保険薬局
今後の在宅医療の重要性
ファーマ・トピックス・マンスリー
たんぽぽ薬局株式会社 薬剤師 緒方 孝行
8月27日に行われた中央社会保険医療協議会(以下、中医協)において、在宅やマイナ保険証の利用促進等についての議論が行われた。マイナ保険証の利用促進においてはスマートフォンでの利用に向けた環境整備が行われており、より簡便にマイナ保険証による受診などが可能になる。薬局側は、顔認証付きカードリーダーに対応した汎用カードリーダーの購入や、汎用カードリーダーと資格確認端末(PC)との接続、窓口で患者がわかりやすい受付環境の整備を求められるが、カード紛失を懸念する方の存在やカードの出し入れなどに時間を要するという現状の課題を鑑みても、一定の利用促進効果は期待できると考える。
一方で、在宅医療については、そう簡単な話ではない。高齢化社会という言葉が登場して久しいが、人口の高齢化に伴い、要介護5を除くすべての区分で漸増傾向である。特に要介護1の顕著な増加がみられており、85歳以上においては人口増加のために要支援・要介護認定者の絶対数が増加している。高齢者の主な死因をみると、高齢になるほど老衰による死亡割合が増加している。そういった人生の最期を迎える場所は、令和5年度データでは病院が64.4%と高い割合を占めているが、実は平成17年以降、その割合は減少傾向にあり、近年においては介護医療院・介護老人保健施設、老人ホーム、自宅での死亡割合が増加傾向にある。病院以外の場所で最期を迎える方が増えているということは、やはり地域での医療的介入が必須であり、薬局においても最期の時を安らかに迎えてもらうためのサポートという役割が求められるだろう。
では、実際に在宅医療を受けている患者は増えているのか。厚労省の患者調査によると、令和2年に一時減少したが、その推計外来患者数は平成17年以降、増加傾向にある。特に計画的な医学管理のもとに定期的に医師が訪問して診療を行う訪問診療を受けた患者の数が増えており、その需要の高さがみられる。さらに言えば、今後の医療需要予測について、2020年から2040年にかけて、85歳以上の緊急搬送は75%、在宅医療需要は62%増加すると試算されており、やはり在宅医療への対応は喫緊の課題であることが示されている。
こういった現状を踏まえて、薬局はなにができるのか。第8次医療計画では、在宅医療における薬局・薬剤師の関わりとして、在宅医療に関わる薬剤師の資質向上を図り、麻薬や無菌製剤の調剤、小児在宅、24時間対応が可能な薬局の整備・地域連携の推進、在宅に必要な医薬品等の提供体制の構築が求められている。在宅医療対応の有無について、令和4年度の 「薬局の機能に係る実態調査」 では、73.1%の薬局が「在宅医療対応あり」と回答した。多くの薬局がその地域の医療ニーズに応え、在宅医療へ参画している状況がみえてくる。また一定の訪問実績が必要な加算である在宅薬学総合体制加算(旧:在宅患者調剤加算)の届出薬局数は27,356薬局あり、薬局全体の44.4%と、増加傾向にある。ここからも薬局の在宅医療への貢献がみえる。
令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査において、夜間休日対応の体制整備については、自薬局単独または近隣薬局と連携して対応可能な体制を整備している薬局が90.8%となっている。その具体的な対応事例としては、麻薬を除く調剤、在宅患者からの不安や問い合わせに電話で対応が多く挙げられた。また令和6年度改定で新設された在宅移行初期管理料は、訪問薬剤管理指導を行っている薬局のうち11.6%で相応の業務を行っている実態が示され、対象患者としては認知症患者、独居高齢者が多くを占めた。
薬局が在宅医療へ参画する動きは、実績を伴いながら確実に数値で裏付けされつつある。
今後、薬局・薬剤師に求められるのは、①在宅移行患者を継続的にフォローし円滑な在宅移行を支援すること、②夜間・休日を含めた切れ目のない医療体制を地域連携で構築すること、③自宅で最期を迎えたい患者の希望に応える麻薬管理や無菌調剤の体制を整備することであろう。
中医協で議論されているように経営面の課題は残るものの、地域医療へ貢献するうえで在宅医療への関与は薬局・薬剤師にとって不可欠な業務であることは疑いようがない。

中央社会保険医療協議会総会(第615回) 資料2在宅について(その1)より
【2025年10月号 Vol.6 Pharmacy-Management 】
一方で、在宅医療については、そう簡単な話ではない。高齢化社会という言葉が登場して久しいが、人口の高齢化に伴い、要介護5を除くすべての区分で漸増傾向である。特に要介護1の顕著な増加がみられており、85歳以上においては人口増加のために要支援・要介護認定者の絶対数が増加している。高齢者の主な死因をみると、高齢になるほど老衰による死亡割合が増加している。そういった人生の最期を迎える場所は、令和5年度データでは病院が64.4%と高い割合を占めているが、実は平成17年以降、その割合は減少傾向にあり、近年においては介護医療院・介護老人保健施設、老人ホーム、自宅での死亡割合が増加傾向にある。病院以外の場所で最期を迎える方が増えているということは、やはり地域での医療的介入が必須であり、薬局においても最期の時を安らかに迎えてもらうためのサポートという役割が求められるだろう。
では、実際に在宅医療を受けている患者は増えているのか。厚労省の患者調査によると、令和2年に一時減少したが、その推計外来患者数は平成17年以降、増加傾向にある。特に計画的な医学管理のもとに定期的に医師が訪問して診療を行う訪問診療を受けた患者の数が増えており、その需要の高さがみられる。さらに言えば、今後の医療需要予測について、2020年から2040年にかけて、85歳以上の緊急搬送は75%、在宅医療需要は62%増加すると試算されており、やはり在宅医療への対応は喫緊の課題であることが示されている。
こういった現状を踏まえて、薬局はなにができるのか。第8次医療計画では、在宅医療における薬局・薬剤師の関わりとして、在宅医療に関わる薬剤師の資質向上を図り、麻薬や無菌製剤の調剤、小児在宅、24時間対応が可能な薬局の整備・地域連携の推進、在宅に必要な医薬品等の提供体制の構築が求められている。在宅医療対応の有無について、令和4年度の 「薬局の機能に係る実態調査」 では、73.1%の薬局が「在宅医療対応あり」と回答した。多くの薬局がその地域の医療ニーズに応え、在宅医療へ参画している状況がみえてくる。また一定の訪問実績が必要な加算である在宅薬学総合体制加算(旧:在宅患者調剤加算)の届出薬局数は27,356薬局あり、薬局全体の44.4%と、増加傾向にある。ここからも薬局の在宅医療への貢献がみえる。
令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査において、夜間休日対応の体制整備については、自薬局単独または近隣薬局と連携して対応可能な体制を整備している薬局が90.8%となっている。その具体的な対応事例としては、麻薬を除く調剤、在宅患者からの不安や問い合わせに電話で対応が多く挙げられた。また令和6年度改定で新設された在宅移行初期管理料は、訪問薬剤管理指導を行っている薬局のうち11.6%で相応の業務を行っている実態が示され、対象患者としては認知症患者、独居高齢者が多くを占めた。
薬局が在宅医療へ参画する動きは、実績を伴いながら確実に数値で裏付けされつつある。
今後、薬局・薬剤師に求められるのは、①在宅移行患者を継続的にフォローし円滑な在宅移行を支援すること、②夜間・休日を含めた切れ目のない医療体制を地域連携で構築すること、③自宅で最期を迎えたい患者の希望に応える麻薬管理や無菌調剤の体制を整備することであろう。
中医協で議論されているように経営面の課題は残るものの、地域医療へ貢献するうえで在宅医療への関与は薬局・薬剤師にとって不可欠な業務であることは疑いようがない。

中央社会保険医療協議会総会(第615回) 資料2在宅について(その1)より
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