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リハビリ点数の見直しと基準リハビリ・基準介護という提言

2022年改定、リハビリ点数の主な見直し項目
株式会社MMオフィス 代表取締役 工藤 高

■2022年改定、リハビリ点数の主な見直し項目

2022年度改定におけるリハビリ点数関連の見直しは下記のとおりであり、内容的にはマイナーチェンジであった。

【リハビリ関連の主な見直し】
  1.  早期離床・リハビリテーション加算の算定対象となる治療室、職種要件の見直し
  2. 訪問看護指示書の記載欄の見直し
  3.  歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)の評価の見直し
  4. 摂食嚥下支援加算の見直し
  5. 疾患別リハビリテーション料の見直し
  6. 運動器リハビリテーション料の見直し
  7.  リハビリテーション実施計画書の署名欄の取扱いの見直し

「早期離床・リハビリテーション加算」(1日につき500点・14日まで)の対象は特定集中治療室管理料(ICU)1〜4のみだったが、これを救命救急入院料(EICU)1〜4、ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)1~2、脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SCU)、小児特定集中治療室管理料(PICU)にまで拡大した。ICU以外の急性期治療室における早期離床の取り組みを新たに評価した。
ただし、同加算を算定した同一日にリハビリ料は算定できないため、リハビリの単位数が多い病院ではあえて届出をしない場合が多い。たとえば、脳卒中患者が急性期ユニットへ緊急入院した場合、「脳血管疾患等リハビリ(Ⅰ)245点+早期リハ加算30点(30日限度)+初期加算45点(14日限度)=計320点(1単位当たり)」が算定できる。つまり、1日2単位以上だと早期離床・リハビリ加算の500点を出来高点数が上回る。

■ なぜ、国公立病院で早期離床・リハビリテーション加算が多いのか

弊社クライアントの脳外科病院におけるSCUでは、1人当たり1日平均4単位のリハを実施しており、その点数だけで1,280点となる。もちろん、早期離床・リハビリ加算を届出する予定はなく、これまでどおりリハビリを出来高で算定する予定になっている。ただし、リハビリの実施単位数が少ない病院では、同加算届出が有利な場合が多い。改定前のICU限定同加算の届出状況を見ても国公立病院での届出が多い。これは職員定数制等で議会を通さないとリハビリセラピストを増員できず、民間病院と比較すると人数と1日当たりのリハ単位数も少ないことが理由と思われる。
2021年度介護報酬改定に合わせて、訪問看護指示書の記載欄見直しや「歩行運動処置(ロボットスーツ)」を1日につき900点から1,100点に引き上げた。「摂食嚥下支援加算」(200点・週1回)は、名称を「摂食嚥下機能回復体制加算」(週1回)に改めたうえで、加算1:210点、加算2:190点、加算3:120点(療養病棟のみ)の3つに類型化した。

■ 日本慢性期医療協会は「基準リハビリ」「基準介護」の制度化を改めて提言

疾患別リハビリ等の施設基準はリハビリセラピスト人数やリハビリ室の面積、器械・器具の具備等で類型が定められている。その施設基準自体の届出は任意であり、入院料における看護職員や看護補助者人数のように基準看護的に定められている訳ではない。
日本慢性期医療協会は9月の定例記者会見で「基準リハビリ」「基準介護」の制度化を改めて提言した。橋本会長は「病棟内にスタッフを配置し、手厚いケアとリハビリを行うことにより要介護者を減らし、医療費・介護費の削減につなげるべき」と述べている。
橋本会長は寝たきりになる割合が増加する中で慢性期医療のニーズが高まっている状況を指摘し、寝たきりを防止するために看護・介護職の業務を明確化する必要性を強調している。これは武久前会長のときからの日本慢性期医療協会の主張であり、たしかにその通りだと思う。
機能訓練はリハビリセラピストが行い、ADLを高めるケアとして、身体拘束をなくし、自立機能を活かすケアを「基準介護」として、国家資格である介護福祉士の活用を提言している。日本介護福祉士会の調査によると介護福祉士資格取得者のうち医療施設就労者は7.1%に過ぎない。理由は、介護施設だと介護保険からの介護処遇改善加算があるために給与が高いことだ。医療機関では介護保険対象の介護医療院では介護処遇改善加算があるが、医療保険の医療療養型病棟では対象外となっている。さらに医療機関では「介護職」ではなく、「看護補助者」という取り扱いである。医療機関において最も採用困難な職種が看護補助者であり、「補助者」という名称変更と、「基準介護」として介護福祉士の評価と仕事のやりがいも含めて改善していく必要があろう。


【2022. 10. 15 Vol.554 医業情報ダイジェスト】