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「往診料」について算定上の留意点や変更点

在宅の共通項目である診療所における「往診料」について
株式会社ウォームハーツ 古矢 麻由
在宅医療の需要は2025年に向け、非常に高まっており、都道府県・市町村、地域医師会等が一体となった体制の構築が重要となります。
令和4年改定において、在支診と在支病の施設基準では、地域ケア会議の出席や厚労省のガイドラインを踏まえた人生の最終段階における意思決定支援に係る指針の作成が明示されました。 本稿では在宅の共通項目である診療所における「往診料」について算定上の留意点や変更点をお伝えいたします。



Q1: 算定は、往診料に加え初再診料を算定できるのでしょうか。
A1:「往診料」は初再診料を併せて算定できます。
算定例 往診し、丁寧な医学管理を行った場合
12 再診料 73×1,外来管理加算 52×1
14 往診料 720×1
※ 処置やリハ等を行っておらず、算定要件を満たしていれば外来管理加算も算定できます。
※ 往診後、患者等が単に薬剤を医療機関に取りに来た場合は、再診料は算定できません。

●Point1: 算定上の留意点
  •  同日必要があり複数回往診の場合、都度算定可能。
  •  往診を求められ患家へ赴いたが、既に他医に受診し、診察を行わない場合は算定不可。(患家負担)
  •  計画的な麻酔科医の術前,当日,翌日の訪問は算定不可。(以下 厚生局 個別指導における主な指摘事項より)
  •  定期的、計画的に患家または他の保険医療機関(対診)、事業所等に赴いた場合は算定不可。
  •  患者または看護者の求めに応ずるのではなく、保険医の判断で患家へ赴き診療した場合は算定不可。
  •  同一患家で2人以上往診した場合は、 1人目⇒往診料。 2人目以降⇒往診料算定不可(診療時間が1時間超えの場合は、患家診療時間加算は算定可能)。初再診料等+医療行為における項目を算定。

Q2:令和4年改定における変更点はありますか。
A2:変更点は、注1 緊急往診加算の算定要件に、15歳未満の小児の病態(後述下線部分)が加わったことです。
緊急往診加算の詳細は以下となります。
<注1 緊急往診加算>
標榜時間内(概ね午前8時~午後13時)に加算。
※ 保険医療機関内に複数医師がいて、往診する医師以外が外来の診察を行っている場合は対象外。
※ 標榜時間が上記概ねの時間以外の場合も算定対象。

「緊急往診」とは
① 往診の結果、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合。
② 15歳未満の小児(小児慢性特定疾病医療支援の場合は、20歳未満)は、加えて低体温、けいれん、意識障害、急性呼吸不全等が予想される場合。
③ 医学的に終末期の患者さん(当該保険医療機関または連携の保険医療機関が訪問診療を提供の患者さんに限る。)も対象。

●Point2: カルテとレセプト記載
<カルテ> ①いつ、誰の求めに応じて診療を行ったか
②往診診療内容(日付、時間、診療事項)
<レセプト>下記に該当の場合、記載が必要です。
・患家診療時間加算を算定 ⇒ 診療時間
・ 往診料の他、在宅患者訪問診療料(Ⅰ),(Ⅱ)を当該月に算定 ⇒ 往診年月日
・ 往診料の他、在宅患者訪問診療料(Ⅰ),(Ⅱ)を同日に算定 ⇒ 病状の急変等往診が必要になった理由
・ 特別往診料を算定 ⇒ 往診地域、海路距離、往、復、往復の波浪の別、滞在時間

●参考: 注6 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算施設基準の届出が必要です。
⇒注1イ 機能強化型(単独型・連携型)の在宅療養支援診療所、在支病が対象。
・ 過去1年間の以下の実績:緊急往診実績15件以上かつ看取り実績20件以上
・ がん性疼痛緩和指導管理料に規定する緩和ケア研修等修了した常勤医師がいること
・ 以下①か②を満たす
① 過去1年間に2件以上の実績:末期悪性腫瘍等で、在宅自己注射によりオピオイド系鎮痛薬の注入を行う鎮痛療法実施の実績
② 過去に5件以上実施した経験のある常勤医師配置し、オピオイド系鎮痛薬投与実績が過去1年間10件以上
・ 緩和ケア病棟又は在宅での1年間の看取り実績10件以上の保険医療機関で、3ヶ月以上勤務歴がある常勤医師がいる(在宅医療を担当する医師に限る)
・ 院内の見やすい場所等に、過去1年間の看取り実績及び十分な緩和ケアが受けられる旨の掲示等行う
●注6 在宅療養実績加算1,2施設基準の届出が必要です。⇒注1ロ 従来型の在支診、在支病が対象。
加算1及び2の実績:過去1年間の緊急往診(1は10件以上,2は4件以上)看取り(1は4件以上,2は2件以上)。加算2は加えて、がん性疼痛緩和指導管理料に規定の緩和ケア研修等修了した常勤医師がいること。


【2022. 11. 01 Vol.555 医業情報ダイジェスト】