保険薬局
(11)3月は自殺対策強化月間です
一人一人が尊重される社会
薬剤師 産業カウンセラー 荒井 なおみ
寒さはまだまだ続いていますが、日が伸びてきたのを確かに感じる今日この頃。3月と聞いただけで、心が少し温かくなります。ところでその3月ですが、自殺対策基本法では「自殺対策強化月間」として位置付け、地方公共団体が取り組みを行っています。
1.自殺対策基本法とは
2000年以降自殺者数が毎年3万人を超えていた(警察庁統計資料による)状況を背景とし、自殺の防止と自殺者の親族等への支援の充実を目的として制定されました(2006年6月21日公布、10月28日施行)。
朝日新聞デジタルによれば、2022年の自殺者数は速報値で2万1584人、前年より577人(2.7%)増えたとのこと。増加は2年ぶりであり、中高年の男性で大幅に増えたそうです。支援団体によれば「コロナ禍の影響が生活の様々な場面に浸透し、生きるための基盤が低下している」ということでした。
自殺対策基本法 第一章「基本理念」第二条を以下に示します。
自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取組として実施されなければならない。
ここ数年は、新型コロナ感染症による長期間の大きな変化が私たちの上に重く圧し掛かっています。経済的な困窮、孤立感、ストレスによる心身の不調など、コロナは私たちの生活に大きな影響をもたらし続けています。
コロナ禍以前でも毎年何万という方々が自死を選ばざるを得ない状況だったことを考えると、自死の背景は多岐に渡り、その中にはセーフティーネットでは防ぐことのできなかった状況も多々あったのではないかと思います。
朝日新聞デジタルによれば、2022年の自殺者数は速報値で2万1584人、前年より577人(2.7%)増えたとのこと。増加は2年ぶりであり、中高年の男性で大幅に増えたそうです。支援団体によれば「コロナ禍の影響が生活の様々な場面に浸透し、生きるための基盤が低下している」ということでした。
自殺対策基本法 第一章「基本理念」第二条を以下に示します。
自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取組として実施されなければならない。
ここ数年は、新型コロナ感染症による長期間の大きな変化が私たちの上に重く圧し掛かっています。経済的な困窮、孤立感、ストレスによる心身の不調など、コロナは私たちの生活に大きな影響をもたらし続けています。
コロナ禍以前でも毎年何万という方々が自死を選ばざるを得ない状況だったことを考えると、自死の背景は多岐に渡り、その中にはセーフティーネットでは防ぐことのできなかった状況も多々あったのではないかと思います。
2.ゲートキーパー(Gatekeeper:門番)になろう
厚生労働省のホームページでは、ゲートキーパーについて以下のように説明しています。
* ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気づき、声をかけてあげられる人のことです。特別な研修や資格は必要ありません。誰でもゲートキーパーになることができます。周りで悩んでいる人がいたら、やさしく声をかけてあげてください。声をかけあうことで、不安や悩みを少しでも和らげることができるかもしれません。
東京都福祉保健局発行の「ゲートキーパー手帳」では、次のように説明しています。
* 自殺対策におけるゲートキーパーとは、「地域や職場、教育、その他様々な分野において、身近な人の自殺のサインに気づき、その人の話を受け止め、必要に応じて専門相談機関へつなぐなどの役割が期待される人」のことです。ゲートキーパーの役割とは、ひとことで言うと、「気づき、受け止め、つなぐ」ことです。
では、具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。東京都の「ゲートキーパー手帳」を見てみましょう。
声をかけたり、話しを聴いたりすることは、すぐにでもできそうです。まずは一緒に働いている同僚、家族、友人に対して、いつもより少し意識して声をかけ、話を聴いてみませんか。
* ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気づき、声をかけてあげられる人のことです。特別な研修や資格は必要ありません。誰でもゲートキーパーになることができます。周りで悩んでいる人がいたら、やさしく声をかけてあげてください。声をかけあうことで、不安や悩みを少しでも和らげることができるかもしれません。
東京都福祉保健局発行の「ゲートキーパー手帳」では、次のように説明しています。
* 自殺対策におけるゲートキーパーとは、「地域や職場、教育、その他様々な分野において、身近な人の自殺のサインに気づき、その人の話を受け止め、必要に応じて専門相談機関へつなぐなどの役割が期待される人」のことです。ゲートキーパーの役割とは、ひとことで言うと、「気づき、受け止め、つなぐ」ことです。
では、具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。東京都の「ゲートキーパー手帳」を見てみましょう。
声をかけたり、話しを聴いたりすることは、すぐにでもできそうです。まずは一緒に働いている同僚、家族、友人に対して、いつもより少し意識して声をかけ、話を聴いてみませんか。
- 気づく: 仕事や日常生活の中で出会う人が、「表情が暗い」「元気がない」等、気になる様子があったら、声をかけて様子をききます。
- 受け止める(傾聴):相手の話をじっくりと聴き、今抱えている課題、問題を受け止めます。
- つなぐ: 十分に話を受け止めた上で、必要に応じ適切なサービス、相談機関につなげます。
3.一人一人が尊重される社会
ハラスメントを受けている、残業が多すぎる、休みが取れない、責任が重すぎる、責められる、助けてもらえない、話を聴いてもらえない、などなど職場で辛い体験をされている方がいらっしゃるかもしれません。一人一人が尊重され、気持ちよく働ける職場であってほしいものです。
①労働環境を整える
→ 長時間労働の対策として、職場の効率化はスタッフ全員で行いますが、現場だけでは限りがあることも事実。上級管理職の介入が必要です。
→ ハラスメントが起きてしまったら、しっかり対応してください。ハラスメントを許さないことです。
②他人を責めない
→ 少しでも相手に落ち度があると責めたくなるものですが、そこはぐっと堪えて。責めても良い結果は得られず、みんなが嫌な気持ちになるだけです。むやみに感情的にならず、相手の言動に疑問を感じたり、気に入らないと思ったりしても一呼吸置いてください。何が問題でそのことが起きたのか、どうしたら防げるのかを冷静に考え、対応していきましょう。相手の言い分を聞くことも大切です。もしかしたら、自分の方が勘違いしているのかもしれませんから。
③声をかけ合う
→ 気軽に声をかけ合うことが出来る職場だといいですね。日頃のコミュニケーションの積み重ねが、いざというときに力を発揮することでしょう。疲れが見える方に「疲れているみたいだけれど大丈夫?」と尋ねてみてください。
今回は、自殺対策強化月間から職場の働きやすさを考えてみました。ご参考になれば幸いです。
【2023.3月号 Vol.322 保険薬局情報ダイジェスト】
①労働環境を整える
→ 長時間労働の対策として、職場の効率化はスタッフ全員で行いますが、現場だけでは限りがあることも事実。上級管理職の介入が必要です。
→ ハラスメントが起きてしまったら、しっかり対応してください。ハラスメントを許さないことです。
②他人を責めない
→ 少しでも相手に落ち度があると責めたくなるものですが、そこはぐっと堪えて。責めても良い結果は得られず、みんなが嫌な気持ちになるだけです。むやみに感情的にならず、相手の言動に疑問を感じたり、気に入らないと思ったりしても一呼吸置いてください。何が問題でそのことが起きたのか、どうしたら防げるのかを冷静に考え、対応していきましょう。相手の言い分を聞くことも大切です。もしかしたら、自分の方が勘違いしているのかもしれませんから。
③声をかけ合う
→ 気軽に声をかけ合うことが出来る職場だといいですね。日頃のコミュニケーションの積み重ねが、いざというときに力を発揮することでしょう。疲れが見える方に「疲れているみたいだけれど大丈夫?」と尋ねてみてください。
今回は、自殺対策強化月間から職場の働きやすさを考えてみました。ご参考になれば幸いです。
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