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【続き】特定疾患処方管理加算の算定状況と処方期間

医療機関には環境変化に合わせた対応が求められる
株式会社メデュアクト  代表取締役 流石 学

■処方期間の動向は?

今回は特定疾患処方管理加算の算定状況として、社会医療診療行為別統計より、各年6月の特定疾患処方管理加算の実施件数(レセプト数)をまとめた。
2020年はコロナ禍による受診抑制で特定疾患処方管理加算の件数そのものが減っているが、その後の2年でコロナ禍前と同水準に回復している。しかし、内訳を従来と比較すると、処方料、処方箋料ともに処方期間28日未満の加算1の件数が減り、28日以上の加算2は徐々に増加していることがわかる。コロナ禍では感染リスクを減らすために処方期間の長期化が進んだが、いったん変えたものを元に戻すことは難しいということだろう。
いずれにしても、全体的なトレンドとして処方期間の長期化が進んでいることがわかる。

処方期間の長期化を積極的な姿勢で臨むか、極力避ける方針でいくのか、医療機関によって対応が分かれるところだ。症状が安定した慢性疾患の場合、長期処方で受診回数を減らしたいと考えるのが患者心理だろう。受診経験に基づく患者満足度を考えたときに、処方期間は患者にとって判断しやすい材料になる。外来患者数を減らさないように長期処方に消極的な方針を選択した結果、逆に患者離れが進んでしまう可能性もある。

少子高齢化に伴い、国内の多くの地域で外来需要はピークアウトしており、経営環境は年々厳しくなっている。さらに令和6年度改定は特に内科系の診療所にとって厳しい改定となった。こうした状況下で現状維持という選択は実質的な衰退を意味する。医療機関には環境変化に合わせた対応が求められる。




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【2024. 7. 1 Vol.595 医業情報ダイジェスト】