組織・人材育成
生成AIとの付き合い方
組織力が高まるケーススタディ
ChatGPTやGeminiなど、様々な生成AIが登場し、お仕事の場面だけではなく日常的な話し相手など、多様な役割を担うようになっています。人間である他者と話をするよりも自分にとって心地良い、美しい言葉が返ってくることに安心感を得るなど、精神的な安定を保つために使う方も増えてきているようです。
そんな生成AIが今後も色々な場面で広がりを見せてくる中で、今回は、生成AIを多用するリーダーとの対話から 「人間関係における問題を解決するためのより良い方法」 について学んでいきたいと思います。
そんな生成AIが今後も色々な場面で広がりを見せてくる中で、今回は、生成AIを多用するリーダーとの対話から 「人間関係における問題を解決するためのより良い方法」 について学んでいきたいと思います。
ケース
住宅街の真ん中にあるクリニックのお話です。このクリニックの院長先生は新しいものが大好き!生成AIも早くから情報を入手し、仕事や私生活で活用する方法を考えては実行する日々を送っています。この院長先生から、とあるスタッフとの関係性についてご相談がありました。
院長先生 「実は……問題のあるスタッフがいるのです。どのスタッフも課題がないわけではありませんが、Aさんというスタッフについて頭を抱えています。Aさんは看護師としての経験年数が長く、色々なクリニックでの勤務経験があることから最近雇ったのですが、ことあるごとに 『こうした方が良いと思います』 とクリニックの運営に対して意見を言ってくるのです」
筆者 「そうなのですね。Aさんの存在はクリニックにとって刺激になっているようですね。どのようなことが問題なのですか?」
院長先生 「上村さんはAさんがどんなふうに言ってきているのか分からないからそう言うのだと思いますが……。クリニックの運営方法って、それに至った経緯があるわけじゃないですか。もちろん、より良い方法は検討すべきだと思うのですが、まだ入職して3か月目のAさんが発言するのは時期尚早だと思いませんか?」
筆者 「なるほど、まだ入職して間もないAさんがクリニックの改善に関する発言をされることに違和感があるのですね」
院長先生 「私から 『今はそんなことは考えなくても良いから』 と、Aさんにやんわりと 『新人としての立場をわきまえてほしい』 と伝えるのですが、Aさんは 『大丈夫です!思ったことは伝えた方が良いですよね⁉』 と、どこ吹く風。何だか同じ日本語を使っていると思えなくなってきて、ある日生成AIに思い切って聞いてみたのですよ!そうしたら私が言っていた通り、 『新人として逸脱していて不愉快に感じてもおかしくはない』 と言っていたのです。生成AIが客観的にAさんの立ち居振る舞いが間違っていることを指摘したのです。そこで勇気を持って生成AIの文面と共にAさんと面談したのですが、Aさんは不満そうな顔で 『……分かりました』 というだけで謝罪はなし。もうどうしたら良いやら……」
筆者 「院長先生はAさんとどのような関係性になることを目指していますか?」
院長先生 「関係性ですか。Aさんに 『こうなってほしい』 というのはあっても、そういうことは考えていませんでした。院長とスタッフの良好な関係性って具体的には何だろう……」
筆者 「生成AIとの付き合い方について少し振り返りましょう。生成AIと院長先生との対話は、客観的に答えてもらったとは言え、基本的に指示を出した院長先生にとって心地良い返事になると考えた方が良いと思います。しかし、人間関係にとって必要なことは客観的な正しさよりも、お互いにとって正しいものを模索することだと考えます。つまり、Aさんにとって正しいと思った行動の理由に耳を傾けずに正しさを押し付けてしまうことはAさんの思いを抑え込んでしまうことになるため、関係性は決して良いものにはなりません。院長先生は決してAさんとの関係性を軽視しているわけではないと思いますので、問題が発生した際には 『自分の正しさ』 よりも 『相手がそうした理由 』に焦点が当てられると良いですね!」
院長先生 「生成AIを自分の味方だと考えていたことに気が付きました……。生成AIは組織をより良く回す院長という立場の味方であってほしいですね。そうであれば、生成AIに質問する内容が変わってきますね」
このケース、どのような感想を持ちましたか?最近では問題解決を行うにあたり、意見を生成AIに求めているというリーダーの話も多く聞かれるようになりました。問題解決のための手段が多様化したことは素晴らしいと思う反面、その答えを信じすぎてしまうことで 「自分は間違っていない、相手が間違っている」 と盲目的になってしまうことも少なくないようです。生成AIを上手く組織開発に活用するためには、 「何を目的としてこのツールを活用しているのか」 を今一度考えてから利用されてはいかがでしょうか。
【2025年10月1日号 Vol.11 メディカル・マネジメント】
院長先生 「実は……問題のあるスタッフがいるのです。どのスタッフも課題がないわけではありませんが、Aさんというスタッフについて頭を抱えています。Aさんは看護師としての経験年数が長く、色々なクリニックでの勤務経験があることから最近雇ったのですが、ことあるごとに 『こうした方が良いと思います』 とクリニックの運営に対して意見を言ってくるのです」
筆者 「そうなのですね。Aさんの存在はクリニックにとって刺激になっているようですね。どのようなことが問題なのですか?」
院長先生 「上村さんはAさんがどんなふうに言ってきているのか分からないからそう言うのだと思いますが……。クリニックの運営方法って、それに至った経緯があるわけじゃないですか。もちろん、より良い方法は検討すべきだと思うのですが、まだ入職して3か月目のAさんが発言するのは時期尚早だと思いませんか?」
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院長先生 「私から 『今はそんなことは考えなくても良いから』 と、Aさんにやんわりと 『新人としての立場をわきまえてほしい』 と伝えるのですが、Aさんは 『大丈夫です!思ったことは伝えた方が良いですよね⁉』 と、どこ吹く風。何だか同じ日本語を使っていると思えなくなってきて、ある日生成AIに思い切って聞いてみたのですよ!そうしたら私が言っていた通り、 『新人として逸脱していて不愉快に感じてもおかしくはない』 と言っていたのです。生成AIが客観的にAさんの立ち居振る舞いが間違っていることを指摘したのです。そこで勇気を持って生成AIの文面と共にAさんと面談したのですが、Aさんは不満そうな顔で 『……分かりました』 というだけで謝罪はなし。もうどうしたら良いやら……」
筆者 「院長先生はAさんとどのような関係性になることを目指していますか?」
院長先生 「関係性ですか。Aさんに 『こうなってほしい』 というのはあっても、そういうことは考えていませんでした。院長とスタッフの良好な関係性って具体的には何だろう……」
筆者 「生成AIとの付き合い方について少し振り返りましょう。生成AIと院長先生との対話は、客観的に答えてもらったとは言え、基本的に指示を出した院長先生にとって心地良い返事になると考えた方が良いと思います。しかし、人間関係にとって必要なことは客観的な正しさよりも、お互いにとって正しいものを模索することだと考えます。つまり、Aさんにとって正しいと思った行動の理由に耳を傾けずに正しさを押し付けてしまうことはAさんの思いを抑え込んでしまうことになるため、関係性は決して良いものにはなりません。院長先生は決してAさんとの関係性を軽視しているわけではないと思いますので、問題が発生した際には 『自分の正しさ』 よりも 『相手がそうした理由 』に焦点が当てられると良いですね!」
院長先生 「生成AIを自分の味方だと考えていたことに気が付きました……。生成AIは組織をより良く回す院長という立場の味方であってほしいですね。そうであれば、生成AIに質問する内容が変わってきますね」
このケース、どのような感想を持ちましたか?最近では問題解決を行うにあたり、意見を生成AIに求めているというリーダーの話も多く聞かれるようになりました。問題解決のための手段が多様化したことは素晴らしいと思う反面、その答えを信じすぎてしまうことで 「自分は間違っていない、相手が間違っている」 と盲目的になってしまうことも少なくないようです。生成AIを上手く組織開発に活用するためには、 「何を目的としてこのツールを活用しているのか」 を今一度考えてから利用されてはいかがでしょうか。
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