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「療養・就労両立支援指導料」について運用の留意点

請求業務のポイント解説
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
治療と仕事の両立支援は、働き方改革の重要なテーマの1つに位置付けられており、両立支援の取組が推進されています。
診療報酬では、平成30年度改定で 「療養・就労両立支援指導料」 が新設され、令和2年、令和4年改定では、対象疾患や企業の連携先が拡大されました。
本稿では、 「療養・就労両立支援指導料」 について、運用の留意点をお伝えいたします。

B001-9 療養・就労両立支援指導料
1 初回 800点 [696点]
2 2回目以降 400点 [348点]
[ ]:情報通信機器を用いた場合
注3 届出要  相談支援加算 +50点

【対象患者】
対象疾患があり、対象の連携先を持つ事業場で就労する患者

【対象疾患】
がん/脳梗塞・脳出血・くも膜下出血その他の急性発症した脳血管疾患/肝疾患(慢性経過)/心疾患/糖尿病/若年性認知症/指定難病その他準ずる疾患

【対象企業の連携先】
産業医/保健師/総括安全衛生管理者/衛生管理者/安全衛生推進者/衛生推進者

Q1:療養・就労両立支援指導料は、早急な推進が望まれていますが、算定件数に地域差があります。どのようなことが課題になっているのでしょうか。

A1:医療機関側に 「治療と仕事の両立支援」 の概念自体の周知が不十分であることが課題となっています。そのため、支援制度の啓発活動における強化が必要とされています。
【医療関係者にとっての意義】
仕事が理由の治療中断や仕事の過度な負荷による疾病の増悪を防ぐことで、治療を効果的に進めることが可能になる。
【社会にとっての意義】
全ての人が生きがい、働きがいを持って各々活躍できる社会の実現に寄与する。
【患者にとっての意義】
適切な治療を受けながら仕事を続けられる可能性が高まる。
【事業者にとっての意義】
貴重な人材資源の喪失を防ぎ、従業員のモチベーション向上から労働制の維持・向上に繋げる。
(厚労省資料より)

●Point:手順

  1. 産業医等と患者:共同して勤務情報を記載した文書を作成
  2. 患者から主治医へ:①の文書を主治医へ渡す
  3. 主治医から患者へ:就労の状況を考慮して療養上の指導を実施
  4. 主治医から産業医へ:患者の就労と治療の両立に必要な情報提供を行う(医師が情報提供書類※を作成もしくは診察に同席した産業医等に情報を提供)
  5. 主治医から患者へ:③と同様(療養上の指導を実施)
※提供文書は別紙様式49,49の2又は準ずる様式で、内容は病状、治療計画、治療に伴い予想される症状、労上必要な配慮等

Q2:指導料 「2 2回目以降」 の 「1を算定した日の属する月又はその翌月から起算して3月を限度として、月1回に限り算定する」 について、解釈を教えて下さい。

A2:次のようにカウントします。
【パターン1】
初回算定月の翌月から2回目を実施した場合


【パターン2】
初回算定月と同一月に、2回目を実施した場合


●Point:算定および産業医等について

  • 産業医等が選任されていない事業場で就労する患者について、地域産業保健センターの医師に情報提供した場合は、算定できません。(平成30年3月30日疑義解釈その1 問130)
  • B001-2-2 外来腫瘍化学療法診療料の施設基準で、就労と療養の両立に必要な情報提供や療養上必要な指導を 行うことが可能である旨をウェブ掲載することが望ましいとあるが、要件を満たせば、療養・就労両立支援指導料を算定できます。(令和6年3月28日疑義解釈その1 問158)
  • B009診療情報提供料(Ⅰ)またはB010診療情報提供料(Ⅱ)は併せて算定できません。
  • 産業医等に関して、組合管掌健康保険(法別番号 「06」 )の加入者本人であれば、従業員数から勤務先が 産業医を設置している事業所とみなされ、「産業医等」に該当します。

●Point:カルテとレセプト摘要欄記載

【カルテ】1の添付または2の記載。
  1. 事業場の産業医等に提供した、両立に必要な情報を記載した文書の写しをカルテに添付する。
  2. 診察に同席した産業医等に説明した、両立に必要な内容をカルテ等に記載する。

【レセプト】前回算定年月日または初回の場合は初回を記載する

●参考:厚労省 「保険診療確認事項リスト」 の指摘事項

次の不適切な例が認められたので改めること。
□別に厚生労働大臣が定める疾患(悪性腫瘍等)の治療を担当する医師が、患者の勤務する事業場の産業医等あてに診療情報・就労と療養の両立に必要な情報の提供を [行っていない・文書により行ったことが明らかでない]。
□治療を担当する医師が、患者と当該患者を使用する事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書を患者から受け取っていない。
□診察に同席した産業医等に説明した内容について診療録等への記載が [ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である]。
□産業医等に提供した文書の写しを診療録に添付していない。
□厚生労働大臣が定める疾患に罹患している患者以外のものに対して算定している。
□治療を担当する医師と産業医が同一の者である場合及び治療を担当する医師が患者の勤務する事業場と同一資本の施設で勤務している場合について算定している。
□相談支援加算について専任の看護師、社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師が療養上の指導に同席したことが明らかでない。


【2025年11月15日号 Vol.14 メディカル・マネジメント】