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個室料(差額ベッド代)の減免について考える①

減免申請伺の記載に問題はないか
あすの監査法人 公認会計士 山岡 輝之
新型コロナウイルス感染症が流行していたここ数年、コロナ患者を受け入れた医療機関では、発熱外来のブースを設ける、あるいは隔離対応のための施設整備や運用体制の構築に大変な労力とコストが発生したのではないかと思います。新型コロナウイルス感染症はさまざまな影響を医療機関の運用に与えましたが、その一つとして、コロナ入院患者の受け入れや、熱発によるコロナ疑い患者のための個室の確保も大変であったと思われます。最近では、新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行されて1年以上が経過し、個室の運用もコロナ以前の姿に戻りつつあると思います。しかしながら、個室料の請求ルールがなかなかコロナ以前の姿に戻らない医療機関もあるのではないでしょうか。そこで今回から2回にわたり、個室料の減免について考えます。

【減免申請伺の記載に問題はないか】

個室料の減免は、基本的には減免申請書による運用がなされていると思います。ただ、申請書の記載内容や申請承認フローには各医療機関によってバラツキがあることを感じます。
記載内容としては、少なくとも①患者名、②減免理由、③減免期間、④免除金額、⑤減免申請者(及び承認欄)までは設けているのではないでしょうか。監査などでさまざまな医療機関の減免申請書を確認すると、最低限必要な記述はされているものの、いくつかの疑問が浮かんできます。今回は私が感じる3つの疑問点を考えてみたいと思います。

(疑問1)厚生局への届出と異なる個室料での請求について
ある医療機関の減免申請書を確認したところ、患者が希望する個室が準備できない場合、定められた個室利用料以外の金額で請求している事例がありました(特別室を準備したが、請求額は患者が希望する個室料の金額で請求するなど)。
これは、同一の個室を利用した場合の請求額において、その料金が複数パターンあることを意味しており、料金設定として問題がないか疑問に感じます。個室利用料がかかる特別療養環境室への入院は、公的医療保険の適用対象外である選定療養に分類されます。選定療養は患者の治療上の選択肢を広げることを目的としたもので、保険診療対象の治療との併用が認められています。ただ、個室利用料が選定療養であり、院内掲示と厚生局へ報告された金額で請求することを原則とすれば、個室料の値引きは、病院側に何等かのペナルティーが科せられる可能性がないのか、気になるところです。
この問題を解消するには、患者あるいは家族への十分な説明の上、定額での請求を原則とし、やむを得ない場合に限り室料差額料を請求しない方針とすることが考えられます。


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【2024. 9. 1 Vol.599 医業情報ダイジェスト】