病院・診療所
出生数減少が早すぎて集約化が間に合わない
少子化で経営悪化が不可避な周産期医療
株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺 優
■少子化で経営悪化が不可避な周産期医療
厚生労働省が11月に発表した人口動態統計によると、2024年上半期の出生数は32万9,998人にとどまり、年間で70万人割れの可能性もあるとマスコミ等で報じられている。国立社会保障・人口問題研究所が2020年の国勢調査を基に将来の出生数を推計したデータでは、出生数が70万人を割り込むのは2043年のはずであった(出生中位推計)=グラフ1=。少子化は想定以上のペースで進んでいる可能性が高い。
グラフ1 2000年以降の出生数推移(実線:実績 点線:予測)

厚生労働省 人口動態統計(2023年)、国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(2023年推計)を基に作成
病床機能報告(2023年度報告)で病院・診療所の分娩数を見た=グラフ2=。なかには年1,000件を超える施設がある一方で、100件に満たない施設がそれ以上の数にのぼる。これまで、多くの周産期医療関係者からヒアリングした結果、少なくとも年300件以上の分娩を取り扱っていなければ、経営的に安定しないと認識している。病床機能報告で分娩の報告のあった施設の44%は、すでに2022年の時点で経営的に厳しく、昨年・今年と全国的に分娩数がさらに減少したことを踏まえれば、経営は相当悪化していると認識すべきだろう。
グラフ2 病院・診療所 2022年分娩数分布

病床機能報告(2023年度報告)を基に作成
グラフ1 2000年以降の出生数推移(実線:実績 点線:予測)

厚生労働省 人口動態統計(2023年)、国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(2023年推計)を基に作成
病床機能報告(2023年度報告)で病院・診療所の分娩数を見た=グラフ2=。なかには年1,000件を超える施設がある一方で、100件に満たない施設がそれ以上の数にのぼる。これまで、多くの周産期医療関係者からヒアリングした結果、少なくとも年300件以上の分娩を取り扱っていなければ、経営的に安定しないと認識している。病床機能報告で分娩の報告のあった施設の44%は、すでに2022年の時点で経営的に厳しく、昨年・今年と全国的に分娩数がさらに減少したことを踏まえれば、経営は相当悪化していると認識すべきだろう。
グラフ2 病院・診療所 2022年分娩数分布

病床機能報告(2023年度報告)を基に作成
■「二次医療圏内で集約化」では解決不可能な地域が増える
各二次医療圏の病院・診療所の分娩数を集計した=グラフ3=。多くの医療圏は分娩件数が年間300件を超える。そのような医療圏では、病院・診療所の機能集約を図ることで、年300件を超える可能性が見出だせる。しかし、すでに30弱の医療圏では医療圏内に分娩を行っている施設がなく、50弱の医療圏ではまだ分娩数のある病院・診療所はあるものの、その合計が年300件に満たない。このような医療圏では、分娩施設を二次医療圏内で集約化しても、当然年300件を超えない。
グラフ3 二次医療圏内の医療施設 2022年分娩数分布

病床機能報告(2023年度報告)を基に作成
働き方改革の推進により交代勤務の徹底などを図ることを踏まえれば、働き手確保の観点から集約化を図ることが望ましい。また、分娩数が減っていることも集約化が望まれる。さらに現状の二次医療圏の枠組みにとらわれず広域化も考えなければ、合理的な解決策は見つからないだろう。しかし、少子化対策を強化したい自治体の首長や議員の大半は、自地域施設の撤退を伴う集約化に反対する。
首長や地域住民などとの合意形成には時間がかかる。一方、想定以上の出生数の減少ペースに伴い、医療機関は経営が急速に悪化しており、一刻一秒を争う事態である。このような事態を踏まえれば、首長や住民も納得しやすい大胆な支援策を講じる時期が来ているのではないだろうか。
【2024. 12. 15 Vol.606 医業情報ダイジェスト】
グラフ3 二次医療圏内の医療施設 2022年分娩数分布

病床機能報告(2023年度報告)を基に作成
働き方改革の推進により交代勤務の徹底などを図ることを踏まえれば、働き手確保の観点から集約化を図ることが望ましい。また、分娩数が減っていることも集約化が望まれる。さらに現状の二次医療圏の枠組みにとらわれず広域化も考えなければ、合理的な解決策は見つからないだろう。しかし、少子化対策を強化したい自治体の首長や議員の大半は、自地域施設の撤退を伴う集約化に反対する。
首長や地域住民などとの合意形成には時間がかかる。一方、想定以上の出生数の減少ペースに伴い、医療機関は経営が急速に悪化しており、一刻一秒を争う事態である。このような事態を踏まえれば、首長や住民も納得しやすい大胆な支援策を講じる時期が来ているのではないだろうか。
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