保険薬局
1on1面談における信頼関係と成長を引き出そう
薬局経営の今とこれから
株式会社iMus 代表取締役社長 薬剤師 安田 幸一
薬局という職場環境は、薬剤師をはじめ、医療事務や登録販売者など、限られた人数で構成される専門職の集まりです。こうした小規模なチームにおいては、メンバー間の信頼関係と円滑なコミュニケーションが、業務の質のみならず、職場全体の雰囲気や患者様対応のあり方にも直結します。そのような環境下で注目すべきが、上司と部下が定期的に1対1で向き合い、対話(ダイアログ)を重ねる 「1on1面談」 の活用です。
1on1面談は、単なる業務の進捗確認にとどまらず、部下のモチベーションや内面に潜む課題、今後のキャリアビジョンなどを共有する大変有意義な場である一方、実際の運用においては 「話すことがない」 「形式的になりがち」 といった声も聞かれます。そのような懸念を払拭し、面談をより意義深い時間とするための指針として、心理学的なフレームワーク 「ジョハリの窓」 の導入が非常に効果的です。
ジョハリの窓とは、 「自己に関する情報」 を 「自分が知っているか否か」 「他者が知っているか否か」 の2軸で整理し、以下の4つの領域に分類したモデルです。
1on1面談は、単なる業務の進捗確認にとどまらず、部下のモチベーションや内面に潜む課題、今後のキャリアビジョンなどを共有する大変有意義な場である一方、実際の運用においては 「話すことがない」 「形式的になりがち」 といった声も聞かれます。そのような懸念を払拭し、面談をより意義深い時間とするための指針として、心理学的なフレームワーク 「ジョハリの窓」 の導入が非常に効果的です。
ジョハリの窓とは、 「自己に関する情報」 を 「自分が知っているか否か」 「他者が知っているか否か」 の2軸で整理し、以下の4つの領域に分類したモデルです。
- 自分も他者も知っている 「開放の窓」
- 他者は知っているが自分は気づいていない 「盲点の窓」
- 自分は知っているが他者には開示していない 「秘密の窓」
- 自分も他者も気づいていない 「未知の窓」

このモデルを1on1面談に意識的に取り入れることで、対話の質を一段と高めることが可能になります。
まず 「開放の窓」 は、上司と部下が互いの価値観や考え、感じていることを共有することで拡大されます。この領域が広がるほど、信頼関係が深化し、共感を基盤とした建設的な対話が可能となります。たとえば、 「最近、仕事で達成感を得られた場面はありますか?」 「どんな瞬間にやりがいを感じますか?」 といったオープンクエスチョンを投げかけることで、互いの理解が深まります。また、上司自身が 「私も最近、こんなことで嬉しい気持ちになったよ」 とさりげなく自己開示をすることで、部下も心を開きやすくなり、双方向のコミュニケーションが自然と促されます。
次に 「盲点の窓」 は、部下自身がまだ認識していない資質や行動特性が含まれる領域です。これを減らしていくには、上司からの丁寧かつ具体的な 「フィードバック」 が不可欠です。たとえば、 「○○さんの対応は、患者様からも “ 説明がとても丁寧で安心できる” と好評です」 といった、他者からの声や事実を交えて伝えることで、相手も素直に受け止めやすくなります。改善点を伝える際も、否定的な指摘ではなく、 「このように工夫すると、さらにスムーズになりますよ」 といった前向きな提案として伝えることが、成長を後押しする鍵となります。
「秘密の窓」 は、部下自身は把握していても他者には明かしていない情報が該当します。悩みや不安、葛藤といった感情が含まれやすく、ここを開示してもらうには、 「上司との信頼関係」 が極めて重要となります。そのため、1on1面談ではまず“安心して話せる雰囲気” を醸成することが前提です。上司が 「実は私も以前、同じようなことで悩んだ経験があります」 といった軽やかな自己開示を行えば、部下も心の扉を開きやすくなります。また、 「最近、気になることはありませんか?」 「仕事以外のことでモヤモヤしていることなどありますか?」 といった、日常に寄り添う問いかけも有効です。
最後の 「未知の窓」 は、本人も他者もまだ気づいていない潜在的な能力や可能性を指します。ここを開拓するには、普段と異なる役割への挑戦を促したり、新たな視点を提供したりすることが求められます。たとえば、 「これまでやったことのない業務で興味のある分野はありますか?」 「今後、挑戦してみたい職域や役割は?」 といった問いかけにより、隠れた関心や意欲が浮かび上がるかもしれません。そして、そのようなチャレンジに伴う小さな成功体験を積み重ね、上司がそれをしっかりと認めることで、自己効力感が育まれ、未知の領域が徐々に可視化されていくのです。
このように、 「ジョハリの窓」 という心理的フレームを活用しながら1on1面談を実施することで、面談は単なる業務確認の場を超え、部下の成長を支援し、チーム全体の信頼文化を醸成する、価値ある対話の場へと昇華します。とりわけ薬局のような少人数体制では、各人の心理的安全性が業務の質や患者対応に直結するため、このような丁寧な関係構築の積み重ねが、最終的には組織全体の活力と成果に結びついていきます。
1on1面談は、部下を“ 管理” するための手法ではなく、個の可能性に耳を傾け、信頼の架け橋を築き、ともに未来を描くための“ 対話” の技術です。ジョハリの窓という視点を取り入れることで、その対話はさらに深みを増し、チームと組織を支える確かな土台となるに違いありません。
【2025.7月号 Vol.3 Pharmacy-Management】
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