり、他の介護系職種と比較しても30万〜80万円ほど低い。

病院の医療保険対象病棟や外来で働く看護補助者の賃金問題は、介護施設で働く「介護職員」のような「介護職員処遇改善加算」がないことだ。2024年改定では医療保険の地域包括ケア病棟や新設の地域包括医療病棟、医療療養病棟において国家資格の「介護福祉士」を施設基準で評価した看護補助体制充実加算も新設された。ただし、急性期一般入院料(7対1、10対1看護)で算定できる急性期看護補助体制充実加算だけには介護福祉士の評価はない。急性期はやはり看護職員ということで日本看護協会が反対したからだ。介護福祉士が増加していけば、将来的に看護職枠が縮小していくことを危惧した職能団体として当然の反応である。しかし、介護福祉士待遇を改善して病院採用を多くしたいという看護部長や看護師長の願いとは二律背反となっている。


前の記事を読む 好景気でノンライセンス職採用がますます困難に(1)


【2024. 5. 1 Vol.591 医業情報ダイジェスト】