保険薬局
薬局薬剤師と在支診薬剤師による相乗効果
在宅医療の羅針盤
在宅療養支援診療所薬剤師連絡会 理事 在支診薬剤師 天川 雅彦
祭りのあと
2000年代のはじめ、私は薬学部を卒業しドラッグストアチェーンに入社しました。ちょうど医薬分業の大波がドミノ倒しのように全国に広がっていた時期です。当時の雰囲気を一言で表せば、“分業祭り”。私の配属店舗も、近隣病院の分業開始に伴いFAXが鳴り止まなくなりました。社内では広域病院の分業に対応する専門部隊が設けられ、私は管理薬剤師、そしてエリ アマネージャーとしてこの祭りの熱狂を経験しました。今では当たり前となった医薬分業ですが、当時は薬剤師の悲願でした。大学でも会社でも、医薬分業こそが薬剤師の職能を最大限に発揮できる必要条件だと教えられていました。
しかし分業開始後、大量の処方せんを応需する中で理想と現実の差を思い知りました。本来のメリットは、薬剤師による重複投与や相互作用の防止、充実した服薬指導にあったはずでしたが、実際は大勢の患者さんを前に、十分な病歴や診断内容を聞き取ることは容易ではありませんでした。つまり薬剤師が薬学的な判断や指導を行うための情報が得られなかったのです。そんな状況の中、 「医師のカルテが共有されない医薬分業って、バグじゃないの?」 と漠然と感じながら薬局勤務を続けていました。
しかし分業開始後、大量の処方せんを応需する中で理想と現実の差を思い知りました。本来のメリットは、薬剤師による重複投与や相互作用の防止、充実した服薬指導にあったはずでしたが、実際は大勢の患者さんを前に、十分な病歴や診断内容を聞き取ることは容易ではありませんでした。つまり薬剤師が薬学的な判断や指導を行うための情報が得られなかったのです。そんな状況の中、 「医師のカルテが共有されない医薬分業って、バグじゃないの?」 と漠然と感じながら薬局勤務を続けていました。
6年制発足から、もうすぐ20年
2006年4月、もうひとつの薬剤師の悲願であった薬学部6年制がスタートしました。当時の私は薬剤師の教育部門に所属し、薬局実習のカリキュラム編成など、6年制薬剤師の受け入れに携わっていました。モデルコアカリキュラム、OSCEといったアバンギャルドな用語を耳にし、 「これはもうキレッキレの薬剤師が誕生するに違いない」 と感じたものです。そして6年制卒の薬剤師が入社して1年後、彼らは 「現実は厳しいですね。ただ薬を渡すだけになってる気がします」 と口にしました。患者さんの情報がうまく得られず、大学で学んだ知識や経験を十分に実践できない状況は、依然として続いていたのです。
医薬分業のスキマを埋める
その後、私は在宅療養支援診療所(以下、在支診)の開院にあわせてオープンする調剤薬局に転職しました。しかし転職してみると、薬局建設が中止になり、院内処方を行うことになりました。私は期せずして在支診に薬剤師として就職し、さまざまな業務に携わることになりました。
在支診薬剤師となり、保険薬局からの疑義照会などに対応する中で、自分が薬局薬剤師として感じていた情報不足の問題に対して役立てる立場にあることに気づきました。在支診薬剤師は調剤業務は行いませんが、調剤薬局の薬剤師としての目線は持ち続けています。そのため、処方意図、医師の指導内容、薬物療法の評価のポイントのほか、患者さんのキャラクターや人間関係、薬剤や物品の入荷に要する時間など、自分が調剤する時に知りたかった情報をピンポイントで提供できる存在であると考えています。しかし、全ての患者さんの処方せんに関わっているわけではないため、薬局に十分な情報提供ができていないケースも少なくありません。そこで、近くに在支診薬剤師がいる診療所があれば、薬局薬剤師の方が必要と感じた情報や要望など、ぜひお気軽に問い合わせいただければと思います。在支診薬剤師は、地域薬局の駐在員のように、医薬分業のスキマを埋める役割を担いたいと考えています。多くの在支診薬剤師は診療所における1人職種であり、医師や看護 師、事務スタッフに囲まれた、いわばアウェーの環境にあります。地域の薬局薬剤師との連携は、在支診薬剤師にとっても自らの存在意義を実感でき、その役割を最大限に活かす上でも非常に重要だと考えています。
在支診薬剤師となり、保険薬局からの疑義照会などに対応する中で、自分が薬局薬剤師として感じていた情報不足の問題に対して役立てる立場にあることに気づきました。在支診薬剤師は調剤業務は行いませんが、調剤薬局の薬剤師としての目線は持ち続けています。そのため、処方意図、医師の指導内容、薬物療法の評価のポイントのほか、患者さんのキャラクターや人間関係、薬剤や物品の入荷に要する時間など、自分が調剤する時に知りたかった情報をピンポイントで提供できる存在であると考えています。しかし、全ての患者さんの処方せんに関わっているわけではないため、薬局に十分な情報提供ができていないケースも少なくありません。そこで、近くに在支診薬剤師がいる診療所があれば、薬局薬剤師の方が必要と感じた情報や要望など、ぜひお気軽に問い合わせいただければと思います。在支診薬剤師は、地域薬局の駐在員のように、医薬分業のスキマを埋める役割を担いたいと考えています。多くの在支診薬剤師は診療所における1人職種であり、医師や看護 師、事務スタッフに囲まれた、いわばアウェーの環境にあります。地域の薬局薬剤師との連携は、在支診薬剤師にとっても自らの存在意義を実感でき、その役割を最大限に活かす上でも非常に重要だと考えています。
患者さんを相互につなぐ関係へ
患者さんが訪問診療に移行する際には、 「家の近くの薬局を紹介してほしい」 「在宅医療を担当できる薬局はないか」 といった相談を受けることが頻繁にあります。私の場合、在宅医療に積極的に取り組む地域の薬局をGoogle MAPに登録し、当院ホームページで公開しています。患者さんと薬局がうまくつながり、喜びの声をいただいたり、薬物療法が改善すると非常に嬉しく思います。最近では、薬局薬剤師から在支診薬剤師に患者さんを紹介いただくケースも出てきました。このケースでは、かかりつけの薬局薬剤師が末期がんの患者さんの家族から話を聞き、在宅緩和ケアの必要性を感じて当院を紹介。その後、ご希望通り自宅で最期を迎えることができました。もし、あのタイミングで当院が介入できなければ、おそらく自宅での最期は難しかったと思います。街の中で、薬局ほど誰もが気軽に立ち寄れる医療・介護の相談窓口はありません。加えて、かかりつけ薬剤師は、患者さんや家族の情報を把握しているという強みもあります。薬局薬剤師と在支診薬剤師が連携し、必要な患者さんを必要なサービスにつなぐことができれば、最期まで望んだ場所で暮らせる地域づくりに大いに貢献できると考えています。このように、薬局薬剤師と在支診薬剤師の連携は、さまざまな面で相乗効果を生み出す可能性があると思います。
【2025.8月号 Vol.4 Pharmacy-Management】
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2026-01-14【セミナーのご案内】新社会システム総合研究所主催 これからの薬局経営の方向性と戦略
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