請求業務

「外来在宅共同指導料」運用の留意点

請求業務のポイント解説
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
令和4年改定では、スムーズな在宅医療の移行を推進するために外来を担う医師と在宅を担う医師が連携し指導を行う「外来在宅共同指導料」が設けられました。本稿では、「外来在宅共同指導料」について運用の留意点をお伝えいたします。

C014 1 外来在宅共同指導料1 400点(1回限り)
 2 外来在宅共同指導料2 600点(1回限り)

Q1: 外来在宅共同指導料「1」と「2」の違いを教えて下さい。
A1: 1⇒在宅医、2⇒外来医療を担っていた医師の各々の算定項目となります。

●Point1:対象患者
継続して4回以上外来を受診し、在宅医療に移行する患者。
※ 対象外: 次の1~3の何れかに該当した場合
  1. 「1」「2」が特別な関係にある場合
  2. 他の保険医療機関に入院
  3.  施設等に入所の患者:社会福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、経費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、その他施設等

●Point2:運用
  1. 在宅医が患者等の同意を得て、患家を訪問し、在宅での療養上必要な説明及び指導を、外来を担っている医師と共同し文書で行う。※指導は、家族等在宅で患者の看護をする者に対して行った場合でも算定可。
  2. 説明文書は「別紙様式52(在宅療養計画書」を参考に、必要に応じて、治療等を担う他の保険医療機関の他、訪看ステーション、介護施設、市長村等と共有する。
参考:別紙様式52内容抜粋

  •  最終の外来受診日、初回の往診又は訪問診療日、計画作成日、説明・交付日、外来・在宅を担う医療機関・医師名、説明を受けた本人、家族名
  •  病名・症状等、在宅療養の患者以外の相談者、通院困難要因、在宅療養上の問題点・課題、必要な支援・医療内容、利用が予想される介護サービス・担当者

Q2:共同指導の方法について2点質問です。
  1.  在宅医も外来医療を担っていた医師も患家に訪問が必要でしょうか?
  2.  在宅医の初回訪問時に行わないといけないのでしょうか?
A2
  1. 共同指導は原則患家での実施ですが、外来医療を担っていた医師は、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いた場合の指導でも算定可能です。在宅医は必ず患家に赴く必要があります。(通知(8))
  2. 共同指導は、必ずしも初回実施でなくても算定可能です。
(令和4年3月31日 疑義解釈その1 問181)

●Point3:情報通信機器等の取り扱い
  1.  患者の個人情報を情報通信機器等の画面上で取り扱う場合、同意を得る。
  2.  厚労省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に対応する。
第5.2版(令和4年3月) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000936160.pdf

Q3:情報通信機器等の運用費用の算定は?
A3: 情報通信機器等の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途実費請求可能です。

●Point4:カルテ・レセプト記載
<カルテ>1・2共通
  • 行った指導内容等の要点を記載または患者若しくは家族等に提供の文書の写しを添付。
<レセプト摘要欄>1・2共通
  • 共同指導を行った者の属する保険医療機関名
  • 共同指導年月日 を記載。

Q4:共同指導と併算定不可の項目はありますか?
A4: 外来を担う医師が「2」を算定する場合には、初・再診料、外来診療料、往診料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ),(Ⅱ)は別に算定できません。


 【2022. 6. 1 Vol.545 医業情報ダイジェスト】