保険薬局
薬局の経費について工夫できるポイント
医薬品購入費と人件費を中心に経費について考える
一般社団法人薬局支援協会 代表理事 薬剤師 竹中 孝行
薬局を運営する中で、数字をどこまで把握されていますか?
薬局の経営において、売上を上げることと経費を下げることの二つの視点が重要です。売上を上げるためには、処方箋枚数を増やす、あるいは加算算定などで処方箋単価を上げる方法があります。努力で改善できることもあれば、一方で、診療報酬の仕組み上、決まってしまうものもあります。社会情勢上、診療報酬が上がる、すなわち売上が上がることは現実的には望めませんので、今後の薬局経営では経費に着目することが非常に重要です。
薬局の経費は、薬剤費や人件費が大部分を占めており、その他に家賃や光熱費、保険料、システム料をはじめとした販管費があります。特に大部分を占めている医薬品購入費と人件費をどのように捉えるかが今後の薬局経営における大きな鍵となります。今回のコラムでは、医薬品購入費と人件費を中心に経費について考えます。
薬局の経営において、売上を上げることと経費を下げることの二つの視点が重要です。売上を上げるためには、処方箋枚数を増やす、あるいは加算算定などで処方箋単価を上げる方法があります。努力で改善できることもあれば、一方で、診療報酬の仕組み上、決まってしまうものもあります。社会情勢上、診療報酬が上がる、すなわち売上が上がることは現実的には望めませんので、今後の薬局経営では経費に着目することが非常に重要です。
薬局の経費は、薬剤費や人件費が大部分を占めており、その他に家賃や光熱費、保険料、システム料をはじめとした販管費があります。特に大部分を占めている医薬品購入費と人件費をどのように捉えるかが今後の薬局経営における大きな鍵となります。今回のコラムでは、医薬品購入費と人件費を中心に経費について考えます。
■医薬品購入費
どの薬局においても、支出の大半を占めているのが医薬品購入費です。かつては薬価差益(薬価と仕入れ価格の差によって生じる利益)が大きかったため、在庫管理がたとえ雑でも大きな問題にはなりませんでした。
医薬品購入費を下げるためには、適正な在庫量を確保し廃棄医薬品を減らすこと、ジェネリック医薬品を使用することなどの方法があります。
まずは、医薬品の需要に応じて適切な在庫量を調整し、必要以上の在庫を抱えないことが重要です。これにより、経営におけるキャッシュフローが改善するだけでなく、廃棄医薬品を減らすことが直接的なコスト削減につながります。また、不動医薬品在庫を早めに把握することで、店舗間で融通を利かせることができます。
冒頭でもお伝えした通り、医薬品購入費は金額が大きく、1%の改善でも数十万円単位の変化があります。影響度が大きいため、まず意識すべき重要な指標となります。
医薬品購入費を下げるためには、適正な在庫量を確保し廃棄医薬品を減らすこと、ジェネリック医薬品を使用することなどの方法があります。
まずは、医薬品の需要に応じて適切な在庫量を調整し、必要以上の在庫を抱えないことが重要です。これにより、経営におけるキャッシュフローが改善するだけでなく、廃棄医薬品を減らすことが直接的なコスト削減につながります。また、不動医薬品在庫を早めに把握することで、店舗間で融通を利かせることができます。
冒頭でもお伝えした通り、医薬品購入費は金額が大きく、1%の改善でも数十万円単位の変化があります。影響度が大きいため、まず意識すべき重要な指標となります。
■人件費
続いて、経費の大部分を占めるのが人件費です。生産年齢人口が減少しているため、どの業界でも働き手の確保が難しくなっており、医療介護業界では需要に供給が追いついていない状況もあり、より顕著です。採用の優位性を得るために、給与面や福利厚生を充実させる傾向があり、賃上げが求められていることもあって、人件費の割合は年々高まっています。まず、経営者として、薬局の人件費の適正をしっかりと把握する必要があります。
指標のひとつとして労働分配率があります。
労働分配率(%)= 人件費 ÷ 付加価値 × 100
薬局においては、付加価値を売上総利益(売上高から売上原価を引いたもの)と捉えて良いでしょう。およそ50%を基準とすると良いですが、薬局のスタイルによって異なるため(在宅医療を行っている店舗などは高くなることがある)、社内で基準を設けると良いでしょう。60%を超えると赤字店舗になりやすいので、ご参考ください。
また、人件費を意識する上で重要なのが業務効率化の意識です。業務を効率化できれば、少ない人数でもさまざまな業務をこなすことができます。薬局DX(デジタルトランスフォーメーション)もその一環で、初期投資コストがかかりますが、長期的には従業員の負担軽減や経費の適正化につながります。例えば、完全自動分包機の導入、発注・在庫管理業務の自動化、クラウド型システムでの情報共有などがあります。薬剤師の負担軽減に向けて、調剤補助を行う医療事務の育成も有効です。また、薬剤師が在宅医療や患者さんへのフォローなど対人業務に力を入れることにもつながります。
指標のひとつとして労働分配率があります。
労働分配率(%)= 人件費 ÷ 付加価値 × 100
薬局においては、付加価値を売上総利益(売上高から売上原価を引いたもの)と捉えて良いでしょう。およそ50%を基準とすると良いですが、薬局のスタイルによって異なるため(在宅医療を行っている店舗などは高くなることがある)、社内で基準を設けると良いでしょう。60%を超えると赤字店舗になりやすいので、ご参考ください。
また、人件費を意識する上で重要なのが業務効率化の意識です。業務を効率化できれば、少ない人数でもさまざまな業務をこなすことができます。薬局DX(デジタルトランスフォーメーション)もその一環で、初期投資コストがかかりますが、長期的には従業員の負担軽減や経費の適正化につながります。例えば、完全自動分包機の導入、発注・在庫管理業務の自動化、クラウド型システムでの情報共有などがあります。薬剤師の負担軽減に向けて、調剤補助を行う医療事務の育成も有効です。また、薬剤師が在宅医療や患者さんへのフォローなど対人業務に力を入れることにもつながります。
■その他販管費
その他の販管費については、今回詳しく取り上げませんが、正直、金額の影響度は少なく、コントロールできる経費は少ない印象があります。まずは、何にお金を支払っているかをしっかりと確認することが大切です。使用していないサービスにお金を払っている場合は、すぐに契約を解除するなどの対応が可能でしょう。
■まとめ
今回は、薬局の経費に着目し、特に大きな割合を占める医薬品購入費と人件費についてご紹介しました。冒頭でもお話した通り、今後、診療報酬が上がる、すなわち売上が上がることは考えにくいため、経費に注目することが薬局経営において重要です。また、従業員の皆さんもコスト意識を持つことで、業務の効率化を図る工夫につながります。ぜひ、今回のコラムをご参考ください。
【2024.8月号 Vol.339 保険薬局情報ダイジェスト】
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