請求業務

「下肢創傷処置」の算定の留意点

請求業務のポイント解説
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
下肢潰瘍は、血流改善や足変形への対応、全身管理といった状態に応じた処置や管理が推進されています。そのため、令和4年改定において「J000-2 下肢創傷処置」及び「B001_36 下肢創傷処置管理料」が新設されました。
 本稿ではクリニック様からご質問の多い「下肢創傷処置」の留意点についてお伝えいたします。

J000-2 下肢創傷処置
1 足部(踵を除く)の浅い潰瘍 135点
2 足趾の深い潰瘍又は踵の浅い潰瘍 147点
3 足部(踵を除く)の深い潰瘍又は踵の深い潰瘍 270点

Q1: 当院は皮膚科、形成外科がありますが、皮膚科は常勤医がいません。下肢創傷処置を算定できないのでしょうか。
A1: 下肢創傷処置は施設基準の届出が必要なく、留意事項通知でも医師の規定はありません。算定要件を満たせば、下肢創傷処置
の算定が可能です。逆に下肢創傷処置管理料は施設基準の届出が必要で、医師の規定があります。

Q2: 下肢創傷処置が行えるのは医師のみでしょうか。
A2: 医師だけでなく、医師の指示を受けた看護師も行えます。

Q3: どのような場合に算定したらよいでしょうか。
A3: 動脈性、糖尿病性、静脈性混合など下肢潰瘍に対して処置を行った場合に、下肢創傷処置として算定します。

Q4: 下肢創傷処置について、足趾の浅い潰瘍は、どのように算定したらよいでしょうか。
A4: 「1 足部(踵を除く)の浅い潰瘍 135点」を算定します。(参考:令和4年6月22日事務連絡 疑義解釈その14 問6)
 対象部位、潰瘍の深浅の判別は次のPointをご参照ください。

●Point: 対象部位と潰瘍の深さによる区別
対象部位:足部、足趾又は踵( 足部とは足関節以遠の部位(足趾又は踵を除く。)及びアキレス腱。)
浅い潰瘍→腱、筋、骨又は関節のいずれにも 至らないもの
深い潰瘍→腱、筋、骨又は関節のいずれかに 至るもの

●Point: 算定について
下肢創傷処置とは、洗浄や足浴、保護材による処置、創傷免荷に伴う処置などです。
① 下肢創傷処置を算定した場合、次の項目は併算定できません。
・J000 創傷処置
・J001‐7 爪甲除去(麻酔を要しないもの)
・J001‐8 穿刺排膿後薬液注入
② 複数箇所の下肢創傷処置を行った場合、主たるのみを算定します。
③次の場合は、算定できません。
・軟膏の塗布のみ
・湿布の貼付のみ

●Point: レセプト摘要欄の記載
<レセプト摘要欄>レセプトコード830100535 下肢創傷の部位及び潰瘍の深さを記載すること。
【参考】
B001 36 下肢創傷処置管理料 500点 (月1回)
施設基準 届出様式 別添2の様式5の14
以下の要件を全て満たす常勤の医師が1名以上勤務していること。
(1) 整形外科、形成外科、皮膚科、外科、心臓血管外科又は循環器内科の診療に従事した経験5年以上。
(2) 下肢創傷処置に関する適切な研修(※)を修了していること。
※ 一般社団法人日本フットケア・足病医学会「日本フットケア足病医学会認定師 講習会」のうち「Ver. 2」や「下肢創傷処
置・管理のための講習会」
参考書籍:
『形成外科診療ガイドライン3 慢性創傷』(編集:日本形成外科学会、日本創傷外科学会、日本頭蓋顎顔面外科学会)


【2023. 11. 15 Vol.580 医業情報ダイジェスト】