診療所

【続き】スタッフの変化と成長をサポートする成長対話

優秀なスタッフから考える機会を奪わない
合同会社MASパートナーズ 代表社員 原 聡彦
(2)計画と実行の架け橋となる成長対話
成長対話とは、自らの経験を振り返ることによって、新しい気づきを獲得し、思考や行動に変化をもたらすというものです。最近で言う 「内省」 「振り返り」 「リフレクション」 という言葉に近いと思います。
成長対話を通じてクリニックの経営者である院長も含めて人は学び、変化し、そして成長するのではないかと思います。職業を持つ社会人の多くが成長を感じる場所はやはり職場であり、仕事の中で成長しなければ人生は退屈なものになってしまうと私は思います。「学びの終着駅に着いた大人」にならないためにも、可能であれば月1回、月1回が難しければ3カ月に1回でもいいのでスタッフとの成長対話を実施していただくことをお勧めします。成長対話の質問例を下記にまとめておきます。

(成長対話の質問の例)
  • 今期の目標に対して先月(先週)はどのように活動したか
  • 今期の目標に対してできたことはなにか
  • 今期の目標に対してできなかったことはなにか
  • 何がよくてどのようにしたらもっとよかったか など

(3)成長対話実践の落とし穴
最後に、私どもの会社で成長対話を導入した当初、失敗した事例をお伝えいたします。

①「いつでも聞いてね」では聞けない!
私は聞きやすい雰囲気をつくるために、「疑問点・問題点など何かあったらいつでも聞いてね」と伝えていました。しかし、この言葉は部下にとって、かえって聞きにいけないという意見を聞きました。おそらく、私が忙しそうにして顔を強張らせているので聞きにくいこともあると思います。したがって、日々のスケジュールで、1~3分間でもいいので、部下やメンバーと対話をすることをお勧めします。ちなみに私は朝のチームミーティング後に1~3分成長対話をするようにしております。

②ゴール明示なくして実行なし!
仕事を依頼するときには、仕事の出来栄えをはっきりさせましょう。私は「こんな感じで」とか「様式はお任せするわ」とか、仕事のゴールを明示することなく仕事を依頼することが多いとある部下から指摘され、ショックを受けた経験があります。また、時間当たりの生産性向上の観点から仕事のアウトプットは雑でも丁寧すぎてもいけません。
明確なゴールを明示し共有しておくことが大切です。私どもの会社ではランクアップノートという共有のツールを用いてアウトプットとプロセス管理をしております。

③優秀なスタッフから考える機会を奪わないこと!
一方的な指示をしてしまっては優秀なスタッフも指示待ち族になってしまいます。指示待ち族を作らないためには下記のポイントを踏まえて十分考えてもらうことが重要です。
  • 活動前に十分考える機会を与える
  • 活動前に成功イメージを持たせる
  • 活動後に活動結果を分析させる


前の記事を読む スタッフの変化と成長をサポートする成長対話


【2024. 7. 15 Vol.596 医業情報ダイジェスト】