財務・税務
社会医療法人の固定資産税について考える
医療機関のガバナンスを考える
あすの監査法人 公認会計士 山岡 輝之
今回は 「社会医療法人の固定資産税」 について考えてみたいと思います。社会医療法人の税制は平成21年度税制改正により、大きく変更されました。固定資産税についても非課税措置が創設され、税務上の優遇措置が受けられることになりました。
しかし、この非課税範囲の取扱いが必ずしも統一されていないように思うことはないでしょうか。その原因は、固定資産税は課税主体である市町村が最終的に課税するか否かを判断するため、課税対象の考え方にいわばブレが生じていることが考えられます。今回は、この点をポイントに考えていきたいと思います。
しかし、この非課税範囲の取扱いが必ずしも統一されていないように思うことはないでしょうか。その原因は、固定資産税は課税主体である市町村が最終的に課税するか否かを判断するため、課税対象の考え方にいわばブレが生じていることが考えられます。今回は、この点をポイントに考えていきたいと思います。
1.平成21年度の税制改正の概要について
厚生労働省の報道発表資料( 「平成21年度 税制改正の概要」 平成20年12月厚生労働省)には、固定資産税の非課税措置について、以下のように記載されています。
(1)社会医療法人が救急医療等確保事業の用に供する病院及び診療所に係る非課税措置の創設 〔固定資産税、都市計画税、不動産取得税〕
地域の救急医療、へき地医療、産科・ 小児科医療などを守るため、都道府県の医療計画に基づき特に地域で必要な医療の提供を担う社会医療法人について、救急医療等確保事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療( 小児救急医療を含む。))を行う病院及び診療所に係る固定資産税、都市計画税及び不動産取得税を非課税とする措置を講ずることとされた。
(*)救急医療等確保事業を行っている病院又は診療所については、有料駐車場等を除き、全体が非課税とされた。救急医療等確保事業を行っていない病院又は診療所は非課税措置の対象とならない。
この文書からは、社会医療法人の中でも非課税になる範囲は、「救急医療等確保事業の用に供する病院及び診療所」に限られることになります。法人の土地や建物などの全ての固定資産税が非課税の対象になるわけではないということです。
社会医療法人の中で、社会医療法人認定の要件(医療法42条の2第1項4・5号)を満たす救急医療や周産期医療を行う病院やへき地医療を行う診療所などについては非課税となりますが、その他の病院や診療所、老人介護保健施設などは課税対象になることが示されています。また、対象となる病院や診療所においては、その全体が基本的に非課税となります。そして、仮に非課税の対象となる病院や診療所内では、救急部門や周産期部門等、部門を内部で便宜的に区分していても課税対象には関係なく、それらも非課税の対象と考えられます。
しかし、例外として、病院内の売店やレストランがある場合、敷地内に有料の駐車場がある場合や敷地内薬局等がある場合には、その利用部分に関しては課税対象となります。
例えば、院内の売店を例にした場合、売店事業は医業に付随する業務ではあるが、実質的には医療保健業でない収益業務に当たるとして、地方税法の規定にある 『直接救急医療等確保事業に係る業務』 に当てはまらないことが理由であると考えられます。(地方税法施行規則第10条の7の7より、飲食店、喫茶店、物品販売施設、駐車施設は非課税の対象から除外となっている。)
(1)社会医療法人が救急医療等確保事業の用に供する病院及び診療所に係る非課税措置の創設 〔固定資産税、都市計画税、不動産取得税〕
地域の救急医療、へき地医療、産科・ 小児科医療などを守るため、都道府県の医療計画に基づき特に地域で必要な医療の提供を担う社会医療法人について、救急医療等確保事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療( 小児救急医療を含む。))を行う病院及び診療所に係る固定資産税、都市計画税及び不動産取得税を非課税とする措置を講ずることとされた。
(*)救急医療等確保事業を行っている病院又は診療所については、有料駐車場等を除き、全体が非課税とされた。救急医療等確保事業を行っていない病院又は診療所は非課税措置の対象とならない。
この文書からは、社会医療法人の中でも非課税になる範囲は、「救急医療等確保事業の用に供する病院及び診療所」に限られることになります。法人の土地や建物などの全ての固定資産税が非課税の対象になるわけではないということです。
社会医療法人の中で、社会医療法人認定の要件(医療法42条の2第1項4・5号)を満たす救急医療や周産期医療を行う病院やへき地医療を行う診療所などについては非課税となりますが、その他の病院や診療所、老人介護保健施設などは課税対象になることが示されています。また、対象となる病院や診療所においては、その全体が基本的に非課税となります。そして、仮に非課税の対象となる病院や診療所内では、救急部門や周産期部門等、部門を内部で便宜的に区分していても課税対象には関係なく、それらも非課税の対象と考えられます。
しかし、例外として、病院内の売店やレストランがある場合、敷地内に有料の駐車場がある場合や敷地内薬局等がある場合には、その利用部分に関しては課税対象となります。
例えば、院内の売店を例にした場合、売店事業は医業に付随する業務ではあるが、実質的には医療保健業でない収益業務に当たるとして、地方税法の規定にある 『直接救急医療等確保事業に係る業務』 に当てはまらないことが理由であると考えられます。(地方税法施行規則第10条の7の7より、飲食店、喫茶店、物品販売施設、駐車施設は非課税の対象から除外となっている。)
2.社会医療法人の固定資産税を今回テーマにした理由
昨今では、コロナの影響もあり、特に救急医療や災害医療を認定要件としている社会医療法人が、救急受入要件(夜間休日搬送受入件数等)を満たせず、社会医療法人格の維持が厳しい状況にあります。そのような法人にあっては、社会医療法人格を維持するため、へき地医療等の認定要件を新たに加えることで法人格を維持するようなケースもあります。
この場合を例にとれば、非課税になる範囲は、 「救急医療等確保事業の用に供する病院及び診療所」 であり、救急であってもへき地医療であっても結果として固定資産税の非課税範囲は基本的に変更されないと考えられます。
これらの考え方は、いわゆる償却資産税にも同様に適用されます。特に、医療機関で多くの金額が計上される医療機器に関しては、償却資産税は申告制が採用されていることもあり、通常の資産増減の申告とともに、既に申告済みの資産や新規増加資産のなかで、どの資産が非課税資産に該当するかも大きなポイントになります。
ここまでのことを踏まえ、社会医療法人である医療法人の関係者の方々においては、改めて自らの法人の固定資産税の賦課状況について確認してみてはいかがでしょうか。
なかなか振り返ることがない論点になりますが、今回の記事をいい機会にしていただけたらと思います。
【2025. 5. 1 Vol.1 メディカル・マネジメント】
この場合を例にとれば、非課税になる範囲は、 「救急医療等確保事業の用に供する病院及び診療所」 であり、救急であってもへき地医療であっても結果として固定資産税の非課税範囲は基本的に変更されないと考えられます。
これらの考え方は、いわゆる償却資産税にも同様に適用されます。特に、医療機関で多くの金額が計上される医療機器に関しては、償却資産税は申告制が採用されていることもあり、通常の資産増減の申告とともに、既に申告済みの資産や新規増加資産のなかで、どの資産が非課税資産に該当するかも大きなポイントになります。
ここまでのことを踏まえ、社会医療法人である医療法人の関係者の方々においては、改めて自らの法人の固定資産税の賦課状況について確認してみてはいかがでしょうか。
なかなか振り返ることがない論点になりますが、今回の記事をいい機会にしていただけたらと思います。
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