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【続き】地域包括医療病棟はどのような病院が導入したか?

届出医療機関の傾向を検証
株式会社メデュアクト  代表取締役 流石 学
続いて病棟構成を見よう。まず全床を地域包括医療病棟に転換した病院は5病院となっている。その他は病床の一部を地域包括医療病棟に転換しており、19病院が回復期リハビリテーション病棟入院料、17病院が地域包括ケア病棟入院料、16病院が急性期一般入院料1~6の算定病棟を有している。
また病棟の組み合わせで多いのは 「地域包括医療+急性期一般+地域包括ケア」  「地域包括医療+急性期一般+回復期リハ+地域包括ケア」 がそれぞれ5病院、 「地域包括医療+急性期一般」  「地域包括医療+回復期リハ」  「地域包括医療+回復期リハ+地域包括ケア」 がそれぞれ3病院となっている。

図2.地域包括医療病棟入院料以外の算定入院料



■今後の動向は?

新制度開始から2ヶ月が経過した時点で、36病院という数字を多いと考えるか、少ないと考えるかは読者によって異なるかもしれない。しかし、政策誘導に乗ろうと医療機関が積極的に動いているとは言い難いだろう。収益シミュレーション等による検討はしたものの、いまは様子見という選択をした病院は多いはずだ。
様子見している要因として、地域包括医療病棟の使い勝手の問題があるだろう。

今回の検証結果より、地域包括医療病棟のみの病院は一部に限られており、大半のケースで別の入院料を算定する病棟と併用する形になる。急性期から回復期まで、院内の病床機能が細分化されるため、病床運用が一層複雑になることは容易に想像できる。
例えば 「地域包括医療+急性期一般+地域包括ケア」 という病棟構成の場合、救急搬送された患者を、急性期一般、地域包括医療、地域包括ケアのどの病棟に入院させるのか、現場は難しい判断を問われる。入院収益の多寡の問題もあるが、地域包括医療病棟の施設基準を満たそうとすれば、他病棟の病床稼働や施設基準が厳しくなることが十分に考えられる。
また6、7月の中医協総会では、6病院のDPC制度からの退出が決定した。5病院が地域包括医療病棟に病棟再編を行うこと、1病院は地域包括ケア病棟への転換を理由にしている。この6病院のうち5病院は、DPC対象病院の基準として令和6年度改定で導入された 「1月あたりデータ数が90以上」 を満たせていない。DPC制度退出後の受け皿として、地域包括医療病棟を選択した形となっている。


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【2024. 9. 1 Vol.599 医業情報ダイジェスト】