介護施設
「2040年に向けた中間とりまとめ」 中山間・人口減少地域はどうなる
意外と知らない介護経営のポイント
株式会社メディックプランニング 代表取締役 三好 貴之
令和7年4月21日に介護保険部会にて 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」 (以下、とりまとめ)が提示されました。これは、次期介護保険制度改正に大きな影響を与えるため、介護事業者にとっては非常に重要です。
まず、今回のとりまとめでは、今まで全国一律で進められてきた介護保険制度を人口動態の 「時間軸」 「地域軸」 に分けて考えていこうということが示されました。全国の各地域を
① 中山間・人口減少地域
② 大都市部
③ 一般市等
の3つに類型化し、それぞれで異なる対策が必要ではないかということが提唱されています。
特に①中山間・人口減少地域では、すでに高齢化が進み、かつ介護職を始めとした労働生産人口が減少しています。このような地域で、どのように必要な介護サービスの提供を維持し、計画的に減少させていくかは非常に重要です。その他、②大都市部、③一般市等も対策が取られますが、①中山間・人口減少地域が先行事例として、どのような施策が行われるかを知っておくことで、②③の地域の事業所においても、早めに対策を講じることができるようになります。
まず、今回のとりまとめでは、今まで全国一律で進められてきた介護保険制度を人口動態の 「時間軸」 「地域軸」 に分けて考えていこうということが示されました。全国の各地域を
① 中山間・人口減少地域
② 大都市部
③ 一般市等
の3つに類型化し、それぞれで異なる対策が必要ではないかということが提唱されています。
特に①中山間・人口減少地域では、すでに高齢化が進み、かつ介護職を始めとした労働生産人口が減少しています。このような地域で、どのように必要な介護サービスの提供を維持し、計画的に減少させていくかは非常に重要です。その他、②大都市部、③一般市等も対策が取られますが、①中山間・人口減少地域が先行事例として、どのような施策が行われるかを知っておくことで、②③の地域の事業所においても、早めに対策を講じることができるようになります。
▼すでに50%の市町村で65歳以上人口が減少している
全国の市町村の50%で、2024年以前に65歳以上人口が減少しています。さらに在宅サービスでは、町村部の30%がすでに需要がピークアウトしており、また施設サービスでも23%の町村部の需要がピークアウトしています。
とりまとめのなかでは、 「サービス需要が減少する局面においては、サービスを計画的に維持・確保していく必要があり①地域における介護事業所が機能を維持し、存続できるインセンティブを設けること」 とされています。従来の地域区分の考え方は、介護サービスを提供する 「費用の地域差」 を埋めるために1級地から8級地に分け、さらに地域区分無しの地域を含めると9段階に設定されています。1級地は、 「一番費用がかかる地域」 であるため介護報酬1単位 「12円」 で計算されています。
今回のとりまとめは、この地域区分の 「真逆の発想」 で、今後、需要が減少していく中山間・人口減少地域で、介護事業者が事業の継続が困難になり、続々と撤退し、介護サービスが不足しないように、 「逆に」 インセンティブを設けようという考え方です。
筆者の支援先にもこのような地域があり、訪問看護の利用者宅まで車で30分以上の移動時間を要したり、雪が積もればさらに時間がかかる地域もあります。また、通所介護も同様に送迎に時間がかかるため、従来なら7時間のサービス提供時間が必要な利用者に6時間しか提供できない場合もあります。また、これから高齢者人口が減少し、利用者が減少していけば、間違いなく赤字に転落する介護事業所もたくさん出てきます。このような地域は、基本的には 「地域区分無し」 の 「1単位10円」 の地域です。介護事業所の撤退を防止し、適切なサービス量を確保するためには、やはりインセンティブが必要でしょう。
とりまとめのなかでは、 「サービス需要が減少する局面においては、サービスを計画的に維持・確保していく必要があり①地域における介護事業所が機能を維持し、存続できるインセンティブを設けること」 とされています。従来の地域区分の考え方は、介護サービスを提供する 「費用の地域差」 を埋めるために1級地から8級地に分け、さらに地域区分無しの地域を含めると9段階に設定されています。1級地は、 「一番費用がかかる地域」 であるため介護報酬1単位 「12円」 で計算されています。
今回のとりまとめは、この地域区分の 「真逆の発想」 で、今後、需要が減少していく中山間・人口減少地域で、介護事業者が事業の継続が困難になり、続々と撤退し、介護サービスが不足しないように、 「逆に」 インセンティブを設けようという考え方です。
筆者の支援先にもこのような地域があり、訪問看護の利用者宅まで車で30分以上の移動時間を要したり、雪が積もればさらに時間がかかる地域もあります。また、通所介護も同様に送迎に時間がかかるため、従来なら7時間のサービス提供時間が必要な利用者に6時間しか提供できない場合もあります。また、これから高齢者人口が減少し、利用者が減少していけば、間違いなく赤字に転落する介護事業所もたくさん出てきます。このような地域は、基本的には 「地域区分無し」 の 「1単位10円」 の地域です。介護事業所の撤退を防止し、適切なサービス量を確保するためには、やはりインセンティブが必要でしょう。
▼施設の多機能化
高齢者の多くは介護だけではなく、医療ニーズも複合的に持ち合わせています。また、在宅生活を支えるためには、通所・訪問・入所の複合ニーズもあります。それらを複合的に対応できるのは、 「看護小規模多機能型居宅介護」 「小規模多機能型居宅介護」 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」 の3種別になりますが、多くの地域では、積極的にこれらに参入しようという事業者がおらず、あまり増加していないのが現状です。現場レベルの話でいえば、これら3種別のサービスを使うと、居宅のケアマネジャーの利用者を看多機などの施設ケアマネジャーへ移行せねばならず、居宅ケアマネジャーの収益が下がってしまいます。
まだ高齢者人口が増加している地域なら、新規利用者で埋めることができますが、高齢者人口が減少している地域では、ケアマネジャーへ新規の利用者が来ないため、これら3種別への紹介はどうしても敬遠されるのではないでしょうか。
前回の介護報酬制度改定の議論で、 「通所介護と訪問介護の複合施設」 が新類型として、提案されました。これは、通所と訪問を一体化させ、通所介護の介護職員が訪問介護を提供できるようにすることで、訪問と通所を1事業所で対応できるため、効率的ではないかということです。ただし、当然ですが、これは居宅ケアマネジャーのままなので、この新類型ができれば、看多機などではなく、この新類型を優先的に紹介することになり、看多機などはさらに経営が厳しくなるのではないでしょうか。

第234回社会保障審議会介護給付費分科会資料(令和5年12月4日)
【2025. 6. 15 Vol.3 メディカル・マネジメント】
まだ高齢者人口が増加している地域なら、新規利用者で埋めることができますが、高齢者人口が減少している地域では、ケアマネジャーへ新規の利用者が来ないため、これら3種別への紹介はどうしても敬遠されるのではないでしょうか。
前回の介護報酬制度改定の議論で、 「通所介護と訪問介護の複合施設」 が新類型として、提案されました。これは、通所と訪問を一体化させ、通所介護の介護職員が訪問介護を提供できるようにすることで、訪問と通所を1事業所で対応できるため、効率的ではないかということです。ただし、当然ですが、これは居宅ケアマネジャーのままなので、この新類型ができれば、看多機などではなく、この新類型を優先的に紹介することになり、看多機などはさらに経営が厳しくなるのではないでしょうか。

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