保険薬局

(16)熱中症にならないために

暑い夏と薬局の存在
薬剤師 産業カウンセラー 荒井 なおみ
今回は気象病の中の「熱中症」についてお話したいと思います。天気予報では毎日のようにどこかで熱中症の警戒情報が出ており、多くの方が救急搬送されたり、体調を崩したりされています。この夏、元気にお過ごしくださいますように!

1.【熱中症】になったことがありますか?

皆様は、熱中症になったことがありますか。私は数年前、同じ月に2回も熱中症を経験してしまいました。当時は原因が分からず、後からあれは熱中症だったんだなと気づきました。案外自分のことになると分からないんだな、自分は大丈夫と思わずに気を付けなくてはいけないのだなと反省したものです。同じ経験をしないでいただくために、私の熱中症体験をご紹介します。

初回は9月が始まったばかりのある朝、起きると同時にめまいとだるさ、軽い吐き気に襲われました。幸い仕事は午後からで、体調不良に関し思い当たることもなかったので、しばらく休めば治るだろうと思っていました。ところがめまいと吐き気が続き、起きているのも辛く、午後の仕事はキャンセルすることに。2回目は9月の終わりです。午前中は大きな問題もなく、おなかの調子が何か変だなという程度でした。しかし、どんどんおなかの調子が悪くなり、トイレ通い。食欲はありません。起きているのが辛いのでじっと寝ていました。
原因は夜間の室温の高さでした。毎晩過酷な環境下で寝ていたために、知らない間に大量の汗をかいて水分や塩分が流れ出し、余分な熱を放出できなくなり体温が上がってしまったのでしょう。対策は簡単でした。夜間もエアコンをつけて寝るようにしたら、熱中症を起こすことはなくなりました。我が家は、私の小さな部屋だけエアコンがなく、冬はオイルヒーター、夏は冷風機で過ごしていたのです。寝るだけの部屋なので手を抜いていたのですね。リスク管理の甘さを突かれてしまいました。

2.暑い夏と薬局の存在

市町村によっては、「まちなか避暑地」などの名称で親しまれているクールスポットがあります。公共施設だけでなく、商業施設なども参加して地域住民が無料で休める場所を提供しています。いくつか「私のクールスポット」を持っておくといいですね。
 薬局もそういった役割を果たせるといいなと思います。あそこでちょっと涼んでいこうかと思ってもらえる場所。待合室に少しの余裕があれば、休憩スペースを用意してみてはいかがでしょう。薬局の宣伝にもなると思います。

実際に熱中症が疑われるご利用者や通りがかりの方を見かけたときの対処法は下記の通りです(厚生労働省作成のパンフレットから抜粋)。

(主な救急処置)
* エアコンが効いている室内や風通しのよい日陰など涼しい場所へ避難
* 衣服をゆるめ、からだを冷やす(首の周り、脇の下、足の付け根など)
* 水分・塩分、経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などを補給
◆ 自力で水が飲めない、応答がおかしい時は、ためらわずに救急車を呼びましょう!

薬局では冷えた保冷剤や経口補水液を準備し、いざと言う時に素早く対応できるようにしておきましょう。地域住民の健康を守るため、薬局が行いたい活動の一つですね。

3.職場での【熱中症】対策は?

職場における熱中症対策も重要です。ちょっとした工夫で節電をしながら、気持ちよく元気に働くことができます。クーラーを使用する際は、寒さが苦手な人への配慮も忘れないでくださいね。

①白衣はけっこう暑い
→ 「夏用の白衣」があります。通気性がよく、速乾性や接触冷感の機能があるタイプなどがあります。半袖、丈が短め、ゆったりめの白衣も良いでしょう。白衣の下に着る服は、熱がこもらない吸汗速乾性のある素材が良いです。通勤時は日傘や帽子を利用しましょう。男性も積極的に。

②休憩室や事務所が暑い
→ 常時人がいるわけではない休憩室はクーラーをつけていないことが多く、用事があって入ると暑さで汗が噴き出すことも。使用する少し前にスイッチを入れておきましょう。常時つけておいた方が節電になる場合もあります。

③いつでも水分補給をしよう
→ 業務中も喉が渇く前に少しずつ水分補給をすることが大切です。手に届くところに水筒やペットボトル等を置き、こまめに補水をしましょう。熱中症対策には水分だけでなく塩分も重要です。

④車を使うときも注意が必要
→ 日差しを遮るフロントシェード、ハンドル用日よけカバー、紫外線・赤外線カット用のフィルム、断熱スプレーなど様々な暑さ対策のアイテムがあります。それぞれの注意点を確認し上手に取り入れましょう。
JAFによれば「車内温度を下げるには、窓を開けエアコンを外気導入にして走行し、車内の熱気を出してから内気循環にするのが効果的」とのことです。

今年の夏も暑いです!今回は、地球温暖化の影響もあり増えている【熱中症】について考えてみました。ご参考になれば幸いです。


【2023.8月号 Vol.327 保険薬局情報ダイジェスト】