病院・診療所
後発医薬品の使用割合による報酬設定の意義低下
データから考える医療経営
株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺 優
■後発医薬品使用割合の地域性
インフレ、円安、不安定な世界情勢などの様々な要因が重なり、医薬品安定供給の課題感が強くなっている。そのような環境下にもかかわらず、医療機関には後発医薬品使用割合の基準クリアに対し診療報酬点数が設定され、患者は昨年10月から後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の処方を希望する場合に自己負担が増えた。このような制度は、限られた医療財源を効率的に利用する目的に合致していることは理解できる。しかし一方で、安定供給に課題感のある環境下において、後発医薬品のさらなる利用推進に実効性ある仕組みかは相当疑問である。
後発医薬品の使用割合には地域差があることはよく知られている。その地域差は所得水準が大きな影響を及ぼしていると思われる。徳島や奈良のように分布からやや外れている県もあるが、東京や大阪など所得の高い地域ほど、後発医薬品使用割合が低く、沖縄や宮崎など所得の低い地域ほど、後発医薬品使用割合が高くなる傾向にある=グラフ1=。後発医薬品への切り替えは、地域の医療機関や保険者の取り組みの影響は無視できないものの、それ以上に、所得水準、言い換えると医療費の自己負担金額を抑えたい意向が強い影響を及ぼしているのだろう。
後発医薬品の使用割合には地域差があることはよく知られている。その地域差は所得水準が大きな影響を及ぼしていると思われる。徳島や奈良のように分布からやや外れている県もあるが、東京や大阪など所得の高い地域ほど、後発医薬品使用割合が低く、沖縄や宮崎など所得の低い地域ほど、後発医薬品使用割合が高くなる傾向にある=グラフ1=。後発医薬品への切り替えは、地域の医療機関や保険者の取り組みの影響は無視できないものの、それ以上に、所得水準、言い換えると医療費の自己負担金額を抑えたい意向が強い影響を及ぼしているのだろう。
グラフ1 都道府県別 平均所得(年額)と後発医薬品使用割合の分布

厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)、厚生労働省保険局調査課都道府県別の後発医薬品割合について(2024年12月)を基に作成
グラフ2 都道府県別 平均所得(年額)と院外処方の 「ケトプロフェンテープ40mg 10cm × 14cm」 の後発医薬品使用割合の分布

厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)、NDBオープンデータ(第9回)を基に作成
さらに、ケトプロフェンテープを例に挙げ、グラフ1と同様の分析を行った=グラフ2=。グラフ1と比較し都道府県の位置は若干変わったものの、大まかな傾向はほぼ同じである。この分布を見て、沖縄以外の都道府県が、沖縄の位置を目指すことを考えると、後発医薬品使用割合を高めるには「所得水準を下げるべき」となる。しかし、基本、所得水準は上げたいのであって、下げることはありえない。
この結果では、後発医薬品のさらなる推進に対して何ら示唆がない。もう少し踏み込んでケトプロフェンテープ40mg10cm × 14cmの処方金額を見た。同薬剤は8割以上が65歳以上に処方されている(数量ベース)。そこで、先発品・後発品あわせた処方金額を65歳以上人口で割った金額をグラフ1・2と同様の散布図で比較した=グラフ3=。
グラフ3 都道府県別 平均所得(年額)と院外処方の 「ケトプロフェンテープ40mg 10cm × 14cm」 の65歳以上人口1人当たり年間処方金額の分布

厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)、NDBオープンデータ(第9回)、国勢調査(2020年)を基に作成
処方金額は佐賀、鹿児島、沖縄の順で高く、大まかな傾向は所得水準の低い地域ほど、処方金額が多い傾向にある。つまりグラフ1や2で見たように後発医薬品割合の高さを誇ったところで、グラフ3のように処方金額が多いのであれば、それは効率的な医療財源の活用とは言い難い。後発医薬品使用割合は数量ベースであれ、金額ベースであれ、適正な指標とは言えないことになる。
なお、2025年度予算案に関し、自民党、公明党、日本維新の会の三党合意においてOTC類似薬の保険給付のあり方の見直しも検討すると報じられている。消炎鎮痛剤の貼付薬はドラッグストアで買うべきとなれば、グラフ3で示したとおり、所得水準の低い地域ほど保険診療でたくさん処方を受けている現状は激変する可能性があるだろう。
【2025. 4. 15 Vol.614 医業情報ダイジェスト】
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