病院・診療所
事例に学ぶ外来データ提出加算導入の極意!
クリニック相談コーナー
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦
【相談内容】
東京都で開業15年目を迎える内科クリニックの院長より、次のようなご相談をいただきました。
「2024年度の診療報酬改定は実質的なマイナス改定となり、経営が厳しい状況です。当院でも増収策として 『外来データ提出加算』 を算定することに決めましたが、スタッフからは “面倒くさい” “業務が増えるだけ” とブーイングの嵐です。そこで、実際に導入しているクリニックの事例を参考に、当院でもスムーズに取り組みたいと考えています。導入のポイントや成功の秘訣があれば教えてください」
「2024年度の診療報酬改定は実質的なマイナス改定となり、経営が厳しい状況です。当院でも増収策として 『外来データ提出加算』 を算定することに決めましたが、スタッフからは “面倒くさい” “業務が増えるだけ” とブーイングの嵐です。そこで、実際に導入しているクリニックの事例を参考に、当院でもスムーズに取り組みたいと考えています。導入のポイントや成功の秘訣があれば教えてください」
【回 答】
2024年度の診療報酬改定は、ほとんどのクリニックにとって 「実質マイナス改定」 といえる厳しい内容でした。診療報酬が伸び悩むなか、 「どこで増収を図るか」 は多くの院長にとって大きな課題です。
その中で注目されているのが外来データ提出加算です。複雑な印象から、導入をためらう声もありますが、支援ソフトを活用して体制を整えれば、安定収益につながる現実的な施策になります。
今回は、制度概要から成功事例、導入ポイントまでを解説します。
【事例:大阪府A内科クリニックの取り組み】
大阪府で開業12年目を迎えるA内科クリニックでは、改定で 「生活習慣病管理料(Ⅰ・Ⅱ)」 に移行しましたが、改定前より保険診療収入は約5%の減収となりました。
院長は打開策として外来データ提出加算に着目し、 「医療事務は今後DX対応が必須になる」 との考えでスタッフ教育を重ねながら準備を進めました。
開始当初は不安や不満の声が多く上がりましたが、支援ソフトを導入して記録業務を効率化した結果、現在では月35万円以上の安定増収を実現しました。 「これがなければスタッフの賃上げの実現と今の経営維持は難しい」 と院長が語るほど、経営の柱となっています。
【外来データ提出加算の基本構造】

収益試算例
その中で注目されているのが外来データ提出加算です。複雑な印象から、導入をためらう声もありますが、支援ソフトを活用して体制を整えれば、安定収益につながる現実的な施策になります。
今回は、制度概要から成功事例、導入ポイントまでを解説します。
【事例:大阪府A内科クリニックの取り組み】
大阪府で開業12年目を迎えるA内科クリニックでは、改定で 「生活習慣病管理料(Ⅰ・Ⅱ)」 に移行しましたが、改定前より保険診療収入は約5%の減収となりました。
院長は打開策として外来データ提出加算に着目し、 「医療事務は今後DX対応が必須になる」 との考えでスタッフ教育を重ねながら準備を進めました。
開始当初は不安や不満の声が多く上がりましたが、支援ソフトを導入して記録業務を効率化した結果、現在では月35万円以上の安定増収を実現しました。 「これがなければスタッフの賃上げの実現と今の経営維持は難しい」 と院長が語るほど、経営の柱となっています。
【外来データ提出加算の基本構造】

収益試算例
- 対象患者300名 → 年間180万円
- 対象患者500名 → 年間300万円
【算定に必要な施設基準(要約)】
外来データ提出加算を算定するには以下7項目を満たす必要があります。
- 厚労省 「外来医療等調査」 に対応できる体制(連絡担当者の指定)
- データ提出実績
- 診療録・看護記録の適切な保管(診療録5年、看護記録3年)
- 情報システムガイドライン準拠
- 保管規定の整備
- ICD大分類以上での疾病分類
- 疾病別に検索可能な記録管理体制
※届出時点で満たしていなくても、データ提出実績確保後の届出時点で条件をクリアしていれば算定可能です。
【最大のハードルは 「データ提出作業」 】
現場で最も負担となるのが提出用ファイルの作成です。
【最大のハードルは 「データ提出作業」 】
現場で最も負担となるのが提出用ファイルの作成です。
- 診療録、レセプト情報、ICD分類を所定形式で構造化
- 書式不備があれば差し戻し
- 毎月継続的に作成・提出する体制の維持が必要
手作業で対応するのは現実的ではなく、 「支援ソフトなくして算定なし」 が現場の実感です。
【支援ソフト導入は “必須インフラ” 】
現在利用できる主な支援ソフトは以下のとおりです。

費用目安
【支援ソフト導入は “必須インフラ” 】
現在利用できる主な支援ソフトは以下のとおりです。

費用目安
- 初期導入費用:0~10万円程度
- 月額費用:6,000~10,000円程度
【ソフト選定のポイント】
導入前に以下を確認しましょう。
- 電子カルテやレセコンとの互換性
- 営業担当者によるデモ・質問対応
- 将来の改定に対応できるアップデート体制
費用だけで判断せず、実際に触れて操作性を確認することが失敗しない選び方の鉄則です。
【導入成功の3つの視点】
【導入成功の3つの視点】
- 院長がビジョンを示す: 「収益確保だけでなく、将来への備え」 と伝える。
- 医療事務スタッフへのDX教育:デジタル化対応力を日常業務で育てる。
- 段階的導入で定着を図る:試行から始め、外来→在宅へ段階的に対象を広げる。
【まとめ】
外来データ提出加算は、月50点でも対象患者が増えるほど収益インパクトが大きくなります。単なる増収策にとどまらず、将来の制度改定にも対応できる体制づくりとしての価値が高まっています。
導入にあたっては、スタッフが不安を抱えやすいことも多いため、院長自身が目的と意義を繰り返し伝え、納得感を高めることが成功のカギです。特に医療事務スタッフには、単なる作業ではなく 「DXスキルを身につけるチャンス」 と前向きに感じてもらえるような言葉がけが重要です。
早めに支援ソフトと運用体制を整えることで、安定収益と未来への備えを同時に実現するクリニック経営へとつながります。この機会にぜひ、外来データ提出加算を積極的に活用していきましょう。
【2025年10月15日号 Vol.12 メディカル・マネジメント】
導入にあたっては、スタッフが不安を抱えやすいことも多いため、院長自身が目的と意義を繰り返し伝え、納得感を高めることが成功のカギです。特に医療事務スタッフには、単なる作業ではなく 「DXスキルを身につけるチャンス」 と前向きに感じてもらえるような言葉がけが重要です。
早めに支援ソフトと運用体制を整えることで、安定収益と未来への備えを同時に実現するクリニック経営へとつながります。この機会にぜひ、外来データ提出加算を積極的に活用していきましょう。
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