病院・診療所

財務省の意向で、かかりつけ医関連点数は見直し

診療報酬ズームアップ
株式会社MMオフィス 代表取締役 工藤 高

■支払側は 「かかりつけ医機能」 と診療報酬の紐づけを要望

本年4月から外来地域医療構想の一環で 「かかりつけ医機能報告制度」 がスタートしている。間もなく医療機関への定期報告依頼が行われ、来年1~3月が医療機関による定期報告、その後に都道府県からの未提出医療機関への催促予定である。同報告制度では、 「かかりつけ医」 とは 「日常的な健康管理、軽微な病気の診療、慢性疾患の管理、専門医や医療 機関への紹介などを担う医師」 、 「かかりつけ医機能」 とは 「身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能」 と定義されている。同報告制度で集められたデータをもとに外来地域医療構想におけるかかりつけ医機能の議論が地域で行われていく予定だ。
同報告制度は医療法上における位置づけだが、診療報酬(健康保険法)においては、2026年度改定以降に点数との整合性を取っていくと思われる。現在、主にかかりつけ医機能を評価した点数には下記がある。

【主にかかりつけ医機能を評価した点数】
①機能強化加算、②地域包括診療加算・認知症地域包括診療加算、③地域包括診療料・認知症地域包括診療料、④小児かかりつけ診療料、⑤生活習慣病管理料、⑥在宅患者訪問診療料・往診料、⑦在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料

財務省や中医協の健康保険組合連合会等の支払い側委員は 「かかりつけ医機能がより発揮される方向で診療報酬の在り方を検討すべき」 と点数との紐づけを主張している。一方、日本医師会等の診療側では紐づけが 「かかりつけ医認定制度」 につながって、フリーアクセス制限の可能性として反対している。

■財務省は外来管理加算廃止を提案

予算編成などの方針を財務省に提言する財政制度等審議会財政制度分科会(財政審)では11月5日に2026年度改定に向けた 「改革の方向性(案)」 を提示した。それを見ると、 「機能強化加算廃止検討」 「外来管理加算の廃止か地域包括診療料などへの包括化」 「かかりつけ医機能報告制度上の 『1号機能』 を有しない医療機関での初診・再診料の減算」 など、厳しい内容になっている。1号機能とは、かかりつけ医機能に関する研修の修了者・総合診療専門医の有無、17の診療領域及び40の疾患ごとの一次診療の対応可否などを報告するものだ。
前回2024年度改定では▲0.25%とされた 「生活習慣病を中心とした管理料・処方箋料等の効率化・適正化」 は診療所に厳しい内容であった。内科系診療所では特定疾患療養管理料の対象疾患から高血圧症、糖尿病、脂質異常症の3疾患が除外された影響は大きかった。ただし、2024年度改定以降において特定疾患療養管理料の主病名は3疾患に代わって、気管支喘息や慢性胃炎が増加しているため、その妥当性についてのデータ調査が現在、実施されている。2026年度改定は経営状態が厳しい病院はプラス改定が確実だが、診療所には厳しい改定が予測される。それらの切り込み隊長となるのが、かかりつけ医関連の点数見直しになる。

■外来管理加算のミッションは内科系医療機関の経営補填だった

ここ数回の改定の度に診療側から、 「要件が極めて曖昧であり、妥当性に大きな疑問があり、患者も理解できない」 という理由で、廃止案が出てくるのが 「外来管理加算」 (52点)だ。これは診療所や200床未満の病院において処置やリハビリテーション等を行わずに、計画的な医学管理を行った場合に算定可能になる。外来管理加算の処置等の医療行為を行わなければ再診料に対して52点加算は、たしかに患者さんには分かりにくい。サービス業の原則はサービス提供した場合にフィーが発生するものであり、レストランならば 「お料理を注文しないのになぜお金を取(盗?)られるのか」 となるからだ。
同加算の歴史は、かつて点数表が甲表(主に大病院が算定)と乙表(主に中小病院と診療所が算定)だった時代へと遡る。筆者が360床の都内総合病院に新卒入職したのは1982年であり、当時は甲乙に分かれていた。両方が統一されたのは1994年のこと。その乙表に同加算の前身 「内科再診料」 があった。これは処置・外来手術やリハビリ等の出来高収入がある外科系に対して、問診と投薬、検査、そして生活指導が中心になる内科系医師に対する技術料として経営補填的要素も含めて評価されたものと記憶している。だから、医療行為(収入)がなければ加算になるわけだ。1992年に現在の外来管理加算という名称になった。
診療報酬点数にエビデンスという概念がなかった時代のレガシーである経営補填的な点数に、エビデンスを後付にして様々なデューティを課したり、要件を見直したりしているから、ややこしい話になっている。いずれにしても本来、財務省は12月下旬の改定率決定に関与すべきであり、具体的な点数配分や見直し項目については中医協総会に一任すべきだと思うのだが、最近は越権的に細部の点数変更にまで踏み込んできている。何しろ旧帝国大学系の高偏差値大学出身者が多いために学習能力は高い。


【2025年12月1日号 Vol.15 メディカル・マネジメント】