病院・診療所
元気なうちに“バトンを渡す”という選択 ―地域医療の継続か、自院の幕引きか―
クリニック相談コーナー
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦
【相談内容】
「 『親族に承継者はいないし自分の代で閉院しよう』 と考えていましたが、いざ65歳前後の “承継期” を迎えると、ふと胸の中に違和感が生まれる瞬間があります。長年通ってくださった患者さんはどうなるのだろう、25年支えてくれたスタッフたちの働く場所を突然なくしていいのだろうか――。そう考えると、なかなか決断できません」
そうした思いと向き合い、「第三者承継(M&A)」 を真剣に考え始める院長が、この数年で確実に増えています。今回は、開業25年目の整形外科院長(66歳)からのご相談をもとに、承継者不在のクリニックがどのように未来を選べるのか、院長・院長夫人に知っ ておいてほしいポイントをQ&A形式でまとめます。
そうした思いと向き合い、「第三者承継(M&A)」 を真剣に考え始める院長が、この数年で確実に増えています。今回は、開業25年目の整形外科院長(66歳)からのご相談をもとに、承継者不在のクリニックがどのように未来を選べるのか、院長・院長夫人に知っ ておいてほしいポイントをQ&A形式でまとめます。
【回 答】
Q1. 親族に承継者がいない場合、どんな選択肢がありますか?
A1. 「閉院」か「第三者承継」か、実質この二択です。
1. 閉院(事業終了)
もっともシンプルに見えますが、実際には院長の負担が最も重くなりがちです。
A1. 「閉院」か「第三者承継」か、実質この二択です。
1. 閉院(事業終了)
もっともシンプルに見えますが、実際には院長の負担が最も重くなりがちです。
- 通院中の患者の受け皿を探す
- スタッフの再就職支援
- 医療機器の廃棄(売却)
- リースの清算
- テナント退去時の原状回復費用
「思っていた以上に閉院するのは大変だった!」 と話す院長は多く、費用面の負担も決して小さくありません。
2. 第三者承継(M&A)
若手院長や医療法人が引き継ぎ、患者さんはそのまま通院でき、スタッフの雇用を守りやすいという点が最大の魅力です。特に整形外科は地域ニーズが高いため、閉院よりも有利に引き渡せるケースが多い診療科でもあります。
Q2. 第三者承継を進めるとき、どこに相談すればいい?
A2. 基本は 「医療M&A専門会社」 か 「医療系会計事務所」 です。
● 医療M&A専門会社
・医療に特化した買い手ネットワークが豊富・過去の成約データをもとに適正価格を提示・スピードと成約率が高い
※成功報酬が発生する点がデメリット。
● 医療に強い会計事務所・コンサル会社
・財務分析が得意で価格の妥当性を判断しやすい・顧問先の場合、内部事情を理解しており話が早い
※買い手探しの力は会社によって差がある。
● 地域の医師会・病院グループ
・地域医療を守るためのマッチングが成立する場合も
・ただし譲渡額は控えめになる傾向
● 良い仲介会社の見分け方
□ 医療機関の成約実績が直近3年に複数件ある
□ 必要以上に高い金額を提示しない
□ スタッフの雇用継続をどのように扱うか明確
□ 匿名性・秘密保持が徹底されている
“誰に相談するか” で結果は大きく変わります。
Q3. 当院はどれくらいの金額で譲渡できるのか?
A3. 整形外科は譲渡価格がつきやすい診療科です。評価の基準は大きく3つあります。
① 収益力(EBITDA)
院長報酬を調整した「真の利益」を算定します。整形外科は院長個人の技量に依存する部分も大きいため、引継ぎ後も収益が維持できる体制かどうかが鍵になります。
② 資産価値(機器・現金・未収金)
リハビリ機器など設備が多く、資産評価が価格に影響しやすい診療科です。
③ 立地・患者基盤
高齢者が多い整形外科において、アクセスの良さと 「25年の信頼」 は大きな魅力。スタッフが長く定着しているクリニックは特に評価されやすい傾向があります。
● 相場感(一般例)
・EBITDAの3年間の平均+ネット資産・成約レンジ:3,000~8,000万円
もちろん個別状況で大きく変動しますが、整形外科は比較的高い評価を得やすい領域です。
Q4. 第三者承継を成功させるには、まず何を準備す べき?
A4. 最初に取り組むべきは「データの整備」です。 買い手ドクターが知りたいのは、「自分が引き継い
でやっていけるのか?」という一点です。
その判断材料として、以下は必須です。
2. 第三者承継(M&A)
若手院長や医療法人が引き継ぎ、患者さんはそのまま通院でき、スタッフの雇用を守りやすいという点が最大の魅力です。特に整形外科は地域ニーズが高いため、閉院よりも有利に引き渡せるケースが多い診療科でもあります。
Q2. 第三者承継を進めるとき、どこに相談すればいい?
A2. 基本は 「医療M&A専門会社」 か 「医療系会計事務所」 です。
● 医療M&A専門会社
・医療に特化した買い手ネットワークが豊富・過去の成約データをもとに適正価格を提示・スピードと成約率が高い
※成功報酬が発生する点がデメリット。
● 医療に強い会計事務所・コンサル会社
・財務分析が得意で価格の妥当性を判断しやすい・顧問先の場合、内部事情を理解しており話が早い
※買い手探しの力は会社によって差がある。
● 地域の医師会・病院グループ
・地域医療を守るためのマッチングが成立する場合も
・ただし譲渡額は控えめになる傾向
● 良い仲介会社の見分け方
□ 医療機関の成約実績が直近3年に複数件ある
□ 必要以上に高い金額を提示しない
□ スタッフの雇用継続をどのように扱うか明確
□ 匿名性・秘密保持が徹底されている
“誰に相談するか” で結果は大きく変わります。
Q3. 当院はどれくらいの金額で譲渡できるのか?
A3. 整形外科は譲渡価格がつきやすい診療科です。評価の基準は大きく3つあります。
① 収益力(EBITDA)
院長報酬を調整した「真の利益」を算定します。整形外科は院長個人の技量に依存する部分も大きいため、引継ぎ後も収益が維持できる体制かどうかが鍵になります。
② 資産価値(機器・現金・未収金)
リハビリ機器など設備が多く、資産評価が価格に影響しやすい診療科です。
③ 立地・患者基盤
高齢者が多い整形外科において、アクセスの良さと 「25年の信頼」 は大きな魅力。スタッフが長く定着しているクリニックは特に評価されやすい傾向があります。
● 相場感(一般例)
・EBITDAの3年間の平均+ネット資産・成約レンジ:3,000~8,000万円
もちろん個別状況で大きく変動しますが、整形外科は比較的高い評価を得やすい領域です。
Q4. 第三者承継を成功させるには、まず何を準備す べき?
A4. 最初に取り組むべきは「データの整備」です。 買い手ドクターが知りたいのは、「自分が引き継い
でやっていけるのか?」という一点です。
その判断材料として、以下は必須です。
- 過去3年の決算書
- レセプト分析(患者数・疾患別構成)
- スタッフの勤続年数・給与体系
- リハビリ稼働データ
- 賃貸借契約の内容
これらが整っているだけで、評価額が上がり、交 渉も迅速になります。
Q5. 動き始めるタイミングはいつ?
A5. 66歳はちょうど良い「好機」です。
医療M&Aは、着手から成約まで9~18カ月が一般的です。急な体調悪化などで引退が早まると、閉院しか選択肢がなくなることもあります。
“元気なうちにバトンを渡す”
これが、患者さん・スタッフ・院長ご自身の人生にとって最も穏やかな選択です。
Q5. 動き始めるタイミングはいつ?
A5. 66歳はちょうど良い「好機」です。
医療M&Aは、着手から成約まで9~18カ月が一般的です。急な体調悪化などで引退が早まると、閉院しか選択肢がなくなることもあります。
“元気なうちにバトンを渡す”
これが、患者さん・スタッフ・院長ご自身の人生にとって最も穏やかな選択です。
■まとめ
第三者承継とは、患者さんの通院を守り、スタッフの雇用を守り、院長と家族の未来を守る 「地域医療のバトンタッチ」 です。閉院を考えていた院長が 「やはり地域に医療を残したい」 と思うのは、とても自然なことだと思います。その思いを形にできるのが、第三者承継という選択肢です。
迷いがあるなら、まずは
① 相談先を選ぶ
② 適正価格を知る
この二つから始めてみてください。
それだけでクリニックを未来へつなぐ第一歩となる可能性が高まります。私もクリニック専門コンサルタントとして微力ながらサポートさせていただきたいと考えております。ぜひ、自院を未来へつなぐことにチャレンジしてください。
【2026年1月1日号 Vol.17 メディカル・マネジメント】
迷いがあるなら、まずは
① 相談先を選ぶ
② 適正価格を知る
この二つから始めてみてください。
それだけでクリニックを未来へつなぐ第一歩となる可能性が高まります。私もクリニック専門コンサルタントとして微力ながらサポートさせていただきたいと考えております。ぜひ、自院を未来へつなぐことにチャレンジしてください。
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2026-03-03【雑誌掲載のご案内】医学通信社『月刊/保険診療 2026年2月号』に寄稿が掲載されました
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