病院・診療所
スタッフの定期健康診断実施のポイント
クリニック相談コーナー
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦
【相談内容】
近畿地方の郊外にて整形外科クリニック開業して2年目の院長からのご相談です。
「当院のスタッフから『前職では毎年健康診断をクリニックで実施していたが、当院ではないのか?』という質問がありました。健康診断は必ず実施しなくてはならないものなのでしょうか?また、スタッフの中には健康診断をしたくないというスタッフもいますが、本人の意向に沿って健康診断を受診させなくても問題はないのでしょうか。受診させるとした場合、強制しても問題ないのでしょうか?」
「当院のスタッフから『前職では毎年健康診断をクリニックで実施していたが、当院ではないのか?』という質問がありました。健康診断は必ず実施しなくてはならないものなのでしょうか?また、スタッフの中には健康診断をしたくないというスタッフもいますが、本人の意向に沿って健康診断を受診させなくても問題はないのでしょうか。受診させるとした場合、強制しても問題ないのでしょうか?」
【回 答】
1.定期健康診断を実施する義務がある
法律には、クリニックが定期健康診断を実施することとスタッフが健康的に業務を行えるよう必要な措置を講じるといった安全配慮義務の2つが定められているため、必ず下記の項目の健康診断をクリニックの費用負担で行い、その結果を把握しなければなりません。
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査及び喀痰検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
- 心電図検
また、胸部エックス線検査については「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」とその施行令に基づき、クリニックの管理医師は、施設の業務に従事する者に対して1年に一度、結核定期健康診断を行うことが義務付けられております。
この法律をすべてのクリニックが厳守しているわけではありませんし、厳守していないことで即、お咎めがあるわけでもありません。しかし、事故などが起こった場合に法令通り健診をしているクリニックとそうでないクリニックでは保健所など行政機関の見方や判断は変わってきますので、弊社では法令遵守して頂くことをお勧めしております。
この法律をすべてのクリニックが厳守しているわけではありませんし、厳守していないことで即、お咎めがあるわけでもありません。しかし、事故などが起こった場合に法令通り健診をしているクリニックとそうでないクリニックでは保健所など行政機関の見方や判断は変わってきますので、弊社では法令遵守して頂くことをお勧めしております。
2.健康診断を強制的に受診させても問題ない
上記1のとおり、クリニックはスタッフに原則1年に1回健康診断を実施しなければなりません。また、スタッフの健康状態が悪い場合には必要に応じて業務時間を短縮する等の具体的な措置を講じることによって、スタッフが健康的で安全に業務を行うことができるよう安全配慮義務が定められています。
そのため、健康診断の受診を希望しないスタッフがいる場合は、クリニックに罰則が適用される可能性があります。また、例えば健康診断を受診していないスタッフに健康上の問題が生じた場合、クリニックがスタッフの健康状態を適正に把握できていなかったことが安全配慮義務違反と判断される可能性があります。さらには、クリニックが行うべきスタッフの健康管理が不十分な状態にありスタッフの健康状態を悪化させたと判断されるような場合は、損害賠償責任を負わなければならないことも考えられます。
こうしたことから、クリニックは健康診断を受診しなければならないスタッフ全員が確実に受診しているようにする必要があります。ただし、スタッフには医師を選択する自由があるため、クリニックが指定する医療機関で健康診断を受けずに、他の医療機関で受けた健康診断結果をクリニックに提出する方法でも問題ありません。
スタッフについては、健康診断の受診を拒否しても罰則はありませんが、法的に受診が義務づけられています。また、スタッフも自身の健康を守るための努力をしなければならないとする自己保健義務に基づいて、事業主が行った懲戒処分が認められた裁判例があります(愛知県教育委員会事件)。
そのため、健康診断の受診を希望しないスタッフがいる場合は、クリニックに罰則が適用される可能性があります。また、例えば健康診断を受診していないスタッフに健康上の問題が生じた場合、クリニックがスタッフの健康状態を適正に把握できていなかったことが安全配慮義務違反と判断される可能性があります。さらには、クリニックが行うべきスタッフの健康管理が不十分な状態にありスタッフの健康状態を悪化させたと判断されるような場合は、損害賠償責任を負わなければならないことも考えられます。
こうしたことから、クリニックは健康診断を受診しなければならないスタッフ全員が確実に受診しているようにする必要があります。ただし、スタッフには医師を選択する自由があるため、クリニックが指定する医療機関で健康診断を受けずに、他の医療機関で受けた健康診断結果をクリニックに提出する方法でも問題ありません。
スタッフについては、健康診断の受診を拒否しても罰則はありませんが、法的に受診が義務づけられています。また、スタッフも自身の健康を守るための努力をしなければならないとする自己保健義務に基づいて、事業主が行った懲戒処分が認められた裁判例があります(愛知県教育委員会事件)。
3.スタッフの自己保健義務を就業規則へ記載する
クリニックがスタッフに自己保健義務を果たすよう求めるために、就業規則に以下のような規定を定めることも検討したいところです。
就業規則への記載例
就業規則への記載例
- 職員は、正当な理由なく健康診断の受診を拒否してはならない。
- 職員は、⽇頃から⾃らの⼼⾝ の健康の維持・増進及び傷病の予防に⾃ら率先して努めるとともに、⾃らの⼼⾝ の健康管理に責任を持たなければならない。
- ⼼⾝ の健康に⽀障を感じた時は、速やかに上司等に相談し、また医師の診察を受けるなどして早期の回復に努めなければならない。
【2023. 12. 1 Vol.581 医業情報ダイジェスト】
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