病院・診療所
地域包括ケア病棟はこの先、増えるのか、減るのか
データから考える医療経営
株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺 優
■10万床まで増えた地域包括ケア病棟
2014年度診療報酬改定において地域包括ケア病棟入院料が新設されてから11年が経過した。急性期病棟の看護必要度厳格化や高齢化の進展によりニーズが増加したサブアキュート・ポストアキュートの患者の受け皿として、地域包括ケア病棟(以下、地ケア)の病床数は増え続けてきた=グラフ1=。2024年の時点で10万床を超えた。地ケアは設定された点数がそれなりに高いものの、疾患別リハは包括になり、在宅医療の提供や院内転棟、在宅復帰など課せられた入院料の施設基準は厳しい。ただし、受け入れられる患者の病期や疾患は限定されておらず、また、手術・麻酔や麻薬・抗がん剤は出来高で算定できるなどの特性を活かし、病院によっては、地ケア病棟で手術患者やターミナル患者の受け入れを行うなど、使い勝手の良さが病床数の増加を後押ししたと思われる。
グラフ1:地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の病床数推移

中央社会保険医療協議会総会 資料「主な施設基準の届出状況等」(2014年から2023年まで)、および各地方厚生局 届出受理医療機関名簿(2024年、2025年)を基に作成
※各年7月1日現在。2025年のみ4月1日現在
※2018年度改定以前は、当時の入院料1を入院料2、当時の入院料2を入院料4としてそれぞれ表記
■地ケアはまだ増えるのか
2024年度改定で地域包括医療病棟入院料が新設された。病院によっては、どちらの病棟を持つべきか検討するようなケースが生じている。今後、地域の高齢患者の受け皿として、地ケアのニーズが続くのかを考えるため、入院料別・総病床数別に直近1年間での地ケア病床数の増減を見た=グラフ2=。
グラフ2:地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料直近1年間の病床数増減(入院料別・総病床数別)

各地方厚生局 届出受理医療機関名簿を基に作成(2024年、2025年、各4月1日現在)
2024年度改定後も地ケアの入院料1の病床数は増えている。一方、入院料2は減った。また、200床未満の病院が持つ地ケアは増え、200床以上の持つ地ケアは減った。入院料2は主に200床以上の病院が届け出ている。おそらく度重なる改定で院内転棟の制約などが厳しくなり、地ケアを持つメリットが見出せなくなっているものと思われる。
ただし、200床未満の中小病院で地ケアが増えている現状は、全国で10万床を超えてもなお地ケアのニーズがあることを示していると考えている。なお、都道府県により地ケアの病床数には大きな差異が生じていることには留意が必要だろう。地ケアの病床数は西高東低になっている。そこで直近1年間の地ケア病床数の増減は、地ケアの多い地域と少ない地域で違いが生じているのか調べた=グラフ3=。
グラフ3:75歳以上人口当たり地ケア病床数による都道府県グループ別 直近1年間の地ケア病床数増減

各地方厚生局 届出受理医療機関名簿を基に作成(2024年、2025年、各4月1日現在)
その結果、地ケア病床の多い地域ほど、さらに病床を増やした地域が多かった。一方、地ケアの少ない地域はあまり増えていなかった。本来、地ケアの少ない地域では、そのニーズがあるはずなのに、そもそも機能転換に消極的と思われる。
すでに地ケアの病床が多い地域にもかかわらず、まだ地ケアが増えている地域が多い実態を踏まえれば、全国どの地域でも地ケアのニーズがあると思われる。また、地域から求められている機能・役割を果たせば、病床機能報告などで見ている印象として病床稼働も決して悪くない。
なお、2024年度改定により新設された地域包括医療病棟は、診療報酬点数の高さに魅力を感じていたとしても、施設基準の厳しさから、まだ届け出ていない病院や検討中の病院が少なくないだろう。その際の選択肢は、依然、地ケアであることは当面続くものと考えている。
【2025. 6. 15 Vol.4 メディカル・マネジメント】
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