保険薬局
認定薬局を考える
薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会
たんぽぽ薬局株式会社 薬剤師 緒方 孝行
2023年12月から薬局・薬剤師の機能強化に関する検討会が開催されており、直近では10月に第10回が開催されている。この検討会が開催された背景として、少子高齢化の進展に伴い、医療需要が増大する一方、医療の担い手確保が困難になるなか、在宅患者への夜間・休日等の緊急時や離島・へき地等での薬剤提供が課題として指摘されており、ICT技術等を活用しつつ、関係職種と連携しながら、専門性を発揮することが求められていることにある。また令和元年改正薬機法により導入された地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局や健康サポート薬局についても、上記の課題を踏まえつつ、その機能や果たすべき役割などを整理する必要がある、ということで検討会が開催され、構成員による検討が重ねられている。
筆者も兼ねてから認定薬局については分かりにくさを感じていた。専門医療機関連携薬局、地域連携薬局、健康サポート薬局という認定薬局は存在するものの、病院・診療所等の医療従事者からの認知度は低く、その機能や実態などはあまり把握されていないように思われる。そしてそれは患者にとっても同様で、 「地域連携薬局?」 「健康サポート薬局?」 「何をしてくれる薬局なの?」 というクエスチョンが浮かぶことは容易に想像できる。唯一、専門医療機関連携薬局は 「がん専門」 という一疾患に焦点を合わせている関係からがん患者においては理解が進んでいる状態である。だが、この専門医療機関連携薬局は▼がん拠点病院との連携▼がん専門薬剤師の配置などの高いハードルが課せられており、令和6年8月末時点で199店舗が認定を受けているに過ぎない。そこで、この検討会において、地域連携薬局や健康サポート薬局の役割などが整理されている。
地域連携薬局においては、①外来業務における必須の機能として、医療機関等との情報共有②外来及び在宅業務における必須の機能として、医療用麻薬の調剤③在宅業務における必須の機能として、在宅対応・臨時対応が挙げられている。さらに、追加的な機能として、在宅・外来での無菌製剤処理、在宅でのターミナルケア対応が整理されている。これは第8次医療計画において、麻薬調剤・無菌製剤処理・夜間休日対応という部分が明記されたこともあり、その部分を地域連携薬局が主体となってリーディングしてもらいたいという狙いがあるのではないか。今後需要拡大が見込まれている在宅医療において、今の時点から受け皿を整理し、来たる時期に備えておくことは最早必須事項となっているように感じる。
健康サポート薬局においては、地域やその医療提供拠点で確保すべき機能について、▼関係機関や多職種との連携による健康・介護相談対応▼介護用品、特別用途食品の販売▼地域住民向けの健康サポートの取組の実施、薬教育等▼セルフケア・セルフメディケーションの啓発・推進が挙げられている。また、個々の薬局において必要とされる機能については、▼要指導医薬品・一般用医薬品等の相談受付・販売▼受診勧奨、関係機関紹介▼調剤・服薬指導(外来)▼在宅対応に向けた連絡調整という点で整理されている。これらは現段階では案であるが、厚生労働省医薬局も認定薬局の機能の整理やある種の住み分けを検討しているということは、薬局薬剤師にとっては自分たちの活躍するフィールドを明確にしつつ、自身のスキルを十二分に発揮できる機会が増えることを期待できるのではないだろうか。
認定薬局を取得することは目的ではなく、選ばれる薬局となる手段である。自身の薬局や自分自身のスキルを活かし、国民の健康寿命増進に繋げることができれば、自ずと評価はついてくる。またそれは国民の健康寿命増進に限らず、他の医療従事者からの信頼獲得にもつながり、薬剤師が自身の活躍の場を広げることにつながると期待できる。我々はこうした認定制度を活用し、薬局・薬剤師業務の可視化を通じて、国民の健康維持に寄与することが一つの使命なのだ。


※第8回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会 資料2より抜粋
【2024.12月号 Vol.343 保険薬局情報ダイジェスト】
筆者も兼ねてから認定薬局については分かりにくさを感じていた。専門医療機関連携薬局、地域連携薬局、健康サポート薬局という認定薬局は存在するものの、病院・診療所等の医療従事者からの認知度は低く、その機能や実態などはあまり把握されていないように思われる。そしてそれは患者にとっても同様で、 「地域連携薬局?」 「健康サポート薬局?」 「何をしてくれる薬局なの?」 というクエスチョンが浮かぶことは容易に想像できる。唯一、専門医療機関連携薬局は 「がん専門」 という一疾患に焦点を合わせている関係からがん患者においては理解が進んでいる状態である。だが、この専門医療機関連携薬局は▼がん拠点病院との連携▼がん専門薬剤師の配置などの高いハードルが課せられており、令和6年8月末時点で199店舗が認定を受けているに過ぎない。そこで、この検討会において、地域連携薬局や健康サポート薬局の役割などが整理されている。
地域連携薬局においては、①外来業務における必須の機能として、医療機関等との情報共有②外来及び在宅業務における必須の機能として、医療用麻薬の調剤③在宅業務における必須の機能として、在宅対応・臨時対応が挙げられている。さらに、追加的な機能として、在宅・外来での無菌製剤処理、在宅でのターミナルケア対応が整理されている。これは第8次医療計画において、麻薬調剤・無菌製剤処理・夜間休日対応という部分が明記されたこともあり、その部分を地域連携薬局が主体となってリーディングしてもらいたいという狙いがあるのではないか。今後需要拡大が見込まれている在宅医療において、今の時点から受け皿を整理し、来たる時期に備えておくことは最早必須事項となっているように感じる。
健康サポート薬局においては、地域やその医療提供拠点で確保すべき機能について、▼関係機関や多職種との連携による健康・介護相談対応▼介護用品、特別用途食品の販売▼地域住民向けの健康サポートの取組の実施、薬教育等▼セルフケア・セルフメディケーションの啓発・推進が挙げられている。また、個々の薬局において必要とされる機能については、▼要指導医薬品・一般用医薬品等の相談受付・販売▼受診勧奨、関係機関紹介▼調剤・服薬指導(外来)▼在宅対応に向けた連絡調整という点で整理されている。これらは現段階では案であるが、厚生労働省医薬局も認定薬局の機能の整理やある種の住み分けを検討しているということは、薬局薬剤師にとっては自分たちの活躍するフィールドを明確にしつつ、自身のスキルを十二分に発揮できる機会が増えることを期待できるのではないだろうか。
認定薬局を取得することは目的ではなく、選ばれる薬局となる手段である。自身の薬局や自分自身のスキルを活かし、国民の健康寿命増進に繋げることができれば、自ずと評価はついてくる。またそれは国民の健康寿命増進に限らず、他の医療従事者からの信頼獲得にもつながり、薬剤師が自身の活躍の場を広げることにつながると期待できる。我々はこうした認定制度を活用し、薬局・薬剤師業務の可視化を通じて、国民の健康維持に寄与することが一つの使命なのだ。


※第8回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会 資料2より抜粋
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