保険薬局
薬局薬剤師から見える「在支診薬剤師」の可能性
在宅医療の羅針盤
在宅療養支援診療所薬剤師連絡会 理事 平賀 愛
在宅医療を支える多職種連携のなかで、診療所に勤務する薬剤師(在宅療養支援診療所薬剤師、以下 「在支診薬剤師」)の存在は、いまだ十分に認知されているとは言えません。医療機関と地域をつなぐ中間的な位置にありながら、その機能や役割の可視化は十分ではなく、薬剤師職能の多様化のなかでも特に検討が求められる領域です。私は現在、保険薬局薬剤師として在宅医療に携わっていますが、かつて在支診に勤務していた経験があり、そのご縁から在支診薬剤師連絡会に参加しています。本稿では、在支診と薬局の双方を経験した立場から、現場の課題を振り返りつつ、在支診薬剤師の意義と今後の展望について考察します。
在支診における連携構築の課題
私が勤務していた診療所は、開業直後で地域との接点がほとんどなく、連携の基盤を一から構築する必要がありました。とくに在宅医療の現場では、診療所と薬局の連携体制が十分に整備されておらず、薬剤管理や情報共有に多くの課題を抱えていました。
診療所は24時間365日体制で訪問診療を行っていましたが、薬局との調整が難航する場面も少なくありませんでした。近隣の薬局に在宅患者の受け入れ可否を問い合わせても、薬局側のマンパワー不足や体制的な制約から、 「そのような患者さんは難しい」 と断られることが多くあり、連携の壁を痛感しました。
診療所は24時間365日体制で訪問診療を行っていましたが、薬局との調整が難航する場面も少なくありませんでした。近隣の薬局に在宅患者の受け入れ可否を問い合わせても、薬局側のマンパワー不足や体制的な制約から、 「そのような患者さんは難しい」 と断られることが多くあり、連携の壁を痛感しました。
地域薬局との協働による連携促進
そこで私は、地域の薬局を一軒ずつ訪問し、直接コミュニケーションをとることにしました。すると、 「在宅医療には関心があるが、急に患者が増えると対応できない」 「人員が足りず訪問対応が難しい」 「麻薬を在庫していないため終末期患者は受 け入れられない」 「車がないので自転車で行ける範囲なら可能」 といった、薬局ごとの事情や課題が見えてきました。中でも多かったのは、 「在宅を始めたいが、何から手をつければよいか分からない」 「実際に取り組んでいる人の話を聞きたい」 といった声でした。
このような声を受けて、在宅医療に関する勉強会を企画し、地域薬剤師会の協力を得ながら、診療所・薬局・病院の薬剤師が一堂に会する場を設けました。ここでは、在宅業務における具体的事例の共有や制度面の理解が進み、相互理解につながりました。結果として、地域における 「顔の見える関係」 が形成され、患者支援のスピードと柔軟性が格段に高まりました。
この経験から私は、在支診薬剤師が “連携の起点” として果たす機能の大きさを実感しました。診療所に薬剤師が配置されることで、薬局との距離が縮まり、情報が双方向に流れ、より精緻で継続的なケア体制が構築されます。在支診薬剤師の存在は、単に薬剤提供を担うだけでなく、地域医療ネットワークを媒介するハブとしての価値を持つと言えます。
このような声を受けて、在宅医療に関する勉強会を企画し、地域薬剤師会の協力を得ながら、診療所・薬局・病院の薬剤師が一堂に会する場を設けました。ここでは、在宅業務における具体的事例の共有や制度面の理解が進み、相互理解につながりました。結果として、地域における 「顔の見える関係」 が形成され、患者支援のスピードと柔軟性が格段に高まりました。
この経験から私は、在支診薬剤師が “連携の起点” として果たす機能の大きさを実感しました。診療所に薬剤師が配置されることで、薬局との距離が縮まり、情報が双方向に流れ、より精緻で継続的なケア体制が構築されます。在支診薬剤師の存在は、単に薬剤提供を担うだけでなく、地域医療ネットワークを媒介するハブとしての価値を持つと言えます。
今後の連携発展に向けた視点
では、在支診薬剤師が不在の地域において、薬局薬剤師はどのように診療所や訪問チームと関係を築いていけばよいのでしょうか。
第一に、勉強会や症例検討会などの協働的な場を通じて、職種間で相互理解を深めることが重要です。共通の目的を共有し、互いの専門性を補完し合うことで、組織を超えた信頼関係が生まれます。第二に、薬局側が自らの体制や制約を率直に共有する姿勢も欠かせません。 「麻薬の在庫はあるが入荷に時間がかかる」 「訪問対応は可能だが人員が限られている」 といった情報を開示することで、診療所側も現実的な調整が可能となり、協働の質が高まります。透明性と相互理解は、連携を持続可能にする基盤となります。
さらに、薬局薬剤師自身が在支診薬剤師の役割や業務内容を理解することで、 「診療所に薬剤師がいるとこんな連携が可能になる」 「薬局としてこういう支援ができる」 といった具体的なイメージを持つことができます。それにより、薬局薬剤師も在支診薬剤師と同様に、職種間の “潤滑油” としての役割を果たすことができるのではないかと考えています。
第一に、勉強会や症例検討会などの協働的な場を通じて、職種間で相互理解を深めることが重要です。共通の目的を共有し、互いの専門性を補完し合うことで、組織を超えた信頼関係が生まれます。第二に、薬局側が自らの体制や制約を率直に共有する姿勢も欠かせません。 「麻薬の在庫はあるが入荷に時間がかかる」 「訪問対応は可能だが人員が限られている」 といった情報を開示することで、診療所側も現実的な調整が可能となり、協働の質が高まります。透明性と相互理解は、連携を持続可能にする基盤となります。
さらに、薬局薬剤師自身が在支診薬剤師の役割や業務内容を理解することで、 「診療所に薬剤師がいるとこんな連携が可能になる」 「薬局としてこういう支援ができる」 といった具体的なイメージを持つことができます。それにより、薬局薬剤師も在支診薬剤師と同様に、職種間の “潤滑油” としての役割を果たすことができるのではないかと考えています。
おわりに
現在私は薬局薬剤師として在宅医療の現場に携わっていますが、在支診薬剤師としての経験は、いまも私の実践の軸となっています。在宅医療は、単一の専門職で完結するものではなく、多職種が相互に支え合う “協働の医療” です。薬剤師がその中で果たす役割は、薬の専門性にとどまらず、情報共有・意思決定支援・チーム間調整といった多面的な機能に広がっています。
まだ在支診薬剤師という働き方は広く知られていませんが、診療所に薬剤師が存在することで生まれる協働の可能性は大きいと感じています。今後も、在支診薬剤師の経験を持つ薬局薬剤師として、その価値と実践知を発信し続けることで、地域における在宅医療の発展に寄与していきたいと考えています。それが、地域の在宅医療の未来を育てる一歩になると信じています。
【2025年11月号 Vol.7 Pharmacy-Management 】
まだ在支診薬剤師という働き方は広く知られていませんが、診療所に薬剤師が存在することで生まれる協働の可能性は大きいと感じています。今後も、在支診薬剤師の経験を持つ薬局薬剤師として、その価値と実践知を発信し続けることで、地域における在宅医療の発展に寄与していきたいと考えています。それが、地域の在宅医療の未来を育てる一歩になると信じています。
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