組織・人材育成
管理職等のマネジメント研修の年間計画と実践
人事・労務 ここは知っておきたい
株式会社To Doビズ 代表取締役 篠塚 功
人事評価制度の中心に、目標管理を位置付けています。部署の目標を達成するためのスタッフ一人ひとりの目標を設定し、その進捗管理を行い、目標を必ず達成させ、その達成度を評価し、目標達成の過程で見えてきたスタッフの強みや弱みを分析してフィードバックを行うといった活動によって、管理職の役割であるマネジメントを果たすことができると考えます。すなわち、管理職が、部署の目標を達成し組織の業績を上げるパフォーマンス機能と、組織を支える人材を育成し、自分のチームを作り上げていくメンテナンス機能を果たすという、まさにマネジメントのツールとして、目標管理を中心に置いた人事評価制度が必要であると考えています。
この活動を成功させるためには、人事評価の流れに沿った研修計画を立て、研修と人事評価の実践を連動させることが必要です。人事評価のサイクルは、評価の結果を賞与に反映させているところでは半年でマネジメントサイクルをまわしますし、そうでないところでは1年でサイクルをまわします。そこで今回は、1年でサイクルをまわすことを想定し、管理職や指導職を対象とした年間の研修計画の立案と実践について考えます。なお、この研修は、マネジメントツールとしての人事評価を使って組織をマネジメントするための研修であり、まさにマネジメント研修と呼ぶにふさわしいでしょう。
この活動を成功させるためには、人事評価の流れに沿った研修計画を立て、研修と人事評価の実践を連動させることが必要です。人事評価のサイクルは、評価の結果を賞与に反映させているところでは半年でマネジメントサイクルをまわしますし、そうでないところでは1年でサイクルをまわします。そこで今回は、1年でサイクルをまわすことを想定し、管理職や指導職を対象とした年間の研修計画の立案と実践について考えます。なお、この研修は、マネジメントツールとしての人事評価を使って組織をマネジメントするための研修であり、まさにマネジメント研修と呼ぶにふさわしいでしょう。
人事評価のサイクルに合わせた研修計画
人事評価の期間を4月から翌年の3月にしている病院等では、目標設定と目標面接を4月頃、進捗管理である中間面接を10月頃、人事評価の結果を評価する育成面接を3月頃に行うという流れが一般的です。
そこで、研修計画としては、目標設定の研修を3月下旬、進捗管理の研修を9月下旬、人事評価の研修を2月下旬に行うとよいでしょう。すなわち、研修した内容を直ちに実践につなげていくようにすると、研修内容を復習しながら実践できるので効果的です。
ちなみに、1885年にドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスは、人が一度覚えたことを再度覚え直すときの時間の節約率(節約された時間 ÷ 初回覚えるのに必要だった時間)を時間軸で表しています(エビングハウスの忘却曲線)。例えば、20分後の節約率は58%、1日後の節約率は34%、6日後の節約率は25%、1カ月後の節約率は21%としています。研修を受けたあと、時間が経過すればするほど、覚え直すのに時間を要するわけですから、研修後、できるだけ早く実践することで、短時間で覚え直すことができると考えます。したがって、管理職のマネジメント研修の計画は、人事評価のサイクルに合わせて立てることで効果的となります。
そこで、研修計画としては、目標設定の研修を3月下旬、進捗管理の研修を9月下旬、人事評価の研修を2月下旬に行うとよいでしょう。すなわち、研修した内容を直ちに実践につなげていくようにすると、研修内容を復習しながら実践できるので効果的です。
ちなみに、1885年にドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスは、人が一度覚えたことを再度覚え直すときの時間の節約率(節約された時間 ÷ 初回覚えるのに必要だった時間)を時間軸で表しています(エビングハウスの忘却曲線)。例えば、20分後の節約率は58%、1日後の節約率は34%、6日後の節約率は25%、1カ月後の節約率は21%としています。研修を受けたあと、時間が経過すればするほど、覚え直すのに時間を要するわけですから、研修後、できるだけ早く実践することで、短時間で覚え直すことができると考えます。したがって、管理職のマネジメント研修の計画は、人事評価のサイクルに合わせて立てることで効果的となります。
研修は講義と演習で構成し実践につなげる
研修の内容は、一方的な講義だけでは記憶に残り難いですし、体験することで理解も深まりますから、演習を必ず行うべきでしょう。例えば、目標管理の目標設定のポイントとして、目標を達成したかどうかが明確になる目標(測定可能な目標)でなければならないと講義で伝えたとしても、十分理解してもらえるか、そのことが記憶に残るかと言えば、結構難しいと考えます。しかし、実際に自分が立てた目標について、不十分なところを他者から指摘されるとか、あるいは、不十分な目標設定の事例を示され、自らそれを修正するような演習を行うことで、理解が深まり、先述の節約率は高くなることが期待できます。そして、研修の数日後に、実際の目標設定を行うことにより、実践に向けた反復復習が行われ、記憶に定着します。
また、進捗管理として重要な中間面接を行う時期に、そのことの重要性を講義で伝え、自らの目標設定を持ち寄って、中間報告をしてもらうといった演習を行うことで、進捗管理をしっかりと行い、必ず目標を達成するのだという意欲を引き出すことになるのではないでしょうか。
そして、3月の育成面接の前に、目標達成度や人事評価の方法の講義を行い、事例を使った評価者演習を行って、事例の人物を評価し、その人物の育成やフィードバックのポイントを考え発表してもらうことで、正しい評価やフィードバックの方法を理解し身に付けてもらうことができます。
マネジメントツールである人事評価制度の運用を、管理職等に丸投げするのではなく、正しく実践できるように、その都度研修を行い、実践に結び付けていくことで、部署の目標は達成され、病院の事業計画の達成につながります。さらに、この活動によって、管理職等のマネジメント力を高めることになるのです。マネジメント力というのは、知識よりも実践によって身に付く能力です。そして、正しい実践が行えるようになるためには、講義と演習と実践という形を何年間かは反復して行うとよいでしょう。
【2025. 5. 1 Vol.1 メディカル・マネジメント】
また、進捗管理として重要な中間面接を行う時期に、そのことの重要性を講義で伝え、自らの目標設定を持ち寄って、中間報告をしてもらうといった演習を行うことで、進捗管理をしっかりと行い、必ず目標を達成するのだという意欲を引き出すことになるのではないでしょうか。
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