保険薬局

【続き】(28)よく来たね、新人さん②

一人ひとりに合わせた育成の重要性
薬剤師 産業カウンセラー 荒井 なおみ

2.教え方を学びましょう

実務教育を行う場合、ある程度その業務に熟練した方が行うことが多いでしょう。実際、自分が理解していなければ人に教えることはできません。だからといって、ベテランが教えるのがうまいかというと、うまい場合もありますし、そうでもない場合もあります。 「自分が出来る」 ことと 「人に教える」 ことは、別のスキルと考えたほうがいいでしょう。学校の先生は、誰もがなれるわけではありません。先生になりたければ、先生になるための学習をしなければならないのです。
私たち薬剤師は、教職課程を取られた方以外は教えるための教育を受けていないことがほとんどでしょう。きちんと教えているのに相手が理解しないと思わずに、どうやったら理解してもらえるかを考えてみるのもご自身の成長に繋がります。いくつか留意したい点を挙げてみました。どうぞ楽しんで教育してください。
  • 全体像を見せてから個々の説明をする
  • 資料があるとよい(書き込める、何回でも確認できる)
  • 手本を見せる(写真や動画は患者さんの個人情報に留意する)
  • コツを教える(これは喜ばれます)
  • 1度で覚られる人なんていないことを肝に銘じ、何回でも教える(意外と難しい)
  • 教える人は機嫌が良い状態を保つ(意外と難しい)→ イライラして教えるより、にこやかに教えたほうが、結局は早く覚えて戦力になります。

3.その人を見て育てる

人はそれぞれ違います。考え方も能力も、性格も態度も。最終的に一人前になれば良いのです。多少の時間の早い遅いは仕方がありません。一人ひとりをしっかり見て、その人に合った育て方をしましょう。教育こそカスタマイズする必要があります。

①一緒に考える
→ 調剤ミスを度々起こす場合、 「いい加減に自分で考えてください」 と伝えても効果は低いです。それが分かれば行っているはず。一緒に確認し、一緒に考え、できることから一つずつ実施してください。

②何回でも質問OK
→ 1回で覚えられるものなら、誰でもテストで満点を取ることが出来ます。でも、きっと私たちも満点ではないことがあったはず。であれば、1回で覚えられないのが当たり前と思ったほうがいいでしょう。何回でも教えてもらえる職場は、新人さんだけでなく誰もが安心できる職場です。指摘するのにキツイ言葉は不要です。

③何が得意で何が苦手か確認する
→ 自分でも何が得意で何が苦手か分からないことがあります。管理者や先輩から 「ここが得意だね、ここが苦手だね」 と伝えてあげましょう。分かれば双方が楽になります。

今回は新人さんの教育について考えてみました。ご参考になれば幸いです。


前の記事を読む (28)よく来たね、新人さん②

【2024.8月号 Vol.339 保険薬局情報ダイジェスト】