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在宅療養指導管理材料加算について運用の留意点

請求業務のポイント解説
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
前回(2025年9月15日号)では、 「在宅自己注射指導管理料」 を取り上げましたが、本稿では前回に続き、在宅自己注射指導管理料に伴う 「血糖自己測定器加算」 など在宅療養指導管理材料加算について、運用の留意点をお伝えいたします。

【C101在宅自己注射指導管理料に伴う材料加算①~⑦】

① C150 血糖自己測定器加算(3月に3回)
  1. 月20回以上測定            350点
  2. 月30回以上測定          465点
  3. 月40回以上測定 580点
  4. 月60回以上測定 830点
  5. 月90回以上測定   1,170点
  6. 月120回以上測定    1,490点
  7. 間歇スキャン式持続測定器   1,250点
  注4 血中ケトン体自己血糖加算  +40点

② C151 注入器加算(月1回)300点

③ C152 間歇注入シリンジポンプ加算(2月に2回)
  1. プログラム付きシリンジポンプ 2,500点
  2. 1以外のシリンジポンプ 1,500点
④ 【届出要】 C152-2 持続血糖測定器加算(2月に2回)
  1. 間歇シリンジポンプと連動する持続血糖測定器を 用いる場合(2 連動しない持続血糖測定器を用いる場合)
    イ 2個以下 1,320点 / 1,320点
    ロ 3個又は4個   2,640点 / 2,640点
    ハ 5個以上 3,300点 / 3,300点
    注2 トランスミッターを使用した場合
    プログラム付きシリンジポンプ使用 3,230点 プログラム付きシリンジポンプ以外 2,230点

⑤ C152-4 持続皮下注入シリンジポンプ加算(2月に2回)
  1. 月5個以上10個未満 2,330点
  2. 月10個以上15個未満 3,160点
  3. 月15個以上20個未満 3,990点
  4. 月20個以上 4,820点

⑥ C153 注入器用注射針加算(月1回)
  1. 1型糖尿病で1日概ね4回以上もしくは血友病の患者で自己注射が必要な場合またはこれらの患者に準ずる状態 200点
  2. 1以外 130点

⑦ C161 注入ポンプ加算(2月に2回) 1,250点
 
【C150 血糖自己測定器加算の対象患者】
C101在宅自己注射指導管理料、C101-2 在宅小児低血糖症患者指導管理料、C101-3 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料を算定している患者

Q1:在宅自己注射に関わる指導を行い、注射薬、チップなどを3ヶ月分処方した場合は、どのように算定しますか。
A1:次の例のように、処方量に関わらず、項目によって3ヶ月分の算定をしたり、月1回のみの算定となります。
   例)在宅自己注射指導管理料 所定点数 ×1
     薬剤料 3ヶ月分 ×1
     血糖自己測定器加算 加算点数×3
     (該当する場合)
      注入器加算 加算点数×1
      注入器注射針加算 加算点数×1

●Point:算定における測定回数
  • 原則、医師の指示した回数により算定する。
  • 実施回数との相違に留意する。

Q2:針やチップに残りがあり、医師が調整して処方した場合、血糖測定回数は処方数に合わせて算定を変更しますか。
   例)指示回数は90回。針に1箱(30個)分の残り があり、2箱(60個)を処方した場合
A2:「C150 血糖自己測定器加算」の通知(1)に 「血糖又は間質液中のグルコース濃度の自己測定をさせ、その記録に基づき指導を行った場合に加算」 とあります。患者の測定忘れ、記録忘れで残数が発生した場合でも、医師が必要な血糖測定回数として指示した回数で算定します。ただし、実際の回数の相違は、厚労省から指摘がありますのでご留意ください。(下記Point参照)

●Point:カルテ記載と保存
次の事項を記載や保存する必要があります。
  1. 血糖自己測定の回数を記載
  2. 血糖自己測定の結果に基づいた指導内容を記載
  3. 患者自身の血糖測定の記録結果をカルテに保存
上記を満たさない場合、行政指導で返還金対象になります。これらの点は、厚労省の「主な指摘事項」としても示されています。
  • 患者が血糖測定を指示通り記録しておらず、測定記録と算定の測定回数に相違があるケースがあります。医師の指示に従い、測定及び記録を残すことが必要です。
    例)医師 1日に2回の測定指示(1月60回)
      患者 1日に1回の測定記録(1月30回)
  • 血糖自己測定加算は管理の対価となりますので、控えの保管またはスキャンが必要です。

●Point:その他血糖自己測定器加算のポイント
  • 血糖試験紙、固定化酵素電極、穿刺器、穿刺針、皮下グルコース用電極および測定機器を患者に給付又は貸与した場合の費用、その他血糖自己測定に係る全ての費用は所定点数に含まれ、別に算定できません。
  • 持続自己血糖測定器のリブレを使用した場合は 「C150 7 間歇スキャン式持続測定器 (1,250点)」を算定します。

●参考:厚労省「保険診療確認事項リスト(医科)」 に記載されている血糖自己測定器加算の指摘事項
次の不適切な例が認められたので改めること。
□実際に測定を指示している回数より多い測定回数の区分で算定。
□血糖自己測定値に基づいた指導を実施していない患者に対して算定。
□インスリン製剤を1か月分以下しか処方していない患者に対して1月に複数回算定。
□間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの
 糖尿病の治療に関し、専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤の医師又は当該専門の医師の指導の下で糖尿病の治療を実施する医師以外が血糖管理を行った場合に算定。
□血中ケトン体自己測定器加算 SGLT2阻害薬を服用している1型糖尿病の患者以外の患者で算定。


【2025年10月15日号 Vol.12 メディカル・マネジメント】