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【続き】ロボット支援手術機器のない病院は医師・患者から選ばれない?

急性期充実体制加算の届出施設の8割超が手術支援ロボットを導入
株式会社メディチュア  代表取締役 渡辺 優

■ 急性期充実体制加算の届出施設の8割超が手術支援ロボットを導入

さらに特定機能病院および急性期充実体制加算と総合入院体制加算の届出施設、もしくはそれらのいずれにも該当しない施設におけるロボット支援手術の関連項目の届出有無を見た=グラフ2=。

グラフ2 特定機能病院、急性期充実体制加算・総合入院体制加算届出有無別 内視鏡手術用支援機器を用いる手術項目の届出有無 施設割合

※一般病床を有する施設を対象
各地方厚生局 届出受理医療機関名簿(東北・関東信越:2024年2月1日現在、中国:2024年3月1日現在、その他:2024年4月1日現在)を基に作成

急性期充実体制加算の届出施設は83%、総合入院体制加算1は78%、総合入院体制加算2は73%と多くの施設が手術支援ロボットを導入している。特定機能病院に至ってはほとんどの施設が導入しており、導入していない施設の方が珍しい状況であった。
すでに多くの施設が手術支援ロボットを導入している現状を踏まえれば、集患の差別化要素としては大きな期待は持てない。しかし、急性期充実体制加算や総合入院体制加算を届出する施設においては、高い診療実績を満たすために、手術患者などを積極的に確保しなければならない。患者確保の観点において、手術支援ロボットの導入は当たり前になったと言える。加えて、2024年度診療報酬改定では、急性期病院では重症度、医療・看護必要度が厳格化される。安定的に看護必要度の基準をクリアするには、これまで以上に手術患者などの確保が重要だ。そのため、急性期充実体制加算や総合入院体制加算を届出しているような施設以外の急性期病院でも、患者確保のための取り組みとして、手術支援ロボットの導入を検討してもよいかもしれない。

また、地域での導入状況を見ると、3分の2近くの二次医療圏で導入している施設がある。東京や大阪では導入施設が50施設を超えていた。これらの状況を踏まえると、手術支援ロボットの導入は、医師や患者から「選ばれること」を目的とするよりも、「選ばれないこと」を避けるための意味合いの方が濃くなっているのかもしれない。


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【2024. 5. 15 Vol.592 医業情報ダイジェスト】