保険薬局

薬局薬剤師は変われるのか?

自分の薬局のスペシャリティーとは何か?
開局薬剤師 岡村 俊子
『賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ』
 誰しも聞いたことがあるだろう。変化に対応し進化することが生き残る最上策だということらしいが、たまたま持っていた個性がその時代に合ったという見方もできる。そして時代とともに必要とされる個性も変わっていく。

自分の薬局のスペシャリティーとは何か?
  • 隣のクリニックに一番近い
  • 自宅に帰る途中にある
  • 帰宅途中の駅中にある
  • どの医療機関の処方でも対応できる
  • 薬の在庫が多い
  • 高度な抗がん剤治療に対応できる
  • 無菌調剤対応している
  • 在宅訪問指導に強い
  • 一般薬や日用雑貨を扱っている
  • 生鮮食料品を扱っている
  • 365日24時間対応できる
  • オンライン服薬指導し、郵送できる
  • 電子処方箋に対応している
  • 検体測定室を設置している
  • 待合室が広い
  • 薬以外のことも相談できる
  • 栄養士がいて栄養や料理方法を教えてくれる
  •  訪問看護ステーションやケアマネジャーと連携している
  • スタッフの対応が良い
  • 施設対応している Etc.

確かな薬剤知識を求める場合もあれば、生活にとっての便利さを判断基準にする場合もある。また、ワクワクする体験を与えてくれる、自分にとって心地よい空間を求める場合もあるだろう。
人が求める条件はさまざまなので、どこに照準を当てるかは経営者の判断になる。理想があっても他の条件が適合しない場合は労力・時間・経費が余分にかかり効率的ではない。現状でもそこそこ利益が出ている場合にあえて新しいことにチャレンジするには体力・気力・経済力が必要だ。

7月3日、日本薬系学会連合が設立された。薬に関係する26学会・団体が集まって社会への情報発信や意見表明を行うということだ。日本医療薬学会と日本薬学会が主軸となっている。薬と健康に関する科学および技術の研究を促進することにより、薬学の水準を向上させようとする学術団体である。日本薬剤師会や日本病院薬剤師会といった職能団体は構成員とはせず、連携という立場をとる。薬学は6年制になったが、博士課程進学率が低迷し、科学力の低下が懸念されている。さまざまな学会ごとの垣根を越えて統一の立場を示さなければ社会への発信力も弱いということだろう。

振り返って、薬剤師に一番求められるのは薬に対する専門知識であり、私たち薬局薬剤師もそれなりにセミナーや研修会を通して知識習得に励んできたと思う。ただ、学術的研究という視点から見た場合、日々の業務の忙しさにかまけて後回しにしてきたことは否めないかもしれない。もちろん、志高く、対人業務から得たデータについて各学術大会で発表される薬剤師もたくさんいらっしゃることと思うが、相対的には調剤報酬加算を取っていくことを優先してきた・・というよりも研究の重要さを理解してなかったのではないかと反省する。また、得た知識の活用の仕方を考えてこなかったのではないか。これからの薬剤師は他の医療関係者へ薬学的知見を以ってアプローチしていかなければいけないと思う。


【2023.8月号 Vol.327 保険薬局情報ダイジェスト】